ジュニアの弓具は 総額2万円もしない

2016.01.18 Monday

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    ■アーチェリーを普及させないために必死の大人たち

    アーチェリーというスポーツを取り組んでみたいと思う人は、実に多いです。けいはんなアーチェリーでは、アーチェリーに取り組む初心者の方が大幅に増えました。スポーツとして正しい取り組みを行っていれば、アーチェリーに関心を寄せる人が増えていき、地域の垣根を越えて多くの方々がレッスンを受講されるようになります。

    しかし他の多くの地域のアーチェリー指導組織やクラブでは、けいはんなアーチェリーのような広がりはなかなか見られません。日本にこれだけアーチェリーができる施設が多いにも関わらず、一般スポーツとして普及しない理由は4点です。

    ,修僚乎弔離瓮鵐弌爾梁燭が、自分のレベルに見合わない高性能すぎる、超高額な弓具を使っていること。練習会ではなく、道具自慢大会になってしまっています。トップレベルの人間ならともかくとして、的一面に矢をバラ撒くようなレベルであっても、超高額な製品を使っています。そんな状態をさらしていては、アーチェリーは金持ちにしかできないスポーツだと思われ、一般の人の足が遠のいていくのは当然です。

    △修海任了愼骸圓、レッスン受講生の前で高額な弓具を使って見せていること。その弓具はいくらなのか?とレッスン受講生から必ず、使っている弓具の価格を聞かれます。レッスン受講生にとっては、指導者が使っている弓具が自分にとって最初の基準となって植えつけられてしまうのは当然です。

    アーチェリーショップが高額な弓具を勧めること。アーチェリーは野球やサッカーのように競技人口が多くありませんので、短期的な利益を確保しようと客単価をつり上げる事を第一に考えます。初心者に他社との互換性のないホイットのフォーミュラタイプのハンドルを勧めるのは、他に理由はありません。一旦それを買わせてしまうと他社製品との互換性がないために、フォーミュラタイプの高額なリムを買わざるを得ない状態に追い込むのです。これまで何度も書いてきたが、上級者となって高得点をだせるようになるまでは、弓具にお金をかけるべきではありません。これからアーチェリーを始めたいという初心者に総額25万円の弓具を勧めるのは、客を金だとしか見てない証拠です。最初から高額な製品を勧められたら、断ってください。自動車学校での教習に、F1などのフォーミュラカーを買って持ち込むような滑稽なものになってしまうのです。

    せ愼骸圓箸靴討離譽戰襪低い指導者しかいないこと。競技者上がりの指導者が多いですが、本当に指導者としての指導を徹底的に受けてきた生粋の指導者は、ほとんどいません。日本体育協会のスポーツ指導員は、中卒レベルの頭であれば、誰でも取得できる資格です。資格といっても国家資格などのような厳密なものではありません。資格保有者を増やさんがための資格です。骨格や筋肉の専門家などではありません。アーチェリーのグリップに合わせるための手の形状をエラソーに教えているにも関わらず、手根骨の名前も形状も、それぞれがどのような機能と役割があり、グリップのどの部分にどの骨を当てるのか、正確な射を行なうためには、あらかじめどんなリハビリを行なわなければならないか、TFCCに負担をかけないためにどうするべきか、ということを正しく説明できないレベルです。「しっかり押す」(笑)とか「まっすぐ引く」とか「大きく射つ」というような、選手時代の経験則に基づいたレベルの低い指導しかできない、完全に時代遅れの人ばかりなのです。身体の知識が、どうしようもない指導者が多すぎるのです。身体を鍛える前にしなければならない事が多いにも関わらず、何もわかってないのです。そんな指導者に習っているから、どれだけ練習しても上手くならないのです。

    ■ご利益などない弓具への投資

    アーチェリーが高い高いと言いますが、何にそんなにお金をかけたら高くなるのでしょうね。安けりゃそれなりしか当たらなくて、高けりゃ当たるのか?そんなバカな話はありません。初詣のお賽銭は、5円玉を投げようが、5万円押し込もうが、ご利益に変わりがないのと同じです。信じようが思い込もうが勝手ですが、高けりゃ当たるのならば、日本のアーチェリー界は全員が上級者のハズなのです。それらを使って「ヘタな鉄砲、数撃ちゃ当たる」と言わんばかりに実射を繰り返しますが、そんな練習は、大吉が出るまでおみくじを買い続けるようなものなのです。アーチェリーは本当は、最初の1射も最後の1射も、すべて正確に的中するスポーツなのです。自分自身の性能を高めるためにお金をかけずに、使う弓具には大金を払えてしまうという、誤った金銭感覚を修正することから取り掛からなければなりません。

    弓具の選択肢が少なくて、すべてが高額だったのは20世紀の話です。最初に購入する弓具に数10万円や10数万円の弓具を買わせるクラブやショップは、完全に時代遅れなのです。そんな昭和時代の良くない商習慣を今でも引きずってるショップも多いので、本当に困りますね。初心者に10万円を越えるような見積もりを書いてるから、新しい人たちは増えていきません。これからアーチェリーというスポーツに取り組んでみたいという人であっても、イザ自分の弓具を買おうとなった頃に、次々とアーチェリーから離れていくのです。

    弓具が高いのは、ハイエンドモデルを買わされるから高いのです。初心者に高額なモデルを勧めるショップに行くから高いのです。クラブ全体が高額な弓具自慢の集団に成り下がってしまっているから高いのです。アーチェリーをスポーツとして正しく取り組むのが目的であれば、最初に所有する弓や矢に大してお金はかかりません。そもそも最初は自分の弓具は必要ないのです。最初から世界トップレベルの選手が扱うような高額なモデルを選んでしまうと、すべてムダ金にしかなりません。最初からそんなものを使ってしまうと、その性能を永遠に使い切ることのない、悲しいアーチェリー人生を送ることになってしまうのです。そんな可哀想な人ばっかりです。

    上手くなるためには、何を使っても当てることができる身体を作り上げる事が先なのです。そのためにはまずは弓を引かずに、身体づくりの基礎から始めなければなりません。トレーニングではなくリハビリです。そして軽くて弱い弓を使って、それを完璧に使いこなせなければなりません。それをしていない、またはできないのであれば、重たい弓と強いリムが自分の身体を襲うことになるのです。

    そもそもアーチェリーを始めようと思ってみたところで、あなたの脳ミソは、スポーツをするためのアスリートとしての運動脳が失われている状態で弓を射とうとしている、または、そんな状態で実射をさせられているのです。身体の各部が自分の思い通りに動かせるワケがないのです。自分の身体を隅々にわたって、自由自在に動かすことができないでしょう?だから中級者が筋トレしても効果がないのです。頭も身体もそんな状態だから、真の上級者以外には、弓にも矢にも、性能なんて必要ないのです。良心的でないショップの餌食になってしまったら、上達どころではないのです。

    ■小学生に6ケタの弓具を勧めるショップがある・・・

    レッスン受講生以外の方からよくある問い合わせが、小学生や中学生にどんな弓具を使わせたら良いか?というものです。小学校低学年の子供にアーチェリーをさせたいとショップに連れて行くと、大体10万円くらいかかると見積もりを渡されたという相談をチラホラ受けますね。見積もり画像をメールで添付していただける事もありますよ。本当に狂っていると思います。

    ドローレングス(引尺)20〜23インチ程度という短さで、しかもどんなに頑張っても30mを飛ばすのがやっと(そんな距離を射たせてはいけない)という小学生や、これからアーチェリーを始めようとする、まだ身体も出来上がってない中学1年生に、どれほど精密で高性能な競技用機材が必要だと言うのか。

    最初の数年は、地面も射つし、的の外側の木枠や鉄製の台を射って矢を壊してしまうものです。私も最初の頃は、よく的外に当ててしまったり、地面を滑走させてしまったものですよ。ストリンガーを使ってのストリングの張り方がマズくて、リムを壊すことだってあります。なのに、「どうせだったら、このくらいのグレードを買っておいた方がいい」と言われたそうですよ。その「どうせ」って、なに?どうせ使いこなす事などできませんよ(笑)最初の頃は何でも壊してしまうものなのです。自分の扱いが原因で壊してしまってもそれほど大きな負担にならないように、エントリーモデルはビックリするほど安く価格設定がされているものなのです。しかも安いそのエントリーモデルの数々は、指導している私たちが使って試してみると、ビックリするほどの的中能力を有している製品があるのです。初心者や中級者などの上級者でない人が上級者用モデルを使うのが、いかにバカらしい事かがわかります。

