メディカルチェックとミニ合宿

2017.07.10 Monday

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    土日は1泊2日でミニ合宿でした。土曜日はスポーツ医療チームによる、メディカルチェックです。参加者の半数以上が新幹線や夜行バスで関東からという、驚きの状態です。中には片道10時間運転して駆けつけた方もいらっしゃいます。

     

    アスリートとして基本的な身体機能を備え、理想的な身体の状態に近づけていくためのリハビリ・トレーニングが一人一人の状態に合わせてプログラムします。そして身体能力がどのようにして養われているかを、メディカルチェックで定期的に検査します。今回のメディカルチェックも、スポーツ整形のドクター四本先生をはじめ、スポーツ医療チームの皆様8名にお越し下さいました。

     

     

    アーチェリーはドローイングしたストリングを離すだけで矢が飛んでいく、という極めて単純なスポーツです。しかし矢を的に運ぶために必要な身体の機能は、身体全体が協力し合って完全に一致した状態でなければ、正確な射をもたらすことができません。

     

    メディカルチェックでは数百項目の中から、アーチェリーの射を正確にするための運動機能を、60項目以上にもわたって精密に測定します。選手本人や指導者が知り得ることが不可能な部分までもを探り出すと同時に、本人が自覚してない身体の不具合箇所を見つけ出し、スポーツ以外での日常生活での痛みや怪我までもを早期に回復させ、合理的に上達を果たすことができるための取り組みです。

     

     

    アーチェリーを始めたばかりの方の身体の状態を、スポーツ整形のドクター四本先生が入念に診察します。四本先生はアーチェリーや弓道の動きに精通している、肩専門のスポーツ整形のドクターです。けいはんなアーチェリーでは、正確な骨格のポジションに誘導するための、正しい筋肉の使い方をマスターさせてからでないと実射の指導を行いません。そのため完全なる初心者であれば理想的なドローイングのアプローチにしかなりませんので大丈夫です。骨格各部に理想的な可動域を獲得したら、徐々に強化プログラムを重ねていきます。

     

     

    問題なのは、どこかで少しアーチェリーを習った初心者や、これまでアーチェリーを続けてきた経験者です。どこかでアーチェリーを始めた初心者は、その多くが腕力でストリングを引っぱってしまい、ドローイングのアプローチが完全に間違ったものが身体にプラクティスとして刻まれてしまっています。経験者はひたすら実射を続けてきたことが原因で、身体に抱えている問題点を指摘される人が多いです。我流の射が身体に様々な悪影響を及ぼし、身体のバランスを崩してしまうほど骨格が歪んでいたり、故障を抱えてしまっていたりと、これまで実に様々な身体状態を診てきました。正しい指導を受けて、時間をかけてじっくりと、理想的な身体を養っていくことが大切です。

     

     

    今回は半数以上が関東地域の入会メンバーでした。全体的に入会メンバーが増え、今シーズンの前期は新規入会募集をほとんど行うことができませんでした。しかし今では受け入れ態勢が強化されてきましたので、後期は新規入会募集ができそうですね。もう少し先になると思いますが、前期に入会できなかった方はご期待下さい♪

     

     

    スポーツの分野での活躍を目指す理学療法士の先生が増えて、私たちにとっては喜ばしい限りです。京都九条病院ではスポーツ内科が新設されたのみならず、この春からスポーツリハビリテーション課が新設され、アスリートにとって究極に理想的な病院です。ここまでスポーツに特化した病院は、関西唯一の存在です。

     

     

    それに、理学療法士の先生方に、エコー(超音波測定器)の達人が多いのも素晴らしいです。もう数百人のアスリートの筋肉の状態を調べてきたそうです。スゴイです。これは下肢エコーです。身体を支えるために必要な下肢筋肉の状態が、部位ごとにどのようになっているかを調べます。筋厚を測定して、前回の測定結果と比較することで、個別のトレーニングの進捗状況がどうであるかを数字で示します。

     

     

