コードバンタブの作り方

2019.03.14 Thursday

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    SFのタブ、エリートコードバンの人気が急上昇しています。通常であれば 3,240円だった製品が 1,998円という激安ぶりにはビックリします。コードバンではないレザータブは 1,763円、交換用のコードバン皮革セットは 2,203円なのを見ても、今回の特別セールの販売価格がどれだけ異常であるかがわかります。

     

     

    周囲の仲間と誘い合わせて2セットを注文される方が多いです。競技用の高級タブとして同じタブを2セット準備しておくという方も多いですね。こちらのタブは私も愛用しています。メーカー在庫が無くなる前に、是非とも揃えておきましょう。

     

    ■コードバンタブの作り方

     

    あらゆる製品の優れた部分を探るために多くのタブを所有してますが、気に入って使っているタブは2つしかありません。ひとつはアバロンのクラシック、もうひとつはSFのエリート(レザーコードバン)です。多機能で高価格のタブも結局は見掛け倒しでそれほど重要な機能を果たしている製品は限られており、タブを手の甲側に回すことができず得点記録と矢取りに難儀するような、強いられた苦労を超越するほどの高い性能を感じることができません。結局は必要にして十分なシンプルな製品が最も使いやすいことに気づきます。

     

    どちらのタブも安価で高性能なレザータブがあります。取り掛けを本当に正しくできている人は極めて限られていますので、本当に正しい取り掛けをマスターできるようになるまでは、コードバンではなくレザータブを使うことがベストです。ほとんどのアーチャーは取り掛けではなく、弦を握るか掴むか引っぱるかで乱暴に弦を弾いてしまっているので、正確無比の的中ができ得ない状態に陥っています。永遠の三流アーチャーにならないためにも、指導のプロフェッショナルから学ぶことが大切です。

     

     

    こちらが私が使ってきたSFのエリートタブMサイズです。タブ表皮は1枚50円程度の牛革ハギレです。中指のベルトはナイロン製から牛革に交換することで、しっとりとしなやかな装着感になり、長時間でも違和感なく使い続けることができます。タブ表皮の素材によって、出せる得点に何ら違いはありません。過去に何度も紹介していますが、このような安い皮革で公認競技会で連覇したり、全国大会に出場している事実があります。

     

    美しい字が書ける人は5本で100円のボールペンであっても美しい字を書くことができます。テストで常に100点満点を取ることができる人は1本10万円の万年筆を使っても、5本で100円のボールペンを使っても、100点満点という結果は同じです。コードバンでなければならないという思い込みを捨てて、本当に上手くなるために自分が何をできてなければならないのかを考えることが大切です。

     

     

    当会では日本が世界に誇る世界最高品質の新喜皮革のコードバンをカット販売しています。コードバンのシートは楕円を変形させたような形状の大きな皮革シートですので、こうした端の部分が出てきます。コードバンは農耕馬の尻の皮から削り出して取り出した貴重な部分です。あまりにも高価な命の使い方をしてしまっているスポーツであることを決して忘れずに使ってもらいたいものです。こうした1枚のタブ革としては使えなくなった小さな革の部分は2枚または3枚など組み合わせてレッスン受講生にタブ皮革として使ってもらっています。

     

    昨日のレッスンで受講生の方が自分用のタブとして製作されてるのを見て、自分が使ってきたレザータブをコードバンに変えてみようと思い、捨てずに大切に保管してあるコードバンの切れ端を出してみました。

     

     

    同じ革の組み合わせでうまい具合に見つかりましたので、これらを組み合わせて使ってみます。タブの裏革も牛革のシート切れ端があったので、それを使ってタブを1セット作れそうです。

     

     

    これまで使ってきたタブから皮革を取り外します。常に指で触れている裏革は、できるだけ短期間に交換して下さい。タブ用として最適なベロア革なんて安いものです。ひと夏越したようなものを使い続けるような不衛生なことは絶対にやめて下さい。

     

     

    こちらは中指・薬指の部分です。よく切れるカッターナイフで優しくなぞるようにして丁寧に切り取ります。自分の手を切ってしまわないように慎重に作業を行います。新品の刃であれば、そっとなぞるだけでスッと切れていきます。力を込めなければ刃が進まないような刃での作業は危険ですので、必ずよく切れる状態の刃を使って切り取ってください。

     

     

    下半分を大まかにカットしたら、人差し指側を合わせていきます。

     

     

