指導者研修会

2017.11.20 Monday

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    昨日は京都府アーチェリー連盟主催の指導者研修会でした。

     

    京都府アーチェリー連盟は、他のどの地域の連盟・協会よりも優れているのではないかと感じる点が多いです。常に優れた取り組みに進化させる熱意が高く、年齢や在籍年数に関わらず参加者の誰もが気軽に意見を出し合えるオープンな環境です。研修で呼んで下さる講師の方は新進気鋭の素晴らしい人ばかりです。京都在籍でなければけいはんなアーチェリーも、今のようなこうした進化をしなかったのではないかと思う事がいくつもあります。

     

    重鎮の皆さんは年齢経験問わず若手の意見もよく聞いて下さり、外部の専門家の最新の知見を積極的に取り入れて下さり開かれた素晴らしい環境です。中には意見を言わせない雰囲気マンマンで現状を何も変えようとしない地域連盟・協会もあるようですが、是非とも開かれた環境を整えて、より良い取り組みを進めてもらいたいものだと思います。

     

    競技部秋田さんからのお話の中で、様々な大切なことが話されました。中でも大切なことは。あの人はこう言ってる、あの人からはこう言われた、という事で初・中級者を混乱させてしまっている事への注意です。京都では頼まれもしない人に出しゃばって教えたがるような指導者はいないと思うのですが、周囲で練習している人が何かを指摘してしまうことで混乱を招いている事があるのかも知れません。これは指導者のみならず周囲の選手も、当の初心者本人も十分に注意を払う必要があります。教えようとした人は善意のつもりかも知れませんが、その人が指導者からの指導を受けている人かも知れないので、周囲は口を出すべきではありません。教わる側は十分な知識のある指導者から学ぶことさえできれば混乱することはありません。

     

    そして指導者が十分に注意を払わなければならないのがセクハラ行為、男性が女性の身体に触れる指導についてです。もしかしたら逆もあるのかも知れませんが、特に男性の指導者や先輩が女性に積極的に触れる指導を行っているのが、様々な場面で目につきます。男性にはほとんど触れないのに女性には触れたがる男性指導者や、クラブの先輩がいるのは事実です。女性ばかりでしかも相手を選んで教えに行ってる人がいますが、対象への興味や触れる目的で近づいてるのは間違いないでしょう。受け手がセクハラ行為だと感じたら、それを相手に告げて改善してもらって下さい。相手に言えない場合は他の指導者か、他に指導者がいない場合は所属の連盟・協会に報告して下さい。それで改善されないのであれば、全ア連・日体協・JOCなどの窓口に相談して下さい。暴力行為や、しつこく誘う、居場所を聞き出すなどの迷惑行為についても同様の対応をして下さい。気持ちの良いスポーツ環境を整えるために必要なことですので、一人で抱えこまないで下さい。

     

    ■整うためのスポーツ心理学

     

    午前中は京都ではおなじみの、スポーツメンタルトレーニング指導士 筒井先生の講義です。

     

     

    筒井先生は射撃やアーチェリーを含む様々なスポーツのみならず、企業や消防など多くの分野でメンタルトレーニングの指導に携わってらっしゃいます。アーチェリー選手へのスポーツメンタルトレーニングのために、東京秋津のアーチェリーショップにお越し下さり、アーチェリー体験をして下さいました。アーチェリーは自分が動かない静的スポーツで、射撃やゴルフと似ている部分も多いです。この数年でアーチェリーに深く関わって下さり、アーチェリーにおけるスポーツメンタルトレーニングがさらに進化していました。というか、わかりやすくて面白すぎて、最初から最後まで会場は爆笑の荒に包まれました。内容もさることながら、筒井先生ご自身がとても面白い方です(笑)

     

     

    詳しくは書ききれないので大幅に省略します。アーチェリーを始めると誰もが思うのが、自分が放つすべての矢を中心に当てたいという願望です。競技会で高得点を出す競技者のみならず、それはすべてのアーチェリー選手・愛好家が同じ思いを抱いています。

     

    勝利や的中への思いが強ければ中心に当たるのではありません。普通に射てば当たります。しかし上位を競り合ってる時や、シュートオフなどの大事な局面になると的中を逃す人がほとんどです。練習では優れた的中を見せている人はたくさんいますが、いざ競技会になると高得点を出すことができない人が多いです。なぜでしょう?(笑)

     

     

    「集中する」「集中力」などと言われますが、ドローイング時から発射を終えるまでの間に自分で何ができていたかが大切です。「集中」している人の多くが的の中心に向かってサイトピンを必死になって合わせることに集中して「当てよう」としてしまってるので、他のあらゆる大切なポイントから意識が遠のき、身体のコントロールができなくなってしまい、狙った通りの場所に的中しないのです。

     

     

    「緊張を楽しめ」などと言っても、多くの選手はそんな事はできません。その緊張を楽しむ方法がわからないから、脳と身体がパニックに陥っているのです。例え楽しめたとしても、当たらなければ意味がありません。絶対に成功させなければならない1本の矢で勝敗が決まるシュートオフなどの局面では、どれだけ力を抜いてリラックスさせ、自分が抱えているウィークポイントをどれだけ正確にコントロールするかが大切です。

     

    講義の中では、日常のどんな局面でイラッとするか?ということが話し合われました。長いレジの列に並んでいてイライラする。渋滞にハマってイライラするなどのようにです。イライラしたり、何かに腹を立てた時などに、物を置く時に大きな音をさせたり、強く相手に当たったりする前に、自分がそのような感情になっていることを客観視する習慣をつけて、その感情を消したり押し殺したりするのではなく、その気持ちの強さを調節するのです。

