値段のつけかた間違えてるんじゃないかと思うほど

2018.02.18 Sunday

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    アバロンの新型プランジャーの第一便が入荷しました。

     

    昨日の屋外レッスンにはギリギリ間に合いませんでしたが、昨日は気温3度で常に冷たい風にさらされる中で、時には吹雪の実射でした。特に午後からは低体温症との戦いに近いものがあり、インプレッションどころではなかったと思います。

     

    筋肉のパフォーマンスが最も高まるのは筋温が38度程度と言われており、そこから離れるに比例してパフォーマンスが低下します。アーチェリーは自分がほとんど動かないスポーツなので実射を続けていても、他のスポーツのように身体が暖まることがありません。

     

    昨日は珍しく低温下でのレッスンになりましたので、数名の方が自分のウィークポイントが低温の状態が自分の身体にどのような変化をもたらすかを実感していただくことができました。しかしスポーツの指導は、可能な限り低温や酷暑の状態で続けることは避けることが望ましいと思います。

     

     

    そんな低温下でのアーチェリーを楽しく過ごすことができるお勧めアイテムが、桐灰のカイロ「マグマ」です。低温下ではカイロで手を温めることが大切ですが、マグマは普通のカイロとは熱さのレベルが違います。本当に寒い場所でマグマを使ってみると、普通のカイロに戻れなくなります。寒風吹きすさむ昨日のレッスンでは、マグマ1枚で大人数人が暖を取ることができるほど威力を発揮しました。帰宅した後に脱いだダウンのポケットに入れっぱなしになっているのに気づき取り出そうとすると、素手で触れないほど熱くなっていてビックリしました。こうした便利なアイテムを使って、快適なスポーツライフを過ごしたいですね。

     

    さて、届いたプランジャーを出してみます。

     

     

    アバロンの新製品プランジャー競技用です。 2,376円とビックリするほど安いですが仕入れ価格ではなく、日本での税込販売価格です。初心者用や中級者用ではありません。純然たる競技用の超精密高性能プランジャーです。

     

     

    アバロンの競技用プランジャーは、バイターやデカットよりも軽くて小ぶりです。ハンドルから突き出る部分が短くなるのでハンドルの美しいフォルムを崩すことなくスタイリッシュです。

     

    マイクロクリック調整システムで、スレッド1周10段階クリックになっています。金属製のチップが付属していて、フリクションが少なくスムーズな動きを実現しています。バイターのようなフリクションはなく、シルキーなフィーリングに感動します。クリックダイヤル側もシリンダー側も目盛りの数字が見やすくて、私のような猛烈なチューニング中毒患者には有り難い仕様になっています(笑)

     

     

    左が新製品のアバロン 2,376円。右がSFのベロシティクリックプランジャー 3,700円です。製品が届くまではSFに似てるように見えたのですが、クリックの仕組みが異なるシステムでした。アバロンのプランジャーにはダイヤルクリック側の外側のスレッドがありません。内部の仕組みはどうなっているのでしょうか?チップのシリンダー径も異なりますので、チップの互換性はありません。

     

    このSFのプランジャーのフリクションロスの少なさは素晴らしく、動作の緻密度は世界トップクラスです。値段が高いクセに精度が低いバイターを使うことをやめる決心がついた傑作です。バイター製品で優れていると思えるのはノックだけで、バイターのプランジャーにはあの値段を支払う価値などありません。

     

     

    アバロンのプランジャーを容器から取り出してチップ部分を指で押してみると、スプリングではなくショックアブソーバーのような湿ったような感触が伝わってきました。大雨の競技会でプランジャーの中に水滴が入ってしまった時のような、あの感触です。不思議に思って分解してみると、プランジャーのシリンダー内部にはグリスが封入されてました。使う前にはバラして内部のグリスを取り除いて下さい。通常の綿棒を何度か出し入れするだけで大丈夫です。グリスを拭いた直後が、上の画像です。

     