    アーチェリーにおいては、それぞれの部品は、必要に応じて買い揃えていくのが鉄則です。「いずれ使うようになるから買っておけ」というのはショップの常套手段ですが、最初から何でもかんでも買ってはいけません。初心者がフルセットを揃えてしまうとそれらを早く装着して使いたがるので、上手くならないどころか負担が積み重なって身体を壊します。成人でも注意が必要なのに、成長期の児童や生徒には、弓の強さや重量に関しては特に慎重にならなければなりません。

    ■アーチェリーにおけるスポーツ障害

    ジュニアや初心者用のレベルアップに向けての弓具を紹介する前に、どうしても伝えなければならないことがあります。それはアーチェリーにおけるスポーツ障害についてです。

    筋肉や骨格は、動きによって疲労すると、休ませることで修復・回復します。そのサイクルを繰り返すことにより、スポーツに応じた強い身体を作り上げることができます。しかし身体の特定の部位を繰り返し動かし続けると、身体は必ず傷んでいきます。その場所が修復されるペースが間に合わず、再び運動が加えられると、障害が起こります。それが進行すると痛みとなって伝わるようになります。痛みを感じた時には、障害が進行している状態なのです。ですから「トップレベルの選手は1日で何100射している」と言われても、絶対にマネしてはいけません。初心者に実射数を多く課す指導者は、確実に選手の身体を壊します。

    アーチェリーというスポーツは、弓を使って矢を発射させるたびに、毎回必ず同じ動作を繰り返します。1日で100射の人は100回、200射の人は200回という具合にです。1回の負荷はそれほど高くないにも関わらず、その回数が多いのです。練習での多くの場合はインターバルを置かず、矢取りから戻るたびに射つので、身体を痛めつける見本のような、良くない実射の繰り返しを行っています。クールダウンもアイシングもしていません。実射を終えたら弓具を片付けて帰ります。しかもほとんどの人が弓の力を骨格で支えることができず、筋肉を総動員してどうにかエイミングしています。身体の使い方が正しくないのです。ですから、正しい指導を受けずに黙々と実射を繰り返している人は全員、身体を壊すような練習をしています。競技中に引き戻しの回数が多い選手はなおさらです。選手寿命を短くするために、必死になって行射してるようにしか見えません。

    選手であろうが愛好家だろうが同じです。すべてが適切でなければ、そのうち腱板損傷、肩峰下滑液包炎、肩鎖関節炎、肩関節不安定症、TFCC損傷などに悩まされるようになります。すでにスポーツ障害を抱えているにも関わらず、異変に気づいていない人もいます。痛みが大したことないからと、練習を続けている人もいます。痛みに耐えながらも、痛みを乗り越えて練習を続けようとする人もいますが、はっきり言ってナンセンスです。スポーツは拷問やガマン大会ではないのです。

    正しい骨格のポジションへ誘導するための筋肉の使い方の指導を受けて、適切な弓具を扱って、適切な量の練習と正しい身体のメンテナンス、そしてセラピストからのリハビリとトレーニングの指導を受けて、有酸素運動を正しく行なっていれば、アーチェリーのような簡単な、アスリートレベルの低いスポーツで身体に故障を抱えることなどありません。

    けいはんなアーチェリーでは念には念を入れ、アーチェリー指導者だけの偏った経験則による指導ではなく、スポーツ医療チームと一体となったレッスンを行なっています。本人の痛みの申告の有無に関わらず、スポーツ整形のドクターや、スポーツ理学療法士の先生方が、スポーツ医療のエキスパートという立場から客観的にレッスン受講生の皆さんの身体の状態を探っていますので安心です。

    身体の状態は全員ちがいます。年齢に性別、身体の柔らかい人、固い人、初心者に経験者、実に様々ですが、自分のハンドルを買ってすぐにセンターロッドを装着している人は、かなりの割合で肩に異常をきたします。これは年齢性別関係なく注意が必要です。

    小学生に25インチのアルミハンドルや、Vバーとサイドロッドを装着させるような事は、絶対に行なってはなりません。大人でも、最初の1年間はセンターロッド1本に留めます。先端のウエイトは取り外して身体への負担を減らします。身体の中身はスッカラカンなのですから、弓具を見た目だけ上級者のマネをしても、良いことなど1つもないのです。「引ける」と「扱える」は決定的に違います。それが正しく判断できない指導者から学ぶと、大変な目に遭います。インナーマッスルが使えずに、アウターマッスルでしか弓を引けなくなってしまうのです。

    肩関節不安定症になる最大の原因は、アーチェリーを始めてまだ何年も経たないうちに、競技用ハンドルにスタビライザーを装着してしまうことにあります。サイトのエクステンションも、最初の頃は最長の場所に設定してはいけません。肩関節を保持するために必要な腱板は、最初は誰もが細くて脆弱な状態にあります。肩関節の保持に関わる腱板は、ほとんど負荷のかからない状態で長い期間をかけて養っていかなければなりません。にも関わらず、重たい弓を(引きが弱くても弓が重いとダメ)繰り返し扱うと、最初から身体に備えているアウターマッスルで弓を保持して射たざるを得ない状況になります。

    それを続けているうちに腱板は脆弱な状態にあるにも関わらずアウターマッスルはどんどん強く大きくなっていくので、腱板はアウターマッスルに負けて肩内部のバランスが取れなくなり、次第に肩関節不安定症に陥ります。肩関節不安定症がアーチェリー特有の故障だと思われるほど、他のスポーツに比してアーチェリーをしている人には肩関節不安定症の割合が特別多いのは、そういった理由があります。ですから絶対に弓具は上級者のマネをせずに、軽くて弱いものを使って長く取り組まなければならないのです。「始めて半年したからVバー装着」とか、「そろそろウエイトを1つ増やそう」とか、そんな暴力的なものであっては、決してならないのです。

    ですから最初から自分の弓を買ってはならないのです。初心者用のハンドルがグラスファイバーとプラスチックを用いた非常に軽量に設計しているのは、とても大事な理由があるのです。自分用の25インチハンドルを買ったときに大して当たらないのは、初心者の最初の頃に、適切な指導を受けることができなかった証拠なのです。最初から競技用の高額で高性能な弓具を買わされてしまうと、アーチェリー人生の設計が大きく狂います。

    最初のボタンを掛け違えてしまっている状態なので、どんなに練習を重ねても上手くなりません。上手くなるには、もう一度最初からボタンを掛け直さないといけません。なので、すべてのボタンを外す作業から取り掛からなければならなくなるのです。初心者には初心者用、中級者には中級者用、上級者には上級者用の弓具があるのは、理由があるのです。周囲の人が使っている高そうな弓具を欲しくなるマインドに犯されてしまう前に、よく考えてみましょう。

    ■ジュニア用の弓具は こんなにも安い!



    これは小学校中学年の児童が使う弓ですが、こうしたジュニア用のアーチェリーの安さときたらビックリです。ハンドルはプラスチック製で軽く、肩や腰に負担をかける心配がありません。このハンドル・リムのセットには、レストとストリングが標準装備されています。これにプランジャー・サイトを装備して、的を狙って実射ができるこの状態での金額は10,600円です。これはオモチャではありません。体格の成長段階に合わせたステップアップ用機材です。

    54サイズで12ポンドと記されてますが、小学生のドローレングスでは10ポンドもありません。これも、いきなりこれらの弓を買って練習に使うのではありません。これまでの半年程度の期間を竹を加工して作った、もっと弱い弓を使って練習してきました。スポーツ医療チームと一体となったレッスンを受け、アーチェリー以外にも他のスポーツをして、心肺機能と持久力を高めています。弓具よりも、そちらの方が大切です。

    ■ジュニア用のタブと矢



    児童用の1枚革のタブは仕入れても数百円でありますが、あまり使い勝手のよいものではありません。しかし製品としてのタブには小さな手に合うものがほとんどなく、あるにはあるのですが、不思議なことにタブ革の全長が異様に短くカットされてますので、なかなか一発で合うものがありません。そのため小さな児童用のタブは、こちらで製作してプレゼントします。その人に合わせてジャストサイズのものをワンオフ製作するので、小学生でも安心して使うことができます。ストリングのテンションに合わせてタブ革の柔らかさを変えることができるので、ひとりひとりのレベルに合わせたストリングインフォメーションを感じるものを作ることができます。ポンドの低い弓を扱っている間は、この柔らかい牛革製のタブでの取り掛けを覚えることが、その後のアーチェリー人生にとって、かけがえのない宝になります。

    もう少し手が大きくなったら本格的なものを使います。本格的なタブは、購入しても2,000円です。最近では女性や子供に合いそうな小さなサイズのプレートのタブがあるので、タブプレートを加工しなくても使えるものがあります。それが使えるようになるまでは、これを使って練習します。このタブの材料費は100円程度です。革は交換できるように作っていますので、使いこんで傷んできたら交換します。小学生は1年も経てば身体の成長に応じて指の太さも長さも変わりますので、身体の成長に応じてその都度、プレートや革のサイズを大きくしていきます。既製品よりもこのようにハンドメイドのほうが、一人一人に合ったものを使えて便利です。

