リムボルトしか回していない危険なセッティングの人

2019.02.16 Saturday

0

     

    早く届けてあげたいと思う方の荷物に限って様々な事情が重なって止まっていたり、発注して5日程度で届くようなことがあったり、ヨーロッパからの荷物は予想がつかないことがあるものです。ですが輸送事故による商品の破損は、昨年1件もありませんでした。外装の段ボール箱にフォークリフトで突き刺した荷物も中身は無事でした。多少の前後はありますが、大体2週間前後で落ち着いた時期になりました。バカンスとクリスマス-年末年始のシーズン、サッカーワールドカップ、オリンピックなどの期間を含んでしまうと、国際物流は止まってしまったのかと思うほどです。

     

    ■知っていることが多いと面白い

     

    つい先日、娘の腕時計の電池を交換しました。時計好きでも時計マニアでもありませんが、時計屋さんの親戚もあって時計の仕組みには詳しいほうです。超高額なクロノグラフなどは別ですが、安い腕時計は構造が単純なので電池の交換は簡単な作業です。捨てるかどうか迷っているような時計を壊す覚悟で一度自分で開けてしまえば、大体どんなものであるかを理解することができると思います。

     

     

    時計の電池は送料込みで10個260円です。なので送料を別とすると電池は1個18円程度なのです。電池の原価は1個10円程度かも知れませんね。昨年交換した下の娘の腕時計も、今回交換した上の娘の2つの腕時計も、この電池交換で問題なく動き続けています。交換に要する時間は2つ合わせて5分程度です。いろんなことを知っておくと世の中が面白いのです。

     

    アーチェリーの調整は時計の電池交換よりも簡単です。時計はどこかを間違えても大きな人身トラブルに見舞われる可能性は少ないと思いますが、アーチェリーに関しては自分のみならず周囲の人にケガを負わせてしまったり、機材破損のような大きな事故になってしまいますので調節に関する十分な知識を持って必ず安全な状態で使って下さい。

     

    ■ストリンガーを使わない装着を禁止の流れを作りましょう

     

    昨シーズンは機材の破損によるトラブルの問い合わせは少なく、ストリング装着失敗による負傷の報告が各地から最も多く寄せられた一年でした。すべてストリンガーを使っていれば100%避けることができた悲惨な事故ばかりです。ストリンガーを使わないで装着することが上級者の証ではありませんし、ストリンガーを使わないのが格好イイというものではありません。私もかつてはストリンガーを使わないで装着してましたが、それを真似して失敗してケガをした人がいました。

     

    それからは私がストリンガーを使うことが模範になるのだと思い、反省を込めてストリンガー使用のみでの装着に完全に切り替えることにしました。車を運転するときのシートベルトのようなものです。あの人はシートベルトしないで運転していると言われたらどうでしょうか。あの人はストリンガーを使わないでストリングを張ってると言われるも同じなのです。

     

    今では私の周囲にストリンガーを使わない人はほとんどいないと思います。アーチェリーを愛する多くの方のためにも、ストリンガーを使わない危険な方法でのストリング装着をやめて下さい。自己責任などと言って済む話ではありません。自分は大丈夫なのだと言う人もいるかも知れませんが、それを真似て多くの人が大ケガをしているのです。

     

    ケガするくらいならストリンガーなんて安いものです。ストリンガーを使ってできるだけ安全で理想的なアーチェリーライフを満喫して下さい。ストリンガーを使わないで張ろうとチャレンジする人をなくして下さい。本当にお願いです。

     

    ■ハンドルやリムが壊れる使い方

     

    機材破損のトラブルは滅多にありませんが、新製品の初期ロットから発生してしまうのはどの業界の工業製品も似たようなものです。世の中の物事に「絶対」とか「完璧」なものは存在し得ないのですから。

     

    それにしても調整の仕方がわからないまま使ったことでハンドルやリムを壊してしまう人が多いです。使用状態の悪さが原因で壊してしまった場合はメーカー製造瑕疵はありませんので、破損状況の詳細画像をメーカーに送っても保証対象になりません。

     

     

    よくあるのが、リムボルトを緩めて引きを弱くしたことによるハンドルまたはリム破損です。ハンドルに関する問い合わせの中で「最も締め込んでから何回転まで緩める位置が基準ですか?」と尋ねられますが、多くのメーカーの製品ではそのような明確な基準は定められてません。なぜなら使用するリムごとにベース厚がすべて異なるからです。

     

     