    そして日常生活における身体のトラブルに関しても対応します。腰を治療した経緯のある方は、今の身体の状態がどうであるかを入念に調べます。そして不具合箇所を探し出して治療を行います。筋肉の状態が芳しくない部位を、どのようにしてセルフメンテナンスをするか、その方法を個別の状態に合わせて指導します。

     

     

    元々五十肩などを抱えてらっしゃる方や、肩や肘に不安を抱えている方には、スポーツ整形のドクター四本先生がエコーを使って患部の状態を調べます。私もメディカルチェックで多くの方のエコーの画像を見てきましたので、エコーでの筋肉の状態が理解できるようになってきました。「門前の小僧、習わぬ経を読む」さながらですが、筋肉表面が荒れた状態になっているのが見えると、ここが原因で、この動きの時に痛みが発生しているのだろうとわかります。筋肉の状態や筋肉の動きが見えるので、エコーはスポーツ指導には欠かせないアイテムに思えます。当会にも1台欲しいですが、1台数百万・・・。今回もエコーを2セットご用意下さいました。本当に有り難いです。

     

     

    レッスン受講生の皆さんの検査が終わったら、私の身体のエコー検査です。まずは下肢エコーから。筋肉それぞれを測定してバランスを調べます。下肢トレーニングの成果は筋肉量の増加として、筋厚を数字に表わして具体化します。色白で皮下脂肪が少ないので、筋肉の動きはもちろん、皮膚を透けて毛細血管の状態まで見ることができます。

     

     

    横になった状態で様々な姿勢で腹部エコーをした後に、立ち上がった状態での腹部エコーです。立位では腹横筋の緊張が起こり、腹横筋の緊張によって腰部をコルセットのように引き締めて腹部を安定させます。呼吸の状態によって腹横筋の活動は異なりますので、吸気時と呼気時それぞれの状態でエコーを実施します。腹筋と言っても一般的に行われている腹筋だけでは不十分です。様々な角度から効果的なコアトレーニングを行うことで、不安定を誘うウィークポイントを強化することができるようになりますが、後から鍛えたのでは、射のアプローチに入ってきません。まずは正しく機能する身体を養うことが最優先課題です。

     

     

    次に上肢エコー検査です。肩甲骨の安定に寄与する重要な筋肉群の状態を、ひとつひとつ調べていきます。体幹で支えている弓の力が左右均等であるか、特定の部位を酷使させていないか、筋肉の状態を調べていきます。

     

     

    アーチェリーの指導者はハダカにならないと仕事はありません。アーチェリーが上手ければ指導者ができるワケでもありません。それは、射のなかで細かな筋肉の様々な動きを、レッスン受講生に見せて理解してもらわなければならないからです。特に腰部と腹部の筋肉の状態を実際に見て、作用の状態を実際に触れて体感しないと、自分と指導者の筋肉の作用のさせかたの違いを教えることができないからです。百聞は一見に如かず。教わる側は、指導者の皮下脂肪を見たいのではないのです。

     

     

    これは小円筋の状態を調べています。決められた方向に動かして作用させた状態を見ます。ドローイングのアプローチに誤りがあると正しく作用させることができないので、思い通りに肩甲骨を動かすことができず、どれだけ練習量を増やしても大して上手くなれません。肩が上がってしまうのを力ずくで抑え込むような状況になってしまっていては、身体の中に複雑な力の向きを与えてしまいます。それでは射の数量が増えての疲労に従って、身体の各部がバラバラな動きになってしまいます。正しく習ってきていない人は、ほとんどそんな人ばかりです。

     

    練習は、単に量をこなせば上手くなるのではありません。ひたすら実射を繰り返す人は多いのに、実射のための準備が大幅に不足しているから、どれだけ練習を続けても上手くなれないのです。自分の身体と正しく向き合って、自分の身体の状態の真実を知り、本当に自分に合った取り組みでなければ意味がありません。

     

    身体の中に本物の中身を備えることができれば、アーチェリーなんて簡単なスポーツです。「黄色にしか当たらないから面白くない」と言えるようになるためには、何をしなければならないかを知る手段を持つことが大切です。