    ジュニアには最初からコードバンのような、コシのある強い素材を使ってはいけません。アーチェリーにおけるストリングの取り掛けが、スキー用の手袋で雪玉を握るような大雑把な感触になってしまうからです。ソフトで繊細な取り掛けができるようにならないと力まかせになってしまい、大きな試合で緊張したらガッチリ失敗する選手にしかなりませんからね(笑)



    児童が自分の矢を買ってもらう前にレッスンで同じものを貸し出して、扱いに慣れてきたころに自分用の矢を用意してもらいます。矢はジャズの1214です。1ダースも買う必要はありません。最初は6本あれば十分です。羽根は初心者用のゴム羽根です。矢は6本で3,400円です。

    これらを使って的にちゃんと当てることができます。プラスチック製のサイトですが、低ポンドでは的中に関わる問題もなく、普通に使えます。小学生は高学年になるまでは18mを超える距離を射たせることがなく、レッスンが中心なので、実射をさせたとしてもほとんど近射しかしません。レッスン用機材としてはこれで十分です。これ以上の性能があったとしても、必要になる場面がありません。サイトは1セット1,000円です。弓を落下させたり、スタンドに置いた弓を倒して壊してしまっても、それほど大きな痛手はありません。こういったものを使って、扱いや取り回しに慣れていくのです。

    弓は10,600円、矢は3,400円、防具類とクイーバーとスタンドが5,800円。弓具の総額は19,800円です。2万円にも満たない金額で子供のレッスンに使えるアーチェリーが買えるのです。ジュニアのレッスンに、これ以上のものは必要ありません。なのに、この5倍の金額の見積もりを渡すショップがあるのです。本当にビックリします。

    当たり前なので特に詳しく書きませんが、ストリングはダクロンを使います。ハンドル・リムのセットに付属しているストリングの全長が合わない場合もありますので、そんな時はストリングを作ってお渡しします。ジュニア用のダクロンストリングは54サイズの10本弦なので、材料費は100円くらいです。けいはんなアーチェリーでは、無償で作ってお渡ししています。

    ■どんどん直して使おう!

    矢はインスパイアが使えるようになれば、柔らかいアルミ矢のように頻繁に曲げてしまうこともなくなりますが、インスパイアの1400番が使えるドローレングスと実質ポンド数になるまでは、ジャズの1214や1413のような非常に柔らかいスパインのシャフトを使います。



    しかし使い込んで、よほど柔らかくなった畳か、巻藁や段ボールでも射つか、周囲の大人が抜いてあげない限りは、児童達が扱っているうちにシャフトは曲がっていきます。これは別の小学生が練習で使っていたジャズの1413です。

    矢を抜く時に地面に落として踏んづけてしまうこともありますし、畳のフチに当たってバウンドしたような場合や、的の枠に当たって跳ね返ってきたような場合は、シャフトが変形してしまいます。先日の屋外での練習から持ち帰った矢は、上記のように跳ね飛んだ衝撃で明らかに大きく曲がったシャフトの他にも、2本のシャフトに曲がりがありました。アロープラーを使っても、子供の力ではシャフトを曲げないように抜くのは大変です。大人が手伝っても曲がります。スパインの柔らかい矢は曲がるものなのです。外的損傷がなければ、修正して再び使えるようになります。



    シャフト修正のためのストレーナーがあればいいのですが、わざわざ買うほどのものでもありません。木の板に穴をあけた修正器具ですが、このような曲がりを修正させるための道具を指導者が持っておけば、実射に問題のないレベルにまで修復することができるの便利です。ただし、シャフトの状態によっては修復中に折れてしまう場合もあります。これまで多くのシャフトの修正を行なってきた私でも、シャフトを破断させてしまうこともあります。指導者はシャフトの表面の状態をくまなく観察して、修復するか廃棄するかを判断してください。

    修復して使えるならいいのですが、破損してるシャフトまで無理して直して使い続けて、発射の瞬間にシャフトが目の前で折損しても困ります。安全を犠牲にしてまでもケチケチする必要はありませんので、シャフトにキズや凹みがついたような場合は廃棄してください。ポイントが破損しておらずまだ使えそうな場合は、抜き取って保管しておきましょう。ジャズ1214の場合はGノックを使いますので、ノックも引き抜いて使います。

    ■アーチェリーの普及と啓蒙を本気で考える

    アーチェリー製造メーカ各社は決して高額な製品を売るばかりではなく、ジュニア用や初心者用の弓具のラインナップを安価に揃えて、アーチェリーというスポーツを啓蒙していこうと努力をしています。しかし日本ではそれに乗っかるどころか、完全に無視したかのような考えのショップが多いのです。その相手が大人であっても子供であっても、とにかく高い製品を売りつけようとします。子供にアーチェリーをさせたいと願う親が乗ってきた車や、身に着けている服装のブランドやアクセサリーを見て、持ちかける金額に対する顔色や反応を見ながら、最初の弓具の総額を20万にするか30万にするかを考えます。良心的ではないショップは、もはやプロショップなどではなく、プロの商売人なのです。利益追求が目的であれば、それは当然とも言えます。しかしそれこそがアーチェリー人口の広がりを見せない、最大の理由でもあります。最初はこれでいいと言っても、いろんな理由をつけて、とにかく価格をつり上げていくのです。他に競争相手となるショップが少ないので、それを言われるがままに買わされることになるのです。

    アーチェリーというスポーツを本当に普及させたいと考えるのであれば、最初に購入する弓具の総額を3分の1や5分の1にまで引き下げ、アーチェリー人口を3倍から5倍に増やす努力をすべきなのです。そうなれば競技者数は増えていきますので、各連盟や協会は収益が上がっていきますし、ショップでは消耗品が売れに売れるという状態をつくることができ、弓具の価格はさらに下がるのです。そこで正しい指導の取り組みがなされていれば、強い選手は自然に多く生まれてきます。

    初心者に25万円の見積もりを書いている場合じゃないのです。70mで黄色以外に当ててしまうレベルの選手に、X10にタングステンポイントを装着した、1ダース6万円もする矢を勧めている場合じゃないのです。高校生が使っている弓具の総額が35万という生徒の話も聞いて、開いた口がふさがりません。それが全国1位や2位を争うようなレベルの生徒ならまだしも、70mで650〜660点くらい、今どき総額8万円の弓具でも同じ得点が出るのですよ。本当にバカバカしいのです。

    体重が25キロ程度の小学生に、アスリートとして究極の身体を有したレベルの人間でないと使いこなせない機材を売りつける、日本の狂ったアーチェリー販売業界。しかもそれらを使って子供たちが身体を壊すときた。小学生や中学生のスポーツ障害なんて、あってはならない事なのです。結局は高いお金を払って身体を壊すような悲惨な状態を生み出してしまっているのです。そんな人たちからの相談が無くなってしまう日を、心から願います。

    大切なのは、弓具を扱うための自分の身体の性能にあるのです。バランスボールの上でお尻を着いて正座して(※ヒザ立ちではなくて正座)ゴムチューブでシャドーシューティングができなかったり、バランスディスクの上で片足立ちでのアンクリング(右足で立つなら、浮かせた左足の甲を左手で後ろで持ち、右腕を右の耳に当てて上にしっかり伸ばした状態で、ディスクの上で片足で立ち、ディスクの上に立つ足首を前後左右に動かす)ができなかったりと、そんなお粗末な身体コントロールでは、高性能で高剛性で高反発な高価なフラッグシップモデルにお金を投じることなど、紙幣を焼却炉で燃やすようなムダ金にしかならないのです。それを使って高得点が出せてないのですから、ムダ金以外の言葉が見当たらないのです。買って所有したことによる自己満足以外に、どんな素晴らしい上達の効果があったと言うのですか?そこに投じた金額と同じ額を、弓具を買う前に自分の身体に投じてみるといいのです。どちらの方が効果が高いかは、考えなくてもわかるというものです。

    先にも書いたが、多くのアーチャーは無用に高額な弓具と、自分には必要のない弓具までも買い揃えて、弓に重たい補器類を取り付けて練習と称して実射を繰り返し、上手くならないその先に、身体の故障を抱えるという悲惨なアーチェリー人生を歩んでいるのです。私たちプロの指導の専門家からすると、アーチェリーを上達するためには高額な弓具など必要ありませんし、本当に上達するまでは弓具に性能すら必要ないのです。ここで紹介したジュニア用の総額2万円にも満たないレッスン用弓具で、18mで継ぎ矢する的中精度があるのです。

