タブの状態が悪い人だらけ

2019.03.21 Thursday

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    最初にハッキリ言っておく。不潔極まりない自覚がない人が多すぎてあきれ果てている。

     

    私は潔癖症ではないが、その日の運動の有無に関わらず着ていた下着は毎日洗う。スポーツでかいた汗を拭いたタオルはすぐに洗う。食事の前には手を洗うし食後は食器を洗って片付ける。これらの行為に疑問を抱く人はおらんやろう?

     

    車を所有している人であれば、汚れが目立つようになってきたら洗う人が多い。窓ガラスが汚れたら拭く。それも否定するまでもない。

     

    アーチェリー競技に使う機材類は、使うたびにハンドルとリムを絞ったタオルで水拭きする。ストリングワックスを塗ってフラッシングする。数回に一度ストリンガーを洗う。雨にさらした機材は持ち帰ってすぐにオーバーホールする。本当に正しい指導を行うことができていない所で何が行われているか知る由もないが、これらはアーチェリーを行う者の中で必然的なメンテナンスとして行う常識である。機材提供を受けているサポート選手であれば、メーカー担当者からしつこく念を押される。使うことが宣伝活動なので汚れや傷が許されないからだ。

     

     

    しかし中には非常識な人がいて、チェストガード・アームガード・フィンガースリング・タブという、常に身体に触れている用品類を洗わないまま使い続けるという、人間社会での常識から乖離した部類の存在がいることにビックリさせられる。これらは必ずしも毎回洗えと言ってるのではない。履いてるシューズが汚れてきたら洗うやろう。その程度の比較的長いスパンでのことが成されていない。

     

    まぁ、「一流選手になりたい」と言うのが口先だけである証拠なのだが、本当に上手くなったら常に注目を浴び続ける存在になり、身体の動きの詳細や使う機材の隅々までを常につぶさに観察される対象となる。自分がそうなる将来を見据えてないから、そんな状態であるのは間違いない。だからアーチェリーのみならず、何をやっても「パッ」としないのだ。アーチェリーから学び得たすべてを活かすことができるかどうかは、すべて自分で気づくしかない。アーチェリーを通じてどこまでも成長してもらいたいものだと、すべての人に対して思う。

     

    チェストガードやアームガードは洗濯ネットに入れて洗濯機に洗わせたらエエだけや。中にはタブを洗濯機で洗う猛者もいるが、皮革に含んだ洗剤が完全に抜け切れないことが多いので、手洗いのほうが無難。そこで競技用の分解式タブの洗い方を詳しく説明したい。

     

    ■タブの洗浄

     

    アバロンのクラシックタブを使い込んだあとに、表皮を新喜皮革のコードバンに交換して使っています。裏革は最初からタブに装備されていたスウェード調の人工皮革です。

     

    このクラシックタブが優れているのは、安価であるにも関わらず分解式で皮革の交換ができて、交換用の皮革がビックリするほど安いこと。指で触れる裏革は、まるで本皮かと思うほど高い質感の人工皮革で、耐久性が高く何度も繰り返して洗うことができることです。そのため表皮をコードバンに交換して裏革を既製品という組み合わせで、驚異的なロングサイクル使用ができてしまうのです。

     

    分解式タブでコードバンが装着されているのであれば、これから紹介する手順で洗って下さい。

     

     

    まずはアーレンキー(六角レンチ)を使って皮革を固定しているボルトを外し、2枚の皮革をプレートから取り出します。

     

     

    お湯を入れた洗面器に2枚の皮革・カントピンチ・ベルトを浸して、優しく揉み洗いをします。カントピンチの中に水分が入ると抜けなくなりますので、プレート固定ボルトを締めた状態で洗って水の浸入を防止します。

     

    頻繁に洗っている人のタブであれば汚れは少ないので、2回目以降は洗剤を使わず湯揉み洗い・乾燥・オイルメンテナンスだけで常に清潔な状態を保つことができます。

     

     

    湯揉みしたら洗面器の中のお湯を換え、洗剤を使って揉み洗いをします。洗剤ではなくてもハンドソープで十分です。私は手洗い用の泡ハンドソープを使っています。わざわざ特別なものを用意する必要はありません。

     

    裏革に汚れが見えないほど頻繁に洗ってるこのタブでも、ソコソコの汚れが染み出てきます。使い続けたタブの裏革に汚れが見えるようなタブでは、洗面器の底が完全に見えなくなります。

     

     

    まるで交換したばかりか?と思うほどの私のタブでも、しばらく使っているとこの程度の汚れが出てきます。初めて洗う時は皮革に浸透させてある染料と油脂が出てきます。クラシックの裏革は人工皮革を皮革に似せて染め上げてますので、初めて洗う時にはお湯がオレンジ色に染まります。2回目以降は染料が出てくる量が徐々に減っていきます。

     

     