    クリックダイヤル部分外側にはスレッドがなく、シリンダーの内側に10段の波状のスレッドが刻まれています。ダイヤル内部にベアリングボールが封入されていて、ボールが波状の部分に当たることでクリック感を出すという懲った仕組みになっています。ボールの部分にグリスを少し馴染ませることは大事なことだと思いますが、このあたりは組み付け作業員のテキトー度合いが見て取れます(笑)

     

    グリスはディグリーザーなどで吹き飛ばさずに、ウエスやティッシュ、または綿棒などで拭き取って下さい。グリスを拭き取るだけでショックアブソーバーのような感触はなくなり、フリクションロスの少ないシルキーな動きに激変しました。各メーカーのプランジャーすべてに言えることですが、購入したプランジャーはすべて分解清掃してから使って下さい。

     

     

    クリックダイヤルにはホーローセット(イモネジ)で固定するようになってますが、プランジャーに多く使われている一般的なホーローセットは「くぼみ先」と呼ばれる形状になっていて、くぼみの外輪がスレッドに食い込んで回転を止める仕組みになっています。しかしこちらのプランジャーにはクリックダイヤルが被るシリンダー部分の外側にはスレッドの刻みがありません。どうなっているかホーローセットを取り外して裏返すと、先端が平先になってました。これならシリンダーの外周部分を傷める心配はなく、安心して固定することができます。ただし、平先のホーローセットはホームセンターなどで一般的に入手することができませんので、無くさないようにして下さい。

     

     

    アーレンキー(六角レンチ)以外の内容物すべてです。構造は単純なので、機械がニガテな人でも簡単に分解清掃をすることができるので安心です。シリンダーにはパッキンとしてOリングが取り付けられてますが、ハンドルとスロットナットの間に挟まれる格好になり、毎回確実に同じ位置にプランジャーを取り付けることができるか怪しいです。プラスチックやゴムなどのような、力加減で変形するような素材が適しているとは思いませんので、高得点を望む競技者であればこうしたリングなどのパッキンを取り外してハンドルに装着するのが基本です。

     

     

    アバロンでフリクションロスが少ない最大の理由が、スプリングの形状にあります。スプリングはチップを押す先端方向に向かって細くなるテーパー形状で円錐状のタイプになっています。スプリング下端がスロットダイヤル内部のスプリングガイドに正確に乗ることで、スプリングはシリンダーに干渉しない構造になっているのです。これは凄いです。プランジャーの革命と言ってもいい製品だと思います。

     

    バイターを含めた従来の一般的なプランジャーではシリンダー内壁に常にスプリングが擦れ合いながら収縮と伸展を繰り返すために、スプリングとシリンダーの磨耗を避けることができません。アバロンの新製品プランジャーではこうした擦動ロスをなくすことで、動きのスムーズさと確実性、そしてスプリング磨耗の可能性を排除することに成功しています。

     

    多くの人が使い続けている動きが芳しくない状態のプランジャーは、シリンダーとスプリングが磨耗した金属粉がもたらすものです。そのため数ヶ月に一度はプランジャーのオーバーホールが必要なのですが、私がどれだけ言ってもプランジャーのメンテナンスを怠る人がほとんどという現実があります。なのでアバロンのプランジャーを使う人が多くなれば、ものぐさアーチャーでもプランジャーの性能低下を防ぐことに繋がります。だからといってノーメンテで大丈夫な機械などはありません。優れた状態を常に発揮することができるように、日頃からの手入れが大切です。

     

     

    ハンドルに固定するための付属のレンチは、プラスチック製の剛性の高いものが用意されています。緩むことなくハンドルにしっかり固定することができるのですが、あまり強く締めすぎないようにしてください。

     

    初回便は明日月曜に出荷させていただきます。初回入荷分はすべて予約で埋まってますが、メーカー在庫が豊富ですので順次入荷いたします。どうぞ、ご期待下さい。

     

    スタークアーチェリーからは、競技用の完成ストリング 8125G が新発売です。

     

    カラーはブラックブルーとブラックイエローのWカラーです。リムに張る際にストリングに捻りを加えるのですが、異なる2カラーの原糸が螺旋を描く模様が美しく映えます。

     