    まぁ、はっきり言うと、アーチェリーが高いわけではありません。こうした2万円のレッスン用機材を使ってる子供たちに、25万円とか30万円のフラッグシップモデルの弓具を振り回しているイイ歳した大人たちが太刀打ちできない情けない構図ができてしまう現実を、すべてのショップとすべての指導者、すべてのアーチェリー愛好家が見つめなおすべきなのです。自分が弓具を売った相手が上達もしないし、アーチェリーというスポーツが普及しないのも、ショップの人間と指導に携わるすべての人間は、それはすべて自分の責任なのだと考えて行動を改め、これからアーチェリーを始めようと考えている人たちに、輝ける路を指して導き、共に歩んで行かなければならないのです♪

    タブ革の世界最高級コードバンと指先のケア

    2016.01.15 Friday

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      ■タブという防具

      アーチェリーでストリングを取り掛けてリリースする際に、指先をストリングから守る防具として、タブやグラブがあります。昔は初心者のレッスンでは牛革製のグラブを用いて取り掛けを学びましたが、現在では少し柔らかめの牛革を用いたタブが使われています。

      初心者がグラブではなくタブを使うことについての問題は多々あるのですが、今回はそれらの点についての説明は割愛します。

      初心者用のタブの表革に牛革が使われるのは、グラブを使う理由と同じです。引きの弱いリムではストリングのテンションが低いために、丈夫でコシの強いコードバンを使うと、指先のストリングインフォメーションがわからなくなるからです。レッスンを続け、上達とともに徐々にポンドアップしていくに従ってストリングのテンションが増し、それに伴ってタブの表革は上級者用の素材を使うようになります。近年は一部で様々な化学合成素材もありますが、アーチェリーでは上級者用のタブ表皮の素材には、コードバンを使います。

      アーチェリーのタブ革に使われるコードバンを検索すると、このブログがヒットするようです。先に言っておくと、タブの革なんてよほどの上級者でもない限り素材を気にしても仕方がありません。タブというパーツは指先をストリングから守る防具でしかありません。剣道であれば、初段そこそこの低次元で、防具の小手の掌部分の素材に過剰にこだわるようなものです。こだわることに意味がありませんし、こだわったところで違いもわかりません。わかったような気になっている、単なる自己満足に過ぎません。

      18mで550点も出せないうちは、指先が皮革素材で保護できていればイイだけなので、タブ革にどんな性能を求めても、何を使っても得点は変わりません。ただし、正しい取り掛けとリリースをマスターしたレッスン受講生が、指導者の指示で練習量を増やしていくような場合は、コードバンを使うこともあります。リリースの際に指が痛いというのであれば、それはタブの素材が原因ではなく、取り掛けのマズさや、自分のレベルに合わないポンドアップが原因であること、それに深指屈筋の過緊張(腕力で引っぱってる)によってリリースが不正確である事が原因な場合が多いので、タブ革にこだわるよりも先に、リムを弱いものに戻す事や、ドローイングのアプローチを根本的に改善しなければならない人が多いです。

      ■タブがどうこう言う前に まずは指先のケアから

      タブ革のコードバンが何がいいというような相談がやたら多いですが、タブ革の素材にこだわる前に、あなたの指先の皮膚の状態はどうなっているか?と心配になります。1日で何100射もするクセに、多くの人は単に射ちっぱなしで、守らなければならない大切な指先を、一切守ろうとしていません。そんなの単なる乱射に過ぎません。もはや、健康という状態を逸脱しているのではないかと思われるような指先になってしまっている人もいます。それが命をかけて世界で戦うような選手であればまだしも、それほど大した得点でもない中級者だったりします。

      アーチェリーとは、身体を痛めつけるスポーツではないのです。アーチェリーの射に関するテクニックは必死になって身につけようと練習に励むのに、指先の状態を放置して実射を繰り返していては、何の意味もありません。コードバンの素材にこだわる前に、自分の指先という大切な素材の状態を、とことんこだわり抜いてください。

      指先が痛んだり角質化がひどいという人が多いですが、練習前・練習中・練習後に、ワセリンを使って常に指先をメンテナンスしていれば、そんなヒドイ事にもなりません。ワセリンはハンドクリームのようにベタつきませんし、皮膚にすり込んでいるうちにサラサラになります。保湿効果が高いので、乾燥した冷たい空気に触れる部分の肌に塗っておけば、ひびやあかぎれのような症状を防ぐこともできます。指先に塗って少し余ったぶんは、唇に塗っておけばリップクリーム代わりにもなり、笑顔が苦痛に歪むこともありません(笑)



      現役選手だった頃も指先は常にメンテナンスしてきたので、年間10万射以上をこなしていた時代であっても、月に数10射しかしない今でも、指先の状態はほとんど変わることはありません。指先がリリースの繰り返しによる角質化に悩まされるようなこともありません。現役時代には「本当に練習してるのか?」と言われたこともあります。この画像は、ワセリンを塗ってない普段の私の指先の状態です。リリースを行なうデモンストレーションの際には、事前にワセリンを指先にしっかりと摺り込んでおきます。実射数が多くなる場合は、矢取り3回に1回程度のペースで、ワセリンを摺り込みます。ハンドルのグリップの天井部分に当たる、親指の付け根部分も同様にメンテナンスを行ないます。

      同時に指先から手のひらまでをマッサージすることで、腱鞘炎などの故障防止にもなるのです。指先のケアについて無頓着の人が多すぎますが、リリースに関する大切なケアなので、決しておろそかにしてはいけません。



      ワセリンはこのように、スクワット容器に入れると、携帯に便利です。このような容器は近所のダイソーなどの100円ショップに行けば手に入ります。奥さんや付き合っている彼女に聞けば、余っているのをひとつもらえるかも知れません。この寒い季節はワセリンが固いので大丈夫ですが、酷暑時は容器から漏れ出すことがありますので、ファスナー付きのビニール袋に入れると安心です。プラスチック容器なので煮沸消毒することができません。皮膚に使うものなので、容器に詰め替える前にエタノールで消毒してください。メタノールが含まれている燃料用アルコールや、パーツクリーナーなどの有機溶剤は、絶対に使ってはいけません。



      ワセリンを指先に摺り込んだ状態がこれです。しっとりサラサラになります。こうして常にメンテナンスを行い、ストリングの摩擦から指先を守ることで、アーチェリーはさらに楽しいものになります。ハンドクリームを使うと、タブの裏革がネトネトになってしまいますので、基本的にはワセリンを少しずつ使います。

      この寒い時季は筋肉の動きが悪いので、スムーズなリリースができなくなる人が多いです。そうなるとリリースの度に冷えた指先が痛むので、マメにメンテナンスをして、同時に指と手のひらと腕をしっかりほぐしておきましょう。ワセリンは薄く塗り伸ばすとベタつかずサラサラになっていきますので、適量を塗ればグリップや取り掛けが滑るようなことにはなりません。しかし量が多すぎると石鹸やハンドソープでは流れ落ちないほどになりますので、少しずつ試してください。

      タブという製品は、指先を守るための防具です。なのにその肝心な指先をメンテナンスしないでいるのでは、何のためにタブの革にこだわっているのか、意味がないのです。指先が固く角質化してしまったのでは、どんな上質なコードバンの手触りも、わからなくなってしまうのです。アーチェリーの上達は、むやみに身体に負担を強いることではありません。指先を丁寧にメンテナンスせずに1日200射とか300射とか、どんな自虐行為ですか?こんな基本的なケアすら行なわれてない現場が多いので、一体何を教えているのだろうかと、不思議でたまりません。

      ■コードバンという素材

      コードバンとは、農耕馬の尻の皮をなめして革にして、その革を表側と裏側の両側から削りこみ、皮の内部の芯の固い部分を取り出したものです。それをグレージングといって、コードバンを革から取り出すために削り込んだ表面をガラスを使って研磨して、ピカピカの鏡面仕上げに加工します。

      馬から皮を剥ぎ取ったときに生えてた毛の向きを気にする人もいますが、コードバンの表面は、銀面と呼ばれる表皮の層を削り取って加工した、両面が裏革とも言える状態になっています。コードバンとは農耕馬の尻の皮膚を両面から削って内部のコードバンの層を取り出したものなのです。それを鏡面仕上げにしているので、コードバンの表に見える塗装を施した面には、毛穴は見当たりません。多くの人が馬の皮膚の表面だと思い込んでいる皮革の表面は、実は皮革の深層部分なのです。

