タブ皮革のサイズ決め

2020.03.13 Friday

0

     

    COVID-19 ウイルスがヨーロッパに危機をもたらしてしまいましたね。アーチェリー用品の大半が中国で製造され、ヨーロッパのディストリビューターから出荷されますので、製品の安定供給が難しくなる可能性もありますね。何年か前に輸送会社がサイバーテロに遭い、私たちも困った事態に見舞われましたが、今回はそんな局所的なものではなくて、国際社会全体でのパニックが危機をもたらしてしまっています。もうどうにもなりませんので、開き直ってアーチェリーを楽しみましょう!

     

    ■カーボン完成矢タイロに異変

     

     

    最近入荷しているタイロ完成矢は、Gサイズノックではなくてインサートピン・ピンノックが装着されて入荷しています。メーカーがクラシック完成矢と間違えてピンノックを装着したのかも知れませんし、ランニングチェンジなのかも知れません。

     

    間違いグレードアップに文句はありませんので、メーカーから出荷された状態のままで、アップチャージなしでご用意させていただきます。今後タイロ完成矢がピンノック仕様になるのなら、クラシック完成矢の位置づけが微妙になりますね。両者の実質的な違いは羽根のサイズです。できる限り失速させずに遠くまで飛ばしたいのであればタイロ。飛翔の安定性を得たければクラシック。まぁ、いろいろ試して自分に合ったカーボン矢を選んでみてください。

     

    ■タブ皮革サイズ合わせ

     

    いろんな相談が多すぎて困りますね。正しく理解できてないまま取り組むことは上達を遠ざけるだけで、永遠に上手くなることはできません。アーチェリーを習ったら良いだけの話なんですけどね。アーチェリーはラグビーやサッカーなどと比べても、スポーツと呼んで良いかわからないほど運動強度が低く、誰もが簡単に上手くなることができるスポーツです。本当に正しい身体の使い方を学ぶことが大切です。

     

    タブに関する悩ましい相談が多く寄せられますが、はっきり言ってメールでのやりとりで解決できるようなものではありません。ほぼ間違いなく正しい取り掛けができておらず、ドローイングのアプローチに根本的な誤りを抱えてしまっている可能性が高いからです。これは何点が出ているから正しいというものではありません。取り掛けとドローイングに関する身体の誤りは、肩の痛みや腱鞘炎などのような、痛みや重篤なスポーツ障害を招く最大の原因になります。

     

    指の痛みや腕の筋肉の使われ方による痛みや腱鞘炎を抱えた人から、タブ革は何を使ったら良いか?などの相談が絶えませんが、問題はそこではありません。タブ皮革をコードバンに変えたり、裏革を厚くしたり、厚い革を何枚も重ねたりすることは、身体が抱えている問題を悪化させるだけの結果に終わります。まずはスポーツ医療チームの先生方から、取り掛けと正しいドローイングのアプローチを学ぶことが大切です。

     

     

    あまりにもコードバンコードバンと賑やかですが、いきなり高級なコードバンをムダにするような使い方が多くて困り物です。最終的にコードバンを活かすことができるように、取り掛けやタブ皮革の使われ方や状態に気を配り、本当に正しいことができているかを確かめる作業を行わなければ、永遠に三流アーチャーのままで終わってしまいます。

     

     

    タブに付属しているコードバンの形状が自分に合っているかを把握できてない人がほとんどです。現在市販されているタブの多くが設計が古いので、最先端の解剖学からはやや遅れてる感が否めません。タブプレートを自分の掌サイズに合ったタブを選ぶと、皮革の全長が少し短いのです。取り掛けが正しくない人が腱鞘炎になりやすい傾向にあるのは、この部分が大きく関連しています。

     

    いきなり高品質のコードバン皮革を使って試行錯誤的に切り刻むのはあまりにもムダなので、こうした安い牛革を使って試します。的中性能はコードバンも牛革も同じです。牛革で理想的なタブを作ってみます。

     

     

    オリジナルの皮革から大体の形状にトレースしたら、表の牛革は2cm長く、裏のベロア皮革は2.5cm長くカットします。皮革に穴を開けたらボルトを合わせて、2枚の皮革の形を合わせて微修正します。

     

     

    表革の牛革は乾いてカサカサで固いので、そのままでは取り掛からずにストリングを握ってしまいます。皮革にしなやかさと潤いを与えるために、コードバンと同様に太白ゴマ油に浸します。オイルグレージングされてない皮革なので、大さじ1杯分程度も吸い込みます。

     

     

    オイルを多めに塗ってベタベタになってしまっても、重ねたティッシュに合わせてスリッパで軽くトントン踏めば、余分なオイルは落ちてくれます。表の牛革のオイルが裏のベロアに移ることもありません。

     

     

    プレートに装着するとこんな感じです。2枚のタブ皮革が長くて、伸ばした指が見えません。この皮革が長すぎる状態で近射して、表革の表面に残る痕跡に合わせて、皮革の全長を調整します。

     

     

    6射矢取り2回の12射の状態のタブです。サービングが半分弱程度回転してから表皮を摩擦した痕跡が残されています。谷折れ部分が伸ばした薬指の第一関節の取り掛け部分に合致してますので、この状態から正しい取り掛けができていることが見て取れます。これに誤りがあると指先から肘までの部分のどこかに不具合を抱える可能性が高く危険です。

     

     

    36射程度近射して、皮革に残るサービングの痕跡を見ながら皮革の全長と形状をカットしていきます。1射毎にタブ表皮の状態をつぶさに観察して、取り掛け・ドローイング・リリースが及ぼすタブ皮革の変化を正しく知り、正確に的中させることができる技術を習得できなければ、本気で真剣にやっている意味がないのです。

     

    これはこれで随分と良い具合に仕上がりました。しばらくはこの牛革のタブを使ってみます。多くの中級者はコードバンじゃなくて、こうした馴染みやすい牛革の方が上手くなりやすいのですけどね。正しく取り掛けができてないうちは、コードバンの固さが繊細な操作を阻害してしまいます。

     

    タブもストリングも、どんな高い素材を使ったら当たるというものではありません。どのような使われ方がされているかが結果を大きく左右します。レスポンスが高すぎる高弾発の最新のカーボン矢も、剛性が高すぎるスタビライザーも、高額なコードバンも、それを使っていたら当たるというものではありません。

     

    何を使っても当たらないよりも、何を使っても当たるようになるのがベストです。自分がどっちになりたいのかを考えて真の上達を果たしましょう。