    ストリングを自分で作ることができる人は好きなカラーの原糸を組み合わせて自在に作ることができるのが特権です。ストリングジグを持ってない人でもこうしたストリングを選ぶことで、Wカラーを楽しむことができるのが嬉しいですね。

     

    伸縮性のない競技用のストリングですので、リムのチップ先端が強化されてない通常のグラスリムには使わないで下さい。カーボンリムをお使いの方は、ストリングでオシャレに決めましょう。

     

    ストリングでどれだけオシャレにしたところで、日頃の手入れを怠っていてはいけません。練習などで何日か使うたびにストリングワックスを塗って、余分なワックスをフラッシングして、常に清潔な状態に保つことが大切です。

    本日 アーチェリーショップの営業最終日です

    2018.02.12 Monday

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      東京秋津のアーチェリーショップは、本日が営業最終日です。この土日は多くの皆様にお越し下さいまして、本当にありがとうございました。

       

      本日(12日)の営業時間は 15-19時です。作業が必要になる注文受付は18時とさせていただきます。19時に閉店いたしますので、ご了承ください。

       

      店内で試射用のハンドルなどが、大変お買い得価格となっております。どうぞ、お見逃しなく!

      アバロンの競技用プランジャー

      2018.02.09 Friday

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        アバロンから2018年の新製品として、競技用プランジャーが発売されます。2018年カタログには掲載が間に合いませんでしたが、2018年モデルとして新たに追加されました。

         

         

        カラーはブラックとレッドです。間もなくサンプルが届くのでご期待下さい。ヨーロッパでの販売価格は16ユーロなので、15ユーロのデカットと同じような価格帯ですね。これは嬉しいです。日本での販売価格は 2,376円です。

         

        昨年とは為替の状況が異なり、今では1ユーロ136円前後を推移してますので、販売価格を修正させていただく製品も出てきますが、そもそも買いやすい価格帯の製品が多いので値上げ幅が大きく感じませんね。

         

        画像で見た感じでは、SFの製品の進化版のように見えます。

         

         

        このSFのプランジャーの動きがシルキーでスムーズで、私がバイターを使わなくなったきっかけとなったプランジャーです。このプランジャーを使った横大路の練習で、70m36射で330点を超えました。3,600円でしたが、バイターよりもはるかに精度の高いプランジャーでした。新製品が 2,376円で使用感が同じであれば、かなりオススメのプランジャーになります。ぜひ使ってみたいですね。

         

        買いやすい価格帯の優れた製品がどんどん出てくる2018年は、アバロンから目が離せませんね。これから機材を揃える人にとっては最高の製品が続々と増えてますので、ご期待下さい。

         

        日曜日は東京レッスンなので、これから東京に車で移動です。東京秋津店は最終営業です。皆様にお会いできるのを、楽しみにいたしております♪

        スタイライズドを使うべき理由がある

        2018.02.04 Sunday

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          アバロンからカタログが届きました。

           

           

          74ページにも及ぶ立派な総合カタログです。アバロンは世界的に力強く大きなブランドになりました。買いやすい価格帯の素晴らしい製品を取り扱いますので、どうぞご期待下さい。

           

           

          昨日は屋外でのレッスンでした。先週に比べると暖かくて快適な一日でした。射場にはシカの足跡が残されています。イノシシが頻繁に射場を荒らすので困りますが、シカは荒らしたり人を襲ったりすることが少ないので安心ですね。

           

          とは言ってもけいはんな地域でのシカの数は非常に多く、農家の方は被害に困ってらっしゃる方が多いです。猟期だけではなく一年中、シカは害獣駆除として撃たれています。複雑な気分ではありますがシカの肉を頂くこともありますので、けいはんな地域に住んでいて良かったと思えることが多いです。

           

          知り合いのハンターの方から「先生もテッポウ撃ったら?」と誘われてますので、そちらにも手を伸ばすことがあるかも知れません。子供の頃に近所に射撃の選手がいたので、アーチェリーとの出会いがなかったら射撃の道へと進んでました。しかも祖父がハンターでしたので、幼い頃から銃弾作りなどを見てたので興味はあります。そのうち、肉を売るようになってたりして(笑)