      ごくまれに汗腺の穴が見えるものもありますが、ほとんど気づくことはありません。コードバンはそもそも表皮を失っているのですから、毛の生えてた向きを気にしても仕方がないのです。毛の向きを知るにはコードバンの左右の尻が背面でつながったメガネの状態で購入しなければなりませんが、コードバンの皮革の向きをどちらに装着しても、出せる得点は同じです。皮革には本来繊維の向きがありますが、鏡面仕上げに研磨されてツルツルに加工され、しかも塗装が施されています。ですから皮革の上でのストリングのサービングとの抵抗は、私が仕入れているコードバンであれば、革をどの向きにして使っても変わらぬ性能を発揮します。

      現在コードバンを製造しているメーカーは、世界にたった2社しかありません。兵庫県姫路市にある新喜皮革(しんきひかく)と、アメリカのシカゴにあるホーウィンだけです。どちらのコードバンもタブとして使えますが、ホーウィンは新喜皮革のような鏡面仕上げではなく、表面にザラつきを残した状態の仕上げです。馬の質感を残してると言えば美しい言い方になりますが、それでは牛革も変わらないように思えてしまいます(笑)

      新喜皮革のコードバンの方が安くて(日本国内で買うことができるので)クオリティが高く、おまけに納期が読める(とは言っても8ヶ月〜1年数ヶ月程度かかる)ので安心です。新喜皮革のコードバンは、169,000円の鞄工房山本製の高級ランドセルの素材として使われていたり、高級革靴としての素材としても有名な、世界中のセレブから愛されている高級素材です。芸術品や工芸品に近い物づくりの現場で、熟練のクラフトマンが使う素材なのです。本当はアーチェリーのタブに使うのは、とっても失礼な話なのですよ!



      今日はタブ革の材料の、新喜皮革のコードバンが入荷しました。タブのサイズや形状にもよりますが、これでタブ革を75枚程度切り取ることができます。この画像だと3枚とも同じ素材に見えますが、右からコードバン黒芯通しオイルグレージング、コードバン黒芯通し、コードバン黒の順に並べてあります。3枚で58ds(デシ)分、送料合わせて36,116円です。全然高くありません。

      ■コードバンは品薄なんかじゃない

      コードバンの皮革シートは数年前に比べて少し値上がりしてますが、仕入れ原価レベルでの微増なのと、他のアーチェリー用品類が異常に高額なものが多いので、とりたて騒ぐようなものでもありません。高級皮革製品としての世界中からの需要の高まりで、半年程度だった納期が8ヶ月になり1年になり、と伸びつつあるものの、入荷が不安定だと言うのは発注する側の発注のタイミングのマズさにしか理由は見当たりません。それにアーチェリーのタブはバッグや靴とはちがって、単に革を切り取るだけの大して時間も手間もかからない単純な部材です。

      そもそもアーチェリー用品として売られているコードバンを、元々どうしてそこまで高い販売価格に設定しているのか意味不明です。私も所有しているFITタブの交換用のコードバンは、カット穴なしのフリーカットタイプのもので、税込価格は2,160円もします。ネットショップでも1,728円で販売されています。しかしこれでも良心的な価格設定な方かも知れませんね。他には交換用の革だけで3,000円するものや、4,000円するものがありますね。いやいや、金銭感覚が狂ってしまいます(笑) 私が同じものをネットショップと同じ金額で販売したとすれば、驚異的な利益率を獲得することができます。コードバンのタブ革販売は暴利です。呆れてものが言えません。利益率は何100%ですか?アーチェリー愛好家をバカにしすぎていると思います。

      しかも、上質なコードバンを入手するのが難しいと書かれていたりしますが、コードバンは発注すれば大体、あらかじめ知らされている納期通りに入荷してきます。メーカーに直接問い合わせたら、半年とか8ヶ月などと、その都度教えてもらえます。皮革を扱っている問屋さんに尋ねると、そこから少し余裕を持たせた納期を教えてもらえます。大体その通りに入荷してきます。発注枚数が1枚でも10枚でも同じです。どれだけコードバンのタブ革が売れたとしても、在庫量の減少に応じてコードバンの皮革シートを常時発注すれば、在庫を切らしてしまうようなことにもならないでしょう。いつでも注文できるのです。

      コードバンのカラーが変わる可能性があるというのも変な話です。通常はカラーと、芯通しにするかどうか、オイルグレージングするかしないかを決めて発注するからです。生体が原料の皮革なので細かいサイズの指定はできませんが、必ず発注通りの製品が入荷してきます。部分的にキズがあったり穴があいたりした皮革のシートはB品として少し安く手に入れることもできます。中央部分に拳大の穴が開いてるものもありますが、タブとしては小さく切り分けて使うのでキズや穴を避けてカットしますので、こうしたB品でもA品と完全に同じ皮革としてタブに使うことができます。これまで何度もB品を入手したことがあります。いつ出てくるとも知れぬB品を狙っているのでなければ、カラーが変わるような変則的なことにはならないと思いますが、まぁ、そこはいろんな事情があるのかも知れません。高級ランドセルのように、全面にわたって美観が必要になる用途ではありませんので、私はいつもB品ねらいです(笑)



      世界最高の新喜皮革のコードバンには、このようにシートの裏面にステッカーが貼り付けてあります。シールの数字はコードバンの面積を表す数字です。皮革の面積は10cm×10cm単位の表記です。この16デシのコードバンで、9,920円です。1デシ620円ですが、1デシ単位に切り分けてしまうとタブとして切り分けたときに捨ててしまう部分が出てしまうので、できるだけムダのないように慎重にタブ革に形状を合わせて切りぬきます。B品は皮革によってはB品の見分けがつかない場合もあるので、裏に赤い印のステッカーが貼られています。撮影のために赤い印のステッカーをはがしています。これらのうち、2枚はB品です(笑)

      コードバンをタブ革として切り分けているアーチェリーのパーツのメーカーは、自分たちが新喜皮革を扱っているのか、ホーウィンを扱っているのか、必ず知っています。一度でも新喜皮革を仕入れて切り分ける作業をしたことがあれば、製品としてタブに装着して販売されているコードバンが、どちらが製造したコードバンであるかを見分けることができるようになると思います。ホーウィンのコードバンはメガネ(左右の尻が背面でつながった形状)の状態で、近くのホームセンターのクラフト用品コーナーの皮革素材売場に行けば置いてありますが、新喜皮革の方がどう見てもどう触っても明らかに質感が高い上に安いので、新喜皮革のコードバンを定期的に仕入れて、レッスン受講生の皆さんの上達に合わせて使っていただいています。

      ■ダイヤモンドの価値

      コードバンは「皮革のダイヤモンド」とか、「キング・オブ・レザー」と呼ばれてます。皮革の中で、まさに最高の素材だと思います。その製法や製造にかかる年月を考えても、他の皮革とは同一に捉えることができません。



      ですからコードバンをタブとして使うのであれば、このダイヤモンドと称される素材を、アーチェリーのタブとして消費するだけの価値がある、ダイヤモンドのような輝ける完璧な射をマスターして下さい。もろくはかない射であれば、ここまで素晴らしい素材は必要ないのです。何度も書いきているが、私たちは生命から奪った命を消費してスポーツをしているのです。1枚あたりの命の重みが重すぎるコードバンの輝きが、本当に自分に相応しいかを考えて使わなければ、上達どころではないのです。

      コードバンは耐久性が高いと言っても、取り扱いと管理には注意が必要です。タブは人間の汗腺の多い指先で扱うことと、湿潤な日本においては常に乾燥状態に管理しておくことは不可能だからです。タブ革が吸湿と乾燥を常に繰り返すという使用状況に置かれるからです。特に指が触れるタブの裏革をマメに交換しない場合は、表革のコードバンに裏革の湿気が移って変質することもあります。

      多くの選手は練習で使ったタブを持ち帰って形を整えてテーブルの上で乾燥させることもなく、使ったらケースにそのまま収納させるという、皮革にとって劣悪な状況に放置しているのです。ですから永遠に使い続けようなどとは考えずに、皮革の状態がそれほど悪くならないうちに交換してください。特に裏側はマメに交換してください。自分が使っているタブが原因で食中毒になったり、ケースの中でバイキンを繁殖させるようなことだけは、くれぐれも避けなければならないのです。

      コードバンのタブは正しい取り掛けと正しいリリースができていれば、かなり長くもの年数にわたって使い続けることができます。オイルグレージングで多脂処理をしているオイルコードバンであれば、皮革に油脂を補充しなくても10年以上も使い続けることもできます。定期的にオイルを含ませて手入れを行なっていれば20年でも使えますが、長持ちをさせるのが目的の素材ではありませんので、そのような使い方はオススメできません。なぜなら、汗を拭き取ったタオルを洗わずに毎日使い続けるようなものなので、はっきり言ってキタナイです。本来は上級者が取り掛けやリリースを修正する際に新しい皮革に交換して、柔らかいコードバンの表面に残ったストリングの軌跡を1射ごとに確認しながら、更なる上達を目指すものなのです。