    お湯を何度か交換して汚れが出てくる量が減ってきたら、皮革を揉んですすぎます。通常の洗濯物とは違って皮革は内部に洗剤成分が浸透して留まりますので、お湯の中で優しく丁寧に揉み続けます。

     

     

    コードバンは乾燥状態だと硬いのですが、水分を含むとグニャングニャンの状態に変化します。乱暴にすると皮革が変形してタブに合わなくなってしまいますので、柔らかくなった状態のコードバンは丁寧に扱って下さい。

     

    使って変形してしまったコードバンの形状を直すことができますので、ドローイングのマズさや取り掛けを直したい時にはタブを洗って最高の射ができる部分を探りましょう。

     

     

    丁寧にすすぎを終えたら、2枚の皮革が含んでる水をタオルに移します。

     

     

    タオルの中に挟んで上から真っ直ぐ、そっと踏みつけます。皮革がグニャグニャに柔らかい状態なので、強すぎる力で踏み込んだり、グリグリと踏みにじらないで下さい。この段階で完全に水分を除去しようと思わなくても大丈夫です。

     

     

    水分をタオルに移すと急速に乾燥が速まりますので、少し作業を急ぎます。表皮のコードバンにあけた穴の位置がプレートの穴の位置に合うかどうかを確かめます。少し広がって合わない場合はテーブルの上で指先で皮革を変形させたり収縮させたりして、プレートの形に合わせます。その直後にコードバン表皮の上に裏革を重ねて同様に穴の位置を合わせます。これをせずに乾燥させてしまった場合は、再び水を含ませて皮革を柔らかくして形状を合わせます。

     

     

    皮革の穴の位置を合わせたら手帳の表紙に皮革を並べ、コードバンのストリングが触れる面を上にします。そこにステンレス製のバットを置いて、バットの上に何か物を乗せて静かに待ちます。

     

     

    3時間程度固定すると形状が安定します。バットの底はツルツルなので、コードバン表皮の上面はこのようにツルツルに輝きます。この状態のまま翌朝まで乾燥させます。ドライヤーやストーブの前などで急激に乾燥させるとたちまち変形してしまいますので、常温で自然に乾燥させて下さい。

     

     

    朝になると、このように平らな状態で硬くなっています。乾燥が足りないと感じる場合は表裏ひっくりかえして皮革から水分が完全に抜けるのを待ちましょう。

     

     

    指が触れる裏革は、まるで新品のようにリフレッシュされました。汚れる前に洗って下さい。この作業を面倒クサイと思うようでは管理ができないということなので、アーチェリーに向いてません。雨の競技会を終えた直後にも同様のメンテナンスを行います。

     

     

    乾いたコードバン皮革にオイルを含ませたら元の状態に組み付けます。2枚の皮革にボルトを当ててからプレートに固定していきます。皮革を固定するボルトを締める順番は、中指が当たる位置から外側に向けて合わせていき、皮革に緩みや弛みが生じないように丁寧に装着します。

     

     

    それぞれの部品を組み合わせたら完成です。表皮は新品時の真っ直ぐな形状に復元してますので、これまでの取り掛けの位置に関係なく、自分が合わせていきたいと思う好きな位置で取り掛けたり、ドローイングのアプローチを変えた時に生じる取り掛け状態の変化をじっくり確かめて下さい。

     

     

    こうして正しくメンテナンスを行うことで最良の状態を保つことができます。正しくメンテナンスをしていれば、数十年もの間使い続けることができます。一年で10万射もの射をこなすような選手でもない限り、コードバンは使い捨てではないのです。

     

     

    何度も洗って染料が落ちているので色は違ってきてますが、このタブだけ見たら裏革は新品にしか見えないと思います。

     

    タブ裏革に求められる最も大切な機能は、指先から発生させている水分・塩分・油分を含むことです。水分は蒸発しますが、水分以外の分泌物は裏革に含み続けます。裏革の色が変化するまで使い続けてはいけません。タブが汚れているなど、あってはならないことなのです。

     

    スマホの画面は操作のたびに汚れていきます。それはなぜでしょう?事件で捜査する時に犯人の指紋を探します。指紋は一体何でしょう?指先から常に浸出している皮脂で汚れてきたスマホの画面やメガネのレンズは、マイクロファイバーのシートやセーム革やベロア革でキレイに拭い取ることができます。タブで使われている裏革は、それほどまでに油分を吸着するのです。交換しないとか洗わないなど、あってはならない非常に不潔なことなのです。

     

    もしもタブが汚れているのなら、今すぐ洗いましょう。不衛生が常識である集団を形成するのはやめて下さい。これからは心を入れ替えてタブを清潔に保ちたいと思うのであれば、タブはアバロンのクラシックがオススメです。見える汚れが出る前に洗って、常に手入れが行き届いた状態にしてアーチェリーを楽しみましょう。