    ILF製品は世界中のあらゆる組み合わせに対応できるように、かなりの許容範囲を持たせて作られています。ハンドルにリムを装着してリムボルトを最も締め込んでリムを抜くことができなくなる位置で、そのリムで最も強さを発揮します。例えば4回転であればそこから4回転緩めた位置が基準位置となってしまうことになりますが、リムのブランドや種類、それに素材や強さなどによってベースの厚みが異なります。そのため使うリムによってはハンドル本体に対するリムボルトの位置は異なるものになります。基準が基準になっていないのです。

     

    金属加工業界の方のお話からすると、取り外したリムボルトをハンドル本体に回し入れ、5回転程度入っていればハンドル本体へのダメージは発生しないそうです。締め込んだ状態から5回転以上緩めてしまうとロクなセッティングになりませんので、緩めすぎることなく4回転程度というのが妥当のようです。しかし細心の注意を払わなければならない最も危険な部分がここなのです。

     

     

    こちらはリムを装着して締め込んだ場所から4回転緩めた位置です。リムボルトをこの位置まで緩めると、リムのベースがリムボルトの天井に接触しません。このままの状態でストリングを張るとリムボルトがリムベースを支えることができない状態で、リムのロケーターがハンドルのソケットに鋭角に噛み込んだ状態の部分にリムの強さが集中してしまいます。

     

    ハンドルのソケット部分やリムのロケーターの破損、ロケーターが圧入されているリムのベース破損は、この状態で発射されたものでした。捻れが生じて修復不能なハンドルもありました。ソケットの中でロケーターを斜めにこじっていて、リムのベースがリムボルトに接触していなければ強いポンドではたちまち破損しますし、弱いポンドでは次第に破損します。

     

     

    リムボルトを弱めた状態でリムボルトに接触しない場合は、このロケーターの出幅を調節します。1mmにも満たない程度僅かに出しただけで、ほとんどの場合は解決します。

     

     

    まずは表側のボルトを緩めて取り外します。ボルトのスレッド部分には緩み止めが塗布されてますので、固くて外れにくいことが多いです。ボルト頭をナメてしまわないように注意します。ボルト頭をナメてしまいそうなくらい固くて緩まない場合は貫通ドライバーを使ってグリップ先端をハンマーで叩くと、叩いた衝撃で緩み止めが結着している一部が脱落して回しやすくなることがあります。

     

     

    ボルトを取り外すとリム脱落防止のピンとスプリングが出てきます。リムの中にはスプリングのテンションが強くて勢いよく飛び出してくる製品もありますので、無くさないように慎重に。ボルトの一部に青い色が見えますが、これがメーカーが装着した際に塗布してあった緩み止めです。

     

     

    ソケットは圧入されてますので、CRC 5-56 などのような浸透性の高いオイルを垂らし、しばらく放置します。周囲を汚さないように余分な油は拭っておくことが賢明です。

     

     

    そしてハンマーで叩き出すのですが、最初に装着してあったボルトを叩いてしまうとボルト頭を変形させてしまう可能性がありますので、手近にあるM6ボルトをねじ込んでハンマーで叩きます。ボルトの回転が浅いとスレッドを痛めてしまいますので、できるだけ奥まで回します。M6が多く使われてますが、リムのメーカーやグレードによっては異なる規格のボルトの可能性もありますので、実際にボルトを回し入れて確認して下さい。

     

     

    軽くコツコツ叩くと僅かに出てきます。

     

     

    完全に出してしまうとこんな感じです。もしもロケーターを取り外してしまったら、装着に注意して下さい。取り外した時はコツコツと叩きましたが、装着する場合は絶対に叩いてはいけません。リムの穴のギザギザに丁寧に合わせて、ボルトをゆっくり回してリムに垂直に挿入されるように慎重に圧入して下さい。

     

     

    リムのロケーターの出し幅を僅かに動かした状態でリムをハンドルに装着します。するとリムボルトの天井にリムのベースがしっかりと当たるようになりました。この状態でリムを引き抜くことができれば調整は完了です。

     

    リムボルトをその位置で固定して、再度リムを装着します。ロケーターのボルトをゆっくり締め続けてリムボルトにベースが接触しなくなる瞬間の位置を確認します。次にロケーターのボルトを3分の1から2分の1回転緩めた状態でストリングを張り、リムベースがリムボルトに正しく接触しているかどうかを確認します。そしてストリングを取り外してロケーターのボルトを取り外し、ボルトのスレッドにロックタイト222を塗布してから先ほどの位置に回し入れたら終了です。