           

          キネティックの新製品ハンドル「スタイライズド」を屋外で実射してみました。まぁ、近射も距離実射もインプレッションには何も違いがなく、距離を射つことに特に意味はありません。世界最高峰の優秀な製品です。呆れるほど高性能です。スタイライズドにケチつけることができる人がいたとすれば、世界記録を塗り替えるレベルでしょうね。

           

          以前にスタイライズド入荷の記事を書きましたが、実はかなり控えめに書いています。本当のことを言うと、スタイライズドが届いて箱を開けた瞬間、腰をぬかすほど驚きました。笑うというよりも怒りや呆れに近い気持ちになりました。今でも複雑な気持ちを抱いています。

           

          それはスタイライズドが、世界中で数々の得点記録を塗り替え、爆発的にヒットした高性能ハンドルと、何から何までが似ていたからなのです。ジオメトリーがW&W系と異なるのもそうですし、製品の質感も異なり、従来の製品とは異なるパーツを纏っています。ボルトのアーレンキー(六角レンチ)にインチが装着されてるのも頷けます。直接比較するまでもなく一目瞭然に思え、その日は本当に眠れませんでした。

           

          そこで昨日は、それらを並べてみました。

           

           

          上の赤はキネティックのスタイライズド。下のオレンジはホイットのGMX。クリッカープレートの位置、グリップ装着ボルトのハンドル穴の位置、リムポケットなど随所の形状が同じ。

           

           

          仕上げの具合や美観など、見れば見るほど疑念が確信に変わるような気持ちに襲われます。センター調整機構がW&W方式に改良されていたり、本体の穴の形状に変更はありますが、同じ金型の双子モデルですね。

           

          スタイライズドの方が、発射音が少し静かに思えます。リムボルトとセンター調整機構が改良されてますので、そうした工夫で進化させているようですね。

           

          GMXはW&W製造のリムとの相性が優れているので、こうした組み合わせが定番となっている人が多いです。スタイライズドにWNSのリムを装着した時に、ほとんど何も調整する必要がなかったのにも頷ける。

           

          GMXが改良されて生涯保証までついてしまったような、何ともケシカラン製品(笑)上位を目指す選手が使わない理由が、どこにも見当たりません。

           

          キネティックがここまでする事が、本当に良いことなのかどうかがわかりません。これほどまでの高性能な製品が、こんなに買いやすい価格で世の中に出回ることになるのは、さすがに迷惑にも思えます(笑)2018年で世界で最も売れるハンドルになるでしょう。高額=高性能という図式を覆す格好となる、本当の革命が起きてしまったのです。

           

          ステップアップ機材を探している選手にとっては、最高の製品なのは間違いありません。スタイライズドで世界戦でもオリンピックにでも、メダル争いに持ち込むことができる性能を気軽に買うことができるのです。完全にオーバースペックではあるのだが(笑)

           

          高額すぎる製品を買って失敗したという人がほとんどです。そんなことになるのなら、買いやすい価格帯のスタイライズドを使ってみればいい。どのメーカーのフラッグシップモデルの性能を、3万円未満という爆弾プライスで手にすることができるのです。機材にムダにお金をつぎ込むことなく、お金を賢く使いたいものです。

          次は23インチ(ショート)鍛造ハンドル新製品 

          2018.02.02 Friday

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            キネティックの生涯保証の鍛造ハンドル「スタイライズド」は大反響で、初回入荷分は完売してしまいました。メーカー在庫はありますので、順次入荷して参ります。それほど長くお待たせすることはないと思いますので、ご安心下さい。

             

            スタイライズドが出た直後に発表されたのが同じくキネティックの鍛造ハンドルで、こちらは23インチです。

             

             

            こちらの23インチハンドルは「エンバー」で、スタイライズドのショートバージョンという位置づけです。2万円程度と買いやすい価格帯ながらもスタイライズド同様のスペックを有する非常に高性能な競技用ハンドルです。

             

            トップレベルを目指すジュニアや女性、それにリーチが短くて25インチハンドルではリムのスペックを引き出せない方にとっては最高の逸品ですね。ジュニア達は大きくなるまで、これを使って世界を目指そう!

