調律されてないピアノのようなアーチェリーを射つ人々

2020.03.27 Friday

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    アーチェリーをしている人の多くが、セッティングとチューニングの違いを理解できてない様子です。アーチェリー用品一式を購入された方には、希望があれば無償でセットアップしてご用意させていただいてます。たまに備考欄に「チューニングをお願いします」と書かれてることがありますが、チューニングはできません(苦笑)

     

    セットアップして出荷する場合は、ハンドルにリムを装着して弦を張り、センターショットにリムアライメントを合わせて固定します。レストを貼ってプランジャーの位置を決めて、矢のアライメントを適正ポジションにセットします。実射を続けてるうちに少しずつ変化していくことがありますので、マメにセッティングを調整して下さい。さすがにノッキングポイントくらいは自分で設定して下さい。

     

    セットアップは簡単です。ハンドルとリムの調整の仕組みを正しく理解するために、自分でできるようになっておきましょう。別に教えてもらわなくても、少し頭を使ったら分かるようなものです。機材に不慣れな最初の頃は、指導者や顧問の先生や先輩にチョチョイと合わせてもらいましょう。

     

    チューニングというのは調律です。組み立てたピアノであれば調律士が調律すれば、誰もが似たような音を奏でることができます。しかしアーチェリーは唯一無二の自分の身体に合わせて、しかも一人一人の技術レベルが全く違いますので、競技者であれば今の自分に合わせたチューニングを施さなければ、究極に小さなグルーピングにはなりません。

     

    チューニングは、まずはシャフトのスパインです。最初に使ったシャフトが自分にとって硬いか柔らかいかで、次に自分が求めるシャフトの硬さを選びます。上達過程にある人は、最初に購入したシャフトが合うことなどありません。矢は究極の消耗品ですし、何種類ものスパインを試してみないと自分に相応しいスパインに巡り合うことができませんので、買いやすい価格帯の矢を選ぶことが大切です。スパイン表や他人のセオリーが全く通用しないことが多々ありますので、技術のレベルに応じて指導のプロフェッショナルの指示を仰いで下さい。

     

    次に弦の長さです。まだダクロン弦を使っているような初心者・中級者であればそこまで必要ありませんが、競技用の弦を使ってブルーバッジを獲得する程度のレベルになってきたら、推奨ハイトのすべての範囲を、何種類もの異なる長さのストリングを作ってグルーピングの大きさと形状のデータを取ります。

     

    その程度のレベルに到達している選手はブレイクオフポイントを使って、様々なポイント重量を、長さの異なるストリング毎に試します。ストリングへのノッキングポイントは上下ともに設定するのではなく、簡単に取り除いて異なる高さを試すために、下のみ設定してポイントハイト毎のグルーピング形状を測定します。

     

    これらの中で最も優れたグルーピング形状偏差の中から良好なものを数点ピックアップして、どの組み合わせのチューニングが実戦に相応しいかを、練習や消化試合を重ねながら決めていきます。これがチューニングなのです。なので備考欄にチューニング希望と書かれてもできません。

     

    そこから更にレベルアップしていくと、シャフト長を決めていくチューニング天国が待っています。中級者が上級者になれないのは、自分のアローカッターを持ってないことが原因なのかも知れません。クラブでアローカッターを用意してくれないのであれば、自分用のアローカッターを持つことをオススメします。シャフトの長さを僅か2mmカットしただけで、チューニングがどれだけ大切であるかを思い知ります。オフシーズン中はアローカッターが売れまくるので、今はメーカー在庫もありませんが・・・

     

     

    ソコソコの得点が出るまでは必要ありませんが、ブレイクオフポイントはスパインの微調整ができて実に便利です。ストリングハイト(弦の全長)・ノッキングポイントの高さ・シャフトのスパイン・シャフトの全長・ポイント重量、という組み合わせなので無限のチューニング地獄に思われるかも知れませんが、そんなことはありません。70mや50mで6射50点アベレージになったレベルであれば、いろいろ試しているうちに見えてきます。

     

    ショップで買ったセットを組み付けて射つだけでは、組み立てただけのピアノを弾くのと同じで、その先に進むことができません。いろいろ試す機会を自ら与えなければ、上達に向けた何の気づきも学びもありません。射が上達してソコソコの得点を出せるようになったら、ポイント重量や各ハイトの違いが何をもたらすのかを試しましょう。

     

    せっかく高額な機材を買っているのに、ストリングの状態が悪かったり、タブの使われ方がマズかったり、宝の持ち腐れになってしまっている人がほとんどです。アーチェリーの真実を知るためにも、ステップアップの段階に合わせて、いろいろ試して正しく理解できるようになりましょう。