      世界最高のコードバンを使うだけの価値があると本当に思っているのなら、新喜皮革のコードバンを購入してみるといいのです。皮革素材専門の販売サイトにも在庫を持っているところがあるので、誰でも買うことができます。仲間同士で切り分けて使っても、アーチェリーのタブとして売られている交換用コードバンを1セット買う金額もあれば、自分ひとりが一生かかっても使いきれないほどの量になります。クラブで1枚買っておいてもイイでしょう。100円ショップで売っている穴あけポンチと、金づちと、カッターナイフがあれば、誰でもタブ革を切ることができるのです。アーチェリーを精密に発射させようとしている人なら、そのくらいは簡単な作業なのです。いちどコードバンをシートで買えば、アーチェリー用品として売られている交換用のコードバンを買うのが、どれほどバカらしいかに気づきます。

      ただし、誰にでもコードバンを勧めているワケではありません。本当にコードバンを使うだけの価値があるのかを問うているのです。技術が未熟であれば、どんな高級なコードバンを使っても「練習」と称して、コードバンをゴミにするための作業を続けるだけにしかならないからです。安い牛革のタブ革で当たらないのであれば、世界最高のコードバンに交換しても高得点が出ることなどありません。

      勘違いしてはいけないのです。弓具を扱ってすべての矢をゴールドにグルーピングさせるために、自分の身体に備えておかなければならない能力を有する事の方が大事なのです。弓具が勝手に高得点を出すのではありません。タブ革の素材の良し悪しを語る前に、あなたの射の良し悪しを見極める事の方が大切なのです♪

      直せるものは とことん直して大事に使う

      2016.01.11 Monday

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        アーチェリーに関する用品は、すべて消耗品です。使っているうちに性能が低下していき、磨耗や破損によって、いつか使えなくなる運命にあります。しかしメンテナンスや修復を行なうことで寿命が延びたり、再び使えるようになるものもあります。定期的なメンテナンスを行なわないことで、製品の性能が短期間で低下してしまう部品もあります。

        アーチェリーは正確に的を射止めるスポーツですので、自分自身の身体を使って正確に発射することが最も大切ですが、使う弓具の性能が低下している状態であっては、どんな高額な機材も意味をなしません。今回はシャフトの曲がりの修理と、プランジャーの修理を紹介します。

        ■練習用アルミシャフトの修正

        レッスンで使うアルミシャフトは完全なる消耗品ですが、折れたり割れたり亀裂が入って本当に使えなくなるまでは、曲がったシャフトを何度も修正して使います。レッスンでは基本的にアーチェリーに対して完全なる初心者が弓具を使いますので、地面や壁、それに金属製や木製の的の枠などを射ってしまうことを前提としています。ですからレッスン機材に高額な製品や高性能品は一切必要ありません。自分の弓具を揃えるレッスン受講生であっても、最初から高額な製品は勧めません。高額な製品を短期間で壊してしまう使い方にしかならないからです。ACEを地面に滑走させたり、壁に射込んでしまうようなお金の使い方はないのです。短期間で壊す可能性の高い製品に高額を投じるのは、正気の沙汰ではありません。最初に使う弓具の性能よりも、自分の身体に投資したほうが何倍もマシな結果を招きます。

        けいはんなアーチェリーはアーチェリー指導組織なので、初心者レッスンで使われるアルミシャフトは何人もが使い回し、一年のうちに何本も壊します。近射で継矢をして破損することもありますし、考えられるありとあらゆる方法で、矢は消費されていきます。ですから修正できるのであれば、何度も何度も修正して使います。カーボンシャフトは修正ができませんが、アルミシャフトは多くの場合は曲がりを修復することができます。ただし、後続の矢が衝突してポイント痕がシャフト本体に残された事での曲がりに関しては、修復を試みると破断する事が多いので、絶対に修復を試みてはいけません。修復するのは、的から矢を抜いた時にシャフトを曲げてしまった場合に限ります。

        日本ではアーチェリーの的には、古畳を使います。最近の畳はウレタンフォームなどの発泡素材が芯材として用いられた軽量な畳が多いですが、軽量を目的としたウレタンフォームではすぐに矢が貫通してしまい、アーチェリーの的としては不向きです。それにシャフト本体には摩擦で解けたウレタンがこびりつき、練習のたびに削り落とさなければなりません。そこで同じ畳でも、日本古来からある藁床(わらどこ)の畳を使うことが多いです。私達がいつもお世話になってる畳屋さんでは藁床の高級畳を製造していて、いつもそちらで古畳を頂戴しています。

        藁床の畳は実測すると、どれも35キロ以上の重量があります。1枚の畳に、それだけの量の稲藁がギッシリ詰め込まれているので、とても固いです。頂戴したばかりの2枚重ねた藁床の古畳に向かって、実質40ポンドで細いカーボン矢を射込んでも、7cm程度の深さまでしか刺さりません。的の畳を交換して最初のうちは、畳の裏側にポイントが飛び出ないほどです。最初の頃のレッスンで使う10ポンド未満の竹のリムでは、矢は刺さらずに跳ね返ってきます。藁床の畳は、それほど固く引き締まっています。

        的に繰り返し矢が刺さることで使い込んでいくにつれ、畳は徐々に柔らかくなっていきます。そのまま使い続けると畳としての結束が解かれ、畳は藁の状態へとバラバラになっていきます。そのためシャフト全長の半分程度まで矢が刺さるようになると、定期的に畳を交換することになります。しかし交換したばかりの的の畳は非常に固く、的に刺さった矢を抜くのが大変です。使う弓のポンド数の高さに応じて抜くのが大変になりますが、ジュニアや初心者にとっても矢を抜く作業は、矢を射つ行為以上に大変な場合もあります。

        それに初心者用のアルミシャフトは柔らかいものが多く、児童が使う低スパインのアルミシャフトは、子供たちが矢を抜いているうちに曲がります。1214のシャフトなどは、それこそ面白いように曲がります。柔らかいシャフトは、曲げないように抜くのが難しいほどです(笑) 特に小学校低学年の児童へのレッスンでは、自分の手が届くか届かないかギリギリの位置に的中した場合は、背伸びして手を伸ばして必死になって自分で抜こうとします。ですからジュニアのレッスンで使う矢は、曲がりと修復を繰り返すことになるのが、指導者としては普通の事なのです。

        アルミシャフトの修正は簡単ですが、危険を伴います。それは、シャフトの曲がりを修正している最中に、シャフトが破断することがあるからです。使い込まれたアルミ矢は、金属疲労を起こしているものもあります。シャフトを両手で持って曲がりを修正しようとしてシャフトが破断して、ザックリ刺さって手に大怪我を負ってしまう人が、毎年何人もいます。修正しようとして力を込めたシャフトが手の中で破断すると、その破断したアルミの断面は、いともたやすく軍手を貫通して、柔らかい自分の手を容赦なく襲います。掌の中の大事な部分を突き刺してしまったり、指の腹側に鋭利なアルミの断面が襲いかかり、右手第二指(人差し指)第二関節内の靭帯を切断してしまった人もいます。そうなったらもうスポーツどころではなく、たちまち日常生活に困難を来たします。靭帯の接合手術と、長きにわたるリハビリ療養生活を送るハメになり、作業療法士の先生に余計な仕事を増やしてしまいます。しかしこれらはすべて、防げる事故なのです。シャフトの曲がり修正は、それだけ危険を孕んだ修理ですので、決して甘く見てはいけません。ですから安易に自分で直そうとせず、曲がってしまった矢は必ず指導者に預けて下さい。

        シャフト修正での事故は意外にも多く、事故を防止して正確に修正するためにアローストレーナーという製品があります。しかしストレーナーでの曲がり修正の原理を知っていれば、ストレーナーがなくてもアルミシャフトの曲がりを修正することができます。梃子(てこ)の原理を使えばいいのです。



        用意するのは、木の板1枚です。カマボコ板では柔らかいので、適当な堅さの木をつかいます。板にドリルで10mm程度の穴をあけ、彫刻刀の丸刀で穴のエッジを少し丸めます。エッジが立った状態だとシャフトが凹んでしまうので、必ずエッジを丸めます。



        シャフトへは、点接触ではなく面接触させてください。板の穴にシャフトを通して板に角度をつけてみると、エッジのどの辺りがシャフトに当たっているかが見えるので、その部分に僅かに丸みを持たせるだけで十分です。