    革へのボルト穴あけは、こうした穴あけポンチがあると便利です。自分が使っているタブに使われているボルトのサイズに合った径のポンチを選んで下さい。SFのエリートタブは3mmです。他にもベルトを通す穴やカントピンチを固定するボルトがありますので必要に応じて揃えます。こちらのポンチはダイソーで購入したものです。

     

     

    表皮のコードバン皮革に開ける穴は、ポンチで開ける前にタブプレートを合わせて、タブプレートの上からボールペンを強く押し当てることで皮革の穴の位置とプレートの穴の位置を一致させることができます。

     

    そして売りモノにはならない形状のベロア皮革を自分のタブのサイズに合わせてカットします。慣れた作業ですので下書きもせずにいきなりカッターで切り取ります。カッターではなくてもハサミを使ってもいいのです。少し大ざっぱでも完成させた後に余分な部分を切り落としますので、最初から綿密に合わせる必要はありません。ナイフで手を切らないように気をつけてください。

     

     

    2枚の革を合わせて、その状態で上から一気にポンチで叩きます。かなり大きな音がしますので、誰にも迷惑にならないように場所と時間帯を考えて作業を行って下さい。仕上がりの美しさを気にしないのであれば、必ずしもポンチでなくても作ることはできます。キリで穴をあけてボルトを通すこともできます。穴をあける場所にカッターナイフの先端で十字に刻みを入れればボルトが通る穴を簡単に切ることができます。何がなければならないというのではなくて様々な創意工夫を凝らして自分のタブを自分で作ってみましょう。

     

     

    こうして廃材利用のハイブリッドができました。私が使うタブは常に多くの人が手にとって見ることになりますので、手作りとは思えないほど、仕上げの美しさにはこだわります(笑)さっそくタブプレートに装着してみましょう。美しい装着にはコツがありますので是非とも覚えておいて下さい。

     

     

    タブプレートにボルトをいきなり取り付けるのではありません。まずはプレートは別にして皮革のみに取り付けます。それぞれの皮革を重ね合わせ、革の穴にボルトを奥まで押し込みます。

     

     

    革にボルトを刺したらタブプレートを合わせて、プレートにボルトを少しずつ回していきます。この時ボルトを最後まで回してしまわずに、皮革にテンションが加わらないように緩い状態での仮留めにします。

     

     

    ボルトの固定はタブ中心付近の中指に近い部分を最初に固定します。そして中心から外側に向かって広がるような順番に固定してください。そうすることで皮革のゆるみ・たるみがない状態で、このようにタブプレート・コードバン・ベロアという異なる3つの素材を美しく揃えることができます。

     

     

    中指のベルトも交換します。オイルコードバンの長細い端財がありましたので、これを使います。

     

     

    ポンチで留め金具の穴をあけて、余分な革を切り取ります。自分の指という原寸合わせで作ってますので、一発で完璧なフィットに作ることができます。

     

     

    中指をベルトに通してカントピンチの角度を合わせて、人差し指上部・薬指下部の形状が揃うようにカットします。ノックガイド部分は使っているノックのサイズに合わせ、ストリングに装着したノッキングポイントに合わせて当たり角を微調整をします。

     

    さぁ、完成です。こうして元は安いレザータブだったものが、最高級最高品質の特別なコードバンタブに生まれ変わりました。しかも自分だけのための特別な専用設計です。仕上がりの状態を見てみましょう。

     

     

    裏側はこのような状態に仕上がっています。裏革は指で触れる部分ですので、見た目や臭いが変わってしてしまう前に頻繁に交換して下さい。ベロアとしての性能を完全に失ってしまうまで使い続けてはいけません。

     

     

    表側から見ると、言われなければコードバン表皮が2枚の組み合わせであることに気づかないほど完成度高く仕上がりました。まずはこのままの状態で実射してみますが、皮革の硬さの状態を確かめながら少しずつオイルを加えて育てていくことが大切です。

     

    ハンドル・リム・矢は、実はそれほど重要性の高いパーツではありません。最も重要性の高いパーツはタブとストリングです。特にタブの状態は、あなたの射のマズさのすべてを物語ります。

     

    アーチェリー用品は買ったものがそのまま最初から自分に合っているものなどありません。弓も矢もこうした用品類も、様々な工夫や調整が必要なものばかりです。初期状態で製品の良し悪しを決め付けるようなことはせずに、最も優れた状態に仕上げていくことが大切です。

     

    昨日の屋外レッスンは暖かくて、本格的な春の到来を感じる一日になりました。本格的なシーズンを迎えるに当たって、買いやすい価格帯の「本物」を見極め、最高に楽しいアーチェリーを満喫できる環境を整えましょう。