             

            先日入荷したキネティックの新製品ハンドル「スタイライズド」を使うために、セットアップと試射を行いました。

             

             

            スタイライズドはキネティックの2018年モデルで、6061アルミ合金を鍛造プレスマシンで機械的に製作した高剛性の超高性能ハンドルです。これまでアーチェリー製品にはなかったライフタイムワランティ(生涯保証)がつく高級ハンドルです。現在世界で、スタイライズドよりも優れた金属ハンドルはありません。

             

            高級と言っても、たかだか2万円台後半の買いやすい価格帯の製品です。ハンドルの様々な調整システムは従来からある機構を踏襲したものばかりで調整や操作に特殊なものはありませんが、進化している部分を随所に見ることができます。

             

             

            とにかく、この仕上げの美しさには脱帽です。値段が4-5倍の製品に比べて遜色はありません。これまで10万円超のハンドルを使い続けてきた人でも、モンクのつけようがないと思います。高級価格帯の製品こそ、おいおい、と思うようなことがいろいろあったりします。

             

            リムボルトはステンレス製で、精度の高いものです。ここ数年ものあいだ数種類のハンドルを使い分けてきましたが、どれも1本1万円程度の安いハンドルばかりでしたので、リムボルトがステンレスというだけで一気に高級感がアップしたのを感じます。リムボルトの素材の違いで、出せる得点にはまったく関係ありませんが(笑)

             

            一般的なリムボルトはボルトが十字に切られており、その中に固定用の小さなボルトを留めてリムボルトを内部からの圧力でハンドルに圧着させるタイプが多いです。そうした従来のタイプではリムボルトを調整するたびにハンドルの雌ネジが削れてアルミの削りカスが発生してしまいます。この切削屑が動きを悪くさせてしまい、発射の振動の繰り返しでも僅かに発生するので、ハンドル本体の寿命を短くしてしまいます。そのため頻繁にグリスアップなどのメンテナンスが必要になるのですが、それでもハンドル本体が削れていくことを完全に防ぐことはできません。

             

            スタイライズドのリムボルトはリムボルトに十字の刻みはなく、リムボルトの中にボルトを留めるタイプではありません。ポンド調節に合わせて任意の位置にボルトを決めたら、そのボルトの裏から平底のホーローセット(イモネジ)を押し当てて完全に固定する方式です。これならリムボルトを破損させてしまう可能性もほとんどありませんし、共回り(ともまわり※リムボルトと固定用のボルトが一緒に回ってしまうこと)を確実に防ぐことができるのがいいですね。これならオーバーホールのメンテナンスの時に、真っ黒に汚れてしまったグリスの始末に追われることもありません。作業性が高いことは素晴らしいことです。

             


            グリップはラミネートのウッドグリップが標準装備です。手根骨の形状と配列を考えた最新のグリップ形状になっています。橈骨から伝わる力を月状骨と舟状骨がグリップの面にダイレクトに伝わるように仕上がってるので、手の力を抜くことができて正しいグリップを会得している人にとっては最高です。これはアーチェリー指導における技術獲得にも大きな助けとなるので、見逃すことができません。

             

            グリップを取り外すと、シリアルナンバーがレーザー刻印されています。W&W製のハンドルは例外なくステッカーでしたので、最新の機械を導入したか、最新の機械を持っている他の金属加工メーカーが製作しているのかも知れませんね。いずれにせよ、精度も仕上がりの良さも、従来から販売されてた多くの有名ブランドのアーチェリー機材からは、ひとつ飛び出たような印象を受けます。

             

            グリップの固定用ボルト取り付け穴は、左右が非対称の場所に設置されています。それにグリップを固定するボルトは、左右で長さの異なるボルトを採用しています。グリップを装着する際に長い方のボルトがハンドル本体のナット部分を貫通して、反対側のグリップ内側に当たって固定するようになっています。そのおかげでグリップの上下・左右のガタツキを完全に抑えることができています。グリップの固定に何も工夫をしなくても良いのは素晴らしいですね。