     

    ロケーターのボルトのように緩み止めが塗布されているボルトが発射の衝撃で外れてしまった場合は、拾ったボルトをそのまま締めてもすぐに緩んでしまいます。このようなボルトが外れてしまった場合はロックタイト222を僅かに使って締めて下さい。ロックタイロは222の弱強度を使って下さい。242以上の接着強度を使うと取り外しが不可能になりますので注意して下さい。

     

    これらの作業は当会から一式をお求めになられたセットアップ希望の製品に、セットアップ費用なしで行っております。ですが簡単な作業ですので本当は自分でできたほうが良いでしょう。すべての機材は使用に従って常に状態は変化していきます。道具は勝手には壊れません。状態が不具合になってしまう前にその原因を自分で突き止め、事故を未然に防ぐ取り組みが大切です。

     

    ちなみにこちらのハンドルは過去に公認競技会で入賞した7,000円程度の初心者用ハンドルの色違いです。

    http://bright.khn-archery.org/?eid=13

    最悪な天気の中、70mラウンド後半36射で300点アップしています。ハンドルに装着したスタビライザーは安い初心者用のセンターロッド1本のみで、矢はVAPのV6(精度006)なので現行のアバロンクラシック完成矢(精度005)よりも低い精度の矢を使ってました。羽根はEP16という初心者用のゴム羽根です。弘法筆を選ばず。どんな安い製品を使っても当たり前のように当たります。高い道具を買うのではなくて、性能を扱い切ることができる自分の能力を養うことができなければ大いなるムダづかいにしかならないのです。

     

    ■リムを外しにくい組み合わせになってしまうこともある

     

     

    ILF方式が広まって使いたいと思うブランドの製品を好き勝手に組み合わせて使えるようになりましたが、組み合わせによってはハンドルからリムが抜けてしまいやすいものが出てきました。事故防止のために近年の製品はロケーターのピンがソケットの穴にしっかりと固定される製品が主流になってきました。これで組み立て時の事故は減ると思いますが、それにしても抜きにくい組み合わせもあるものです。分解ができることで運搬と収納が便利になったのですが、簡単に装着できても外れにくすぎると困ります。そういった組み合わせになってしまった場合は、こうした道具を使ってハンドルのソケットを僅かに削り込むことで良い具合に調節することができます。こちらは近くのダイソーで購入したものです。

     

     

    ダイヤモンド加工が施された先端の細くて丸い部分が高速で振動して、先を軽く当てるだけでエッジを滑らかに落とすことができます。こうした細かな調整で自分が使う機材を最も優れた状態に仕上げることが大切です。

     

    わからない、苦手、なんて言っていても、誰かが勝手に自分の機材の状態を完璧にしてくれることはありません。上級者が行わなければならないような繊細なチューニングがどうこう言うよりも、まずは自分が使っているハンドル・リムの状態が本当に大丈夫かどうかを確かめてみてください。

     

    ■7,000円台のリム

     

     

    これまで大好評だった引きの柔らかい、マイルドで扱いやすくて大人気だったイグナイトが、なんと税抜7,000円(税込7,560円)という期間限定セールがスタートしました。現行品にも関わらず安すぎるので、欲しいサイズがあればラッキーですね。メーカー在庫限り、期間限定の特別価格です。これを機に当会でも、レンタルリム用としてよく使うサイズを仕入れようと思います。

     

    ■的紙

     

     

    本格的なシーズン入りを控えて、70mラウンド用の122cm公認的紙の注文が増えて参りました。本格的なシーズンに入ってからの注文になりますとメーカー在庫は例年のように長く欠品状態が続きますので、お早めのご注文をお願いします。

     

    入荷まで2週間程度とあれほどお伝えしているにも関わらず、「来週使いたい」とか「急ぎで何とかならないか」など言われても急には入りませんし、メーカー在庫が完売してしまえば半年以上待たされる事があります。

     

    現時点ではメーカー在庫は豊富にありますが、2月後半になると急激に動き出し、3月に入ると品薄になります。今シーズンからはテンプルからアバロンに的紙の製作がシフトされてますので作シーズンのように2本柱とは行かなくなり、世界中からアバロンへの注文が殺到することが予想されます。

     

    これまでの公認的紙の中で、世界で最も最も安く最も品質が高いので、世界中で使われるようになりました。各競技団体はメーカー在庫があるうちに押さえておくことをお勧めします。