        そしてシャフトをテーブルの上に置いて転がしてみて、テーブルとシャフトとの間での最も大きな隙間が生じる部分を、少しずつ修正していきます。少し曲げるたびにテーブルに転がしてみて、正しく修正できているかを確かめます。慣れればテーブルの上で転がしただけで見当がつくようになりますが、慣れないうちは、板を接触させて修正を行なうシャフトの部分にマジックで印をつけると、もしも間違った部分に力を加えて変形させてしまったような場合でも、すぐに修復することができます。慣れないうちは印をつけないで適当に見当をつけて修正を試みると、曲がりの修正どころか、あらぬ方向にグネグネに曲がったシャフトになってしまいます。指導者であれば慣れないうちは人前での修正は避けて「もしかしたら直らないかも知れないし、割れるかも知れない」と一言付け加えた上で自宅に持ち帰り、じっくりと修正を試みてみましょう。何度か体験しているうちに、50mで正確にゴールドに的中するほどに修正することができるようになります。

        シャフトの修正に木の板を使ってますが、シャフトの滑り防止と、手を保護するためにラバーグリップの軍手か、革製の手袋などを装着して作業を行なって下さい。危険を伴う作業ですので、選手やレッスン受講生は自分で行わず、指導者に任せてください。ここまで言って自分で修正を試みてケガをしても、完全に自己責任です。しかし本当に笑って済ますことができないようなケガを負う人がいますので、自分の身体が大切だと思っている人は、絶対に行なうべきではありません。

        作業中にシャフトが破断しても破片が四散することはありませんが、折れたり割れたりすると、掴んでない側のシャフト半分が瞬間的に自分の方に向かいます。XX75ではそれほど心配はありません(だからと言って安全なワケではない)が、X7は勢いよく破断することがあります。板に力を加えたときは、シャフトが折れた瞬間に自分の身体を襲うことがないように、力の向きにはよく考えて作業を行なって下さい。

        シャフトの表面が劣化してたり、表面にサビが浮いているようなシャフトは修復してはいけません。それに矢同士での衝突による凹みや損傷を受けたシャフトも修復してはいけません。かなりの確率でシャフトが割れます。指導者が曲がりを修復する際はシャフトの表面の状態を正確に見極めて、修理するか処分するか判断してください。

        ■プランジャーの修理

        プランジャーを破損させたという話は、あちらこちらで耳にします。プランジャーは可動する機能部品ですが、プランジャー自体が勝手に壊れることはありません。手入れをすれば、数10万射もの繰り返し使用に耐えうる耐久性があります。チップが磨耗する素材を除いては、手入れを行なっていれば使い続けることができます。

        プランジャー破損は、多くの場合は自身の扱いによるものです。シリンダーの折損や不具合の原因は3つです。シリンダー折れや曲がりは、まずは弓具の転倒。そして、ハンドルに装着したままの状態でケースに収納している場合。ダイヤルを固定しているホーローセット(イモネジ)を締めすぎてシリンダー外側のネジ山を潰してしまい、ダイヤルが動かなくなる場合です。

        プランジャーに使われているホーローセットは、中にはM4やM5などもありますが、多くの場合はM3が使われています。発射の際の振動でホーローセットは緩みます。そのため緩まないように付属の六角レンチで締めるのですが、ここで注意が必要です。六角レンチには使い方があり、持ち手を長く持つか、短く持つかで、ホーローセットに与えるトルクが大きく異なることです。プランジャーには六角レンチが付属していますが、絶対に持ち手を長く持ってホーローセットを締め付けてはいけません。

        M3のホーローセットでの締め付けトルクは驚くほど弱く、1N・mを大きく下回る値です。鋼製であれば0.7N・m、ステンレス製であれば0.44N・mです。ホーローセットの目的は、プランジャーのダイヤルが回ってしまわないようにするための、補助的な固定にあります。そのためホーローセットの先端はくぼみ先になっていて、シリンダー外側のスレッド(ねじ切り)に引っ掛ける構造になっています。ですから緩むからといって締め付けトルクを超える力で締めてしまうと、たとえプレッシャーパッキンが挿入されている、ダイヤルクリックタイプの高価なプランジャーであっても、オーバートルクによってネジ山は簡単に潰れてしまいます。

        多くの選手や愛好家が、六角レンチの短い方をホーローセットに差し込んで、持ち手の長い方をつかんで「ギュッ」と締めてしまうことで、ネジ山を潰してしまっています。それほど取り扱いがシビアであるパーツにも関わらず、その正しい管理の方法を知らない人が多いです。レベルの低いショップでは、ホーローセットの締め付けトルクの数値も知りません。六角レンチの正しい持ちかたも、正確な指の当てかたも知りません。ですから製品を購入するお客さんに、それらの扱いの正しい説明を一切行ないません。通販で購入している人は、なおさらです。シャフトの精度がどうたら、ハンドルの剛性がどうたらと、カタログに書かれているような文言は語るけど、ネジの締めかたの説明もできないのです。トルクレンチを使わずに、手感覚での大体のトルク管理もできないレベルです。とてもメカニックとは呼べないような人ばかりの世界なのです。実態を知ると、それは恐ろしい思いがします。

        シリンダーが完全に折れてしまった場合は直せませんが、弓具を転倒させてシリンダーが変形した場合や、シリンダー外側のスレッドを破壊してしまった場合は、折れてしまわない限りは修理することができます。今回の修理はショップには持ち込まずに私が直接修理したものですが、ダイヤルがシリンダーに完全に固定されて動かなくなったような今回のようなプランジャーは、ショップへ持ち込めば全損扱いを受け、やれ、ハンドルの付属品は弱いとか質が低いとか、次はイイのを買いなさいと言われ、バイターなどの高いプランジャーを買わされてしまうことが多いです。

        ショップがそう言えば、誰もが次は必ず高価なプランジャーを買うことになります。ですから多くのショップでは、こういった面倒クサイ修理は、ほとんどしません。というか、アーチェリーショップの中には、ネジ山が潰れて完全に固着したダイヤルを取り外せないショップもあります。ショップに置いてある工具類を見れば、これまでどんな修理を経験してきたかが一目瞭然です。バイスグリップやウォーターポンププライヤー、スライデイングハンマーすら置いてないショップもあります。何N・mのトルクを加えると、シリンダーが変形するかも知りません。プロショップのプロとは、何のプロなのかを疑うようなショップが多くて困りますが、そんな状態のものでも修理を行い、同時にオーバーホールすることで、可動状態が優れた状態に修復することができるのです。多くの人が、この状態のプランジャーを捨ててしまっています。何とももったいないハナシです。何度も修理を繰り返して、最後までとことん使い切るという日本人の精神は、どこに行ってしまったのでしょうか。



        これはプランジャーの左右を調整するためのダイヤルが動かなくなったものです。ホーローセットを緩めても、ダイヤルは少ししか動きません。少し動かした部分で完全に動きを止めてしまいます。ダイヤルとスレッドの間に浸透性の高いオイルを注入して、バイスグリップでダイヤルを固定して、他のプランジャーから取り外して装着して固定したダイヤルにバイスグリップを固定しても、そこから先はガッチリ固定されてしまい、どの方向にも動かなくなりました。注油しているにも関わらずです。万力でダイヤルを固定してしまうとシリンダーごと潰れて変形してしまうので、事実上人間の力では、工具を使ってもどうにもならない状態を示します。なのでこれはインパクトを使って取り外しました。インパクトの先には自作した特殊な工具を装着して、最大トルクに設定して取り外しを試みます。何度か脱落してプランジャーが勢いよく飛んでいき、アトリエの壁に激突しましたが、少しずつ動いたと思ったらプランジャーのダイヤルは外れ、インパクトは空回りしていました。



        これがダイヤルを取り外したプランジャーのシリンダーです。外側のスレッドがホーローセットが食い込んだことで大きく変形してしまい、ガタガタの状態になっています。ダイヤルさえ取り外すことができれば、スレッドを切り直すことで再びダイヤルを装着することができるようになります。外径用ミルスレッドがあれば簡単に直せますが、ミルスレッドがなくてもヤスリを使ってスレッド表面を整えることができます。そのかわり、神経質さと根気が必要になります。自分の精神力や集中力に自信があるという人は、ぜひどうぞ(笑)



        これでスレッドの切り直しが完了です。ネジ山を潰してしまっているので、じっくり観察すると痕跡が随所に見られますが、ダイヤルを装着するとスムーズに回転するレベルに修復できました。



        スレッド修理を終えたら、部材のオーバーホールです。シリンダー内部を整え、シリンダー内径とピストンを繰り返すチップとの摺動をスムーズにするための当たり調整を行ないます。何を使っているかはナイショですが、意外に身近なものを使って鏡面仕上げの三歩手前(笑)のところまでやります。手作業で根気を試すようなことは、絶対にしません。