     

     

    緊張するなと言われても、必ず緊張します。自分では緊張していないと思っていても、自分にそう言い聞かせても思い込んでも、身体は緊張しています。できない指導者ほど「緊張するな」「リラックス!」などと言いますが、当の選手本人はどうしたら緊張を解くことができるかわかりません。まずは身体の力を抜くことを覚えることから始めなければなりません。

     

     

    それができていたら、練習では当たるけど競技会では当たらないという情けない選手にはなってないのです。緊張している自分がそこにいるのだという状態を客観視して、常にその状態を予期しておかなければなりません。そして自分を正しく知り、緊張を生かして積極的に動けることができるようになることが大切です。これはスポーツのみならず、仕事や勉強でも同じことが言えます。ビジネスマンの育成に、アスリートのメンタルトレーニングに近いものが使われます。

     

     

    凄いと思ったのが、こちらの表現です。「試合で味わいそうなドロッとした感情」

     

    「緊張します」とサラッと言われても、緊張とはそんな爽やかなものではありません。重たくドロッとのしかかかるようなプレッシャーなのです。ビジネスの最前線に立つビジネスマンならわかるでしょう。社運を大きく左右させる大事な商談を迎えた朝のことを。その日その時に最高のパフォーマンスを発揮させるには、そこに到達するまでにどんな準備をしてきたかで勝負が決まるのです。

     

     

    ここ一番の大切な場面で本来できるハズのことができない状態に陥ることがないように、普段から思考と行動のトレーニングを積み上げておかなければなりません。競技会で真の実力を発揮させることができるようになるために、自分がどれだけのことをやってきたか、その中身が大切です。想定外の事も起こり得ると想定して、準備を重ねていきたいですね。

     

    とても書ききれないので、このへんで。

     

    ■痛みのメカニズムを知る

     

    午後からはこれまた京都ではおなじみの、整体の院長森岡先生です。

     

     

    森岡先生は京都のアーチェリー関係者はみんな知ってる森岡先生の息子さんで、上桂平川整体院の院長です。プロバスケットボールリーグの京都ハンナリーズの公式コンディショニングパートナーを務め、プロ選手をはじめ多くのアスリートの治療に携わってらっしゃるそうです。京都のアーチェリー選手もトップレベルから一般の選手まで多く通っています。

     

    森岡先生は4年前の研修会で上半身裸になって、ドローイングにおける骨格と筋肉の正しい動かし方を披露して下さいました。それまでは私も指導の現場ではたまに脱いで見せることあったのですが、この4年前の森岡先生の引き締まった身体が正確な骨格のポジションに誘導されていくのを見て以来、指導者は自分の身体を使って骨格と筋肉の使い方を正しく見せることができないと意味がないと確信しました。けいはんなアーチェリーでの指導スタイルが今の状態になったのは、まさに森岡先生のおかげです。

     

     

    アーチェリーというスポーツのシーン以外における仕事や日常生活・生活習慣で、身体のどこかに痛みを抱えてしまう人が多いものです。その痛みのメカニズムが何であるかをホワイトボードでわかりやすく説明して下さいました。いつも私が言ってることなのですが、痛みの発生についてを誤って認識している人が多いです。

     

    どこかが痛くて通常の整形外科に行った時の対応についても言及されてました。はい、じゃぁレントゲン撮りますね。シップと痛み止め出しておきますから、様子を見て下さい、おしまい。スポーツ整形ではない一般の整形ではそんな処置がほとんどです。これでは何も良くなりません。森岡先生のところではそういった人が正しく治療を受けて、痛みから解放される。そうした取り組みを続けています。

     

    今回は指導者が集う研修会でしたが、指導者の中にも身体のどこかに痛みや故障・不具合を抱えている人が何人か見られました。膝や肩や腰、首やお尻などのパートに分けて、人によっては治療したり、痛みがなくなるためのトレーニング指導をしたり、選手やレッスン受講生がこの部分をこう訴えたらこのように対処する、痛みや故障を防ぐためにどうする、などの指導を受けました。

     

     

    アーチェリーを長く続けることや、デスクワークなどが原因で肩の動きが芳しくない人も多い様子です。そうした人には動きのコントロールと日常的にできる簡単な運動や筋トレなどの指導がありました。まずは指導者がこのようにして理想的な身体に近づいていく取り組みを行うことで、教えた相手の身体を痛みや故障から守ることができるようになるのです。

     

    森岡先生も筒井先生に負けず劣らず面白い方で、午後もずっと笑いの渦に包まれてました。朝から夕方まで笑い通しな上にエクササイズもあり、暑くなって暖房の温度を下げてもらったほどです。頭も身体も中から熱くなって、さらに免疫力が高まりましたね。

     

    森岡先生は京都のアーチェリー界にとって貴重な存在です。こうした方が京都のアーチェリーに身近な存在としていらっしゃることが、どれだけ有り難いことかと思います。アーチェリー指導者が学び続けなければならないのは、こうした骨格と筋肉の専門家から身体の機能を正しく知ることです。アーチェリー指導者が骨格のメカニズムと筋肉についてのエキスパートを目指すことが、これから指導を受けるであろう未来の選手にとって不可欠なのです。指導者がこうした学びを持ち帰って、各クラブでの指導において故障者ゼロを達成したいですね。

     

    昨日の研修会では、筋肉の痛みと解決について学ぶことができたと思います。そうした部位を抱えている人に寒い中でひたすら実射させると、どういう状態になってしまうかをしっかりと考えて、オフシーズンとして理想的な取り組みを進めていきましょう。