             

             

            これは的中には直接関係ないことですが、上下のバランスは比較的整っているように思います。別に下が重くても上が重くても一般的には関係のない話ですが、上部はサイドウィンドウ部分を空間として広く確保しなければなりませんので、下が重い製品が多いです。私がこれまで使ってきた数種の安いハンドルは、もれなく下半分が重たいです(笑)スタイライズドもほんの僅かに下が重いのですが、クリッカープレートとクリッカーを装着してレストを貼らない状態で、上半分が下半分の重さに近づいた感じです。実際はスタビライザーを装着するので、これは重要度の高い話ではありません。

             

            ハンドル本体に付属品としてクリッカープレートとアーレンキー(六角レンチ)が付属します。作業用のアーレンキーを各種持っているので付属品のアーレンキーを使うことなどほとんどないのですが、どこが何mmかを知っておくために当ててみると、ミリのレンチは合うボルトと合わないボルトがありました。スタイライズドで使うアーレンキーは、クリッカープレートだけは2.0mmのミリレンチで、多くのボルトにインチレンチを使います。リムボルトは5/32インチ、リムアライメントは1/8インチ、グリップは3/32インチです。あれ、ひょっとして、ひょっとすると、スタイライズドを製造しているメーカーは・・・?

             

             

            まぁ、そんなことはどうでもイイので、セッティングを進めます。W&W製造の従来のハンドルとは僅かにジオメトリーが異なるようでしたので、新たにストリングを製作して合わせました。リムは WNS エリートフォームカーボンα 66-44 を装着してストリングハイト 8 1/2 インチに合わせるために、FF+原糸18本でストリングを製作する場合は158.85cmに製作します。リムボルトは最も締め込んだ状態で数日実射したら近いハイトの位置になりました。

             

            リムラインゲージを当ててみると、メーカー出荷状態からドンピシャでセンターが出ています。メーカーによるとハンドルの個体差はないと断言してもいいほど製品の差がないそうなので、これはイジリがいがなくて面白くありません(笑)アルミの素材の塊からCNC切削で製造するアルミハンドルよりも、こうした冷間鍛造成型では突出した剛性の高さのみならず、形状の自由度とクオリティの高さ、製品の均一性が、アルミ生成加工の中で最も優れているのだそうです。

             

            調整がニガテなユーザーにとっては製品の個体差を気にしなくてもいいので、これは有り難いですね。私は五感を研ぎ澄まして驚異の調律に仕上げるかように機材を手なずけてオイシイところを引き出すのが好きなのですが、そんな事も時代遅れだと言われるほど、機材の性能の進化が凄まじいです。

             

             

            ハンドルがハンドルの方で勝手に仕上がってる感じで、箱から出してパーツ装着しただけで射てるという状態に近いですね。機材に合わせてストリングを作りましたが、自分でストリングを作れる人にとっては大した作業ではありません。ノッキングポイントを装着して近射してみると、かなりの好感触です。アルミ鍛造ハンドルはヤマハ・W&W・SF・キネティックのヒートなど実射してきましたが、スタイライズドはさらに静かで落ち着いている感触です。従来の他のフォージドたちが荒削りに感じてしまうほどです。

             

            剛性の高いカーボンハンドルのような持て余す塊感のようではなく、とても扱いやすいです。スタビライザーのセッティングやウエイトの量を増やすなどの変更をしていないのに、まるでウエイトを増やしたかのような重厚感と安定性があります。1,180gと、ハンドル自体が重たいわけでもありません。

             

            キネティックの快進撃、本当に凄いですね。23インチハンドルを作ってくるほどの本気のブランド、最近はなかなかありませんからね。こうした買いやすい価格帯の高性能製品をみんなで使って、日本のアーチェリー界を道具自慢大会ではなく、スポーツとして健全な文化に育てていきたいものです。

             

            アーチェリーで競い合うのは機材の金額ではなく、的面で叩き出す高得点なのです。そこを忘れることなく、正しく上達していきましょう。