        この調整を行なうことで、1000円程度のプランジャーや、今回のようなハンドルに付属してきたプランジャーでもフリクションロスがなくなり、シルキーでスムーズな動きを見せるようになります。市販されている多くの高性能プランジャーでも、ここまでスムーズには動くものは少ないです。バイターに関しては、あれほどの高額なプランジャーにも関わらず動きは芳しくなく、クリアランスはガタガタです。手を加えない限りは、製品出荷状態で使いたいとは思えないレベルです。みんな、そんなものに1万数千円を払って喜んで使っています。シブヤのプランジャーの精度と動きが素晴らしいですが、多くはバイターを目指すのが不思議なところです。こうしてハンドルのオマケとして付属してきたプランジャーであっても、シブヤのプランジャーに匹敵するものに作り上げることができるのです。



        1個数百円の安いプランジャーや、ハンドルに付属するようなプランジャーの中には、シリンダーのスレッドを痛めないためのプレッシャーパッキンが入っているものと、入ってないものがあります。特に海外メーカーの製品では、このあたりが実にアバウトです。ホーローボルトの締め付けトルクを正しく管理できていれば本来は必要のないものですが、プレッシャーパッキンが入ってれば、少々オーバートルクになってもパッキンが変形してスレッドを押し付けるだけなので、スレッドが破壊されることはありません。だからといって「ギュッ」と締め付けたら、ダイヤルは動かなくなってしまいますので、優しく締めてください。

        プレッシャーパッキンは樹脂やビニール製のものが多いですが、タブの裏革として使っているベロア革をポンチで叩いて円く切ったもので十分効果を発揮します。裏革を切り取ったあとに残った端を、このようにして余すことなく使い切ります。このポンチで叩いた円い革に、ごく少量の潤滑油を含ませると、常に動きの良さを保つことができます。潤滑油を含ませた革はスレッドとホーローセットの先端との形状によく馴染んでくれるので、潤滑油を含ませないものよりは少ない力でダイヤルを固定することができます。発射の衝撃と振動で、ホーローセットが緩むことも少なくなります。

        タブ革を使う場合は間違っても、これまで使ってきた、汗と皮脂がしみこんだタブ革を2次利用しないでください。プランジャー内部が腐食してしまい、それこそ分解不可能になってしまいます。金属に塩分は厳禁です。ステンレス製のホーローセットであっても、それほど高価な素材を使っているわけではありませんので、汗が付着するとサビてしまうことが多いです。

        今回のプランジャーの中には、スプリングを調整するための長いホーローセットを固定するホーローセット取り付け部分には、プレッシャーパッキンが入ってましたが、シリンダーのスレッドに対するものは、2つとも入ってませんでした。これはメーカーのミスで入ってなかったのではなく、ホーローセットの仕組みを正しく理解しているメーカーであるから、これで十分と判断しているのです。しかし、こうした製品が使われている実情を見ると、トルク管理についての説明を行なわない販路から購入している以上は、シリンダーのスレッド破損に対する修理依頼はなくならないと考えています。それに、何もわからない初心者の頃にいろいろ詳しく聞いたところで、すべてを完璧に覚えている人も少ないでしょうからね。ですから最初から高額なプランジャーを買う必要などないのです。どうせその性能の素晴らしさを実感する前に、壊してしまうことが多いからです。

        このようにして、捨てられる運命だったプランジャーがオーバーホールされて、最初の性能以上のクリアランスにして持ち主にお返しするので、とても喜んでいただけます。私達を通じてお買い求めになられた受講生の皆さんの弓具は、それらが壊れて機能を果たさなくなり、本当に使えなくなるまでは無償でメンテナンスします。そして次からそのような状態にならないために、その後の扱いについて丁寧に説明をします。(ハンドルやリムが折れたら私では修理できません。適切に扱われたもので保証期間内であれば、メーカーの保証が受けられます)

        多くの機能パーツは、このように何度も修理して使い続けることができるのです。しかも修理が完了するたびに、新品同様の性能を取り戻します。新品以上の性能を得るものもあります。定期的にメンテナンスを行なえば、かなり寿命が長いパーツが多いです。ですから、アーチェリーほど物欲の沸かないスポーツはないのです。※無償修理は最初の購入者のみ。消耗品の破損をのぞく。譲渡品・第三者への貸し出し品・転売品をのぞく。有償無償に関わらず、修理の場合はお預かりすることがあります。

        それにしてもSF社のハンドルには、かなりモノがいいプランジャーがタダで付属してきますね。このプランジャーが付属してきたハンドルは、購入当時の金額は1万3500円でした。バイターのプランジャーを1本買う値段で、プランジャーとマグネチックレストが標準装備されているハンドルが買えるのです。今は少し値上がりしてハンドル1本が1万6500円ですが、それでも価格の整合性がつかないほどの安さです。プランジャーもレストも標準装備しなくてもイイのではないかと思えるほどです。しかし付属しているのなら、使わないテはありません。本当に使えなくなるまで使いきってやればイイのです。扱いに不慣れな最初の頃は、自分の扱いで様々な弓具を壊してしまうものなのです。でも壊してしまってもイイのです。このように簡単に修理ができます。今回のプランジャーの修理もそうです。必ずしも壊したことが悪いのではなくて、このようにして扱いに慣れていき、高価で高性能なパーツを買ったときに困らないための、大切な経験となって活かすことができるのです。ですから弓具に対する初期投資はできるだけ低く抑え、自分のレベルに応じたグレードの製品を揃えることが大切なのです。

        特にプランジャーは、いちどセッティングを出したら、もうほとんど調整機能を触らない人が多いです。完全に分解したことがない人も多いと思います。プランジャーを定期的にオーバーホールなどのメンテナンスを行なう人は、残念ながらほとんどいません。高価なプランジャーが泣いているような、使いっぱなし状態のような人も多いです。プランジャーの動きの悪さや、不具合に気づいてない人も多いです。プランジャーは正しく使えば、常に良好なコンディションで使い続けることができる機能部品です。動きが渋くなってきてから慌てて分解して元の状態に戻せないという目に遭う前に、プランジャーの内部の清掃くらいは、定期的に行なっておくことが大切です。

        大事に使うということは、決して弓具の見た目をピカピカに磨くことではないのです。弓具の小キズを気にするようなものではないのです。はっきり言って外観や美観などは、的中には一切関わりません。その性能を向上させて、それを維持するためのメンテナンスを的確に行なうことが、自分が扱っている弓具の本当の性能を知ることにつながり、確実な的中をもたらすのです♪

        見てないフリして 真実と向き合ってこなかった指導者たち

        2016.01.02 Saturday

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          ■2015年の指導者としての通知表

          新たな年を迎えましたが、指導者には年末年始も休日もありません。問い合わせフォームへの質問があまりにも多く、レッスン受講を希望される方や、深刻な相談以外への返信ができるほどの余裕はありませんのでご了承ください。なお、レッスン受講生以外への技術的なことや弓具に関する相談は受け付けておりません。それにお答えしてしまうと、入会金・年会費・レッスン代を払っている入会メンバーに失礼にあたります。

          通って来られるレッスン受講生の皆さんが上達するために、世界で最も優れていることを勉強し、それを指導で実践するのが指導者の仕事です。世界で最も進んでいるあらゆる分野は常に進化を続けているので、その学習に終わりはなく、内容は多岐にわたります。ですから私は世界でトップレベルの指導者を続けられるように、世界最高クラスのスポーツ医療チームと一体となってレッスンを行なっています。ボランティアで中途半端なことをやっているのではないのです。

          一年の最後となる大晦日に、スポーツ医療チームからレターパックの速達便が届きました。



          先月に行なわれたスポーツ整形のドクター四本先生による、メディカルチェックの診断結果の全員の資料です。今年は人数が増えましたので、スゴイ量があります。指導者という立場には休日はないのです。

          レッスン受講生の皆さんの身体の状態を、スポーツ整形のドクターが客観的に診断した書類なので、この一人一人の身体の状態の診断結果が、指導者としての私への通知表にもなります。ざっと見たところ、レッスン受講生一人一人の身体に、スポーツを行う上での故障を抱えそうな部分はありません。四本先生は肩専門で、関節・スポーツ整形外科部長をされてます。アーチェリー選手の肩や上腕部に精通されているので安心です。

          ただ、私がいつもレッスンでストレッチ指導を行って伝えてる通り、身体が固いという指摘を受けているメンバーが多いです。SLRやHIRの可動域が悪いと重心を安定させる上で大切な骨盤の傾斜量をコントロールできなくなるので、その身体の状態のままで実射を続けさせたり、筋トレをさせてしまうと確実に破綻をきたし、射つ練習をすることによって身体はいずれ蝕まれてしまうからです。どれだけ実射量を増やした練習を重ねても、ほとんど上達しない最大の理由です。

          ■上手くなれない方法を懸命になって努力させる指導者たち

          「まっすぐ立つ」「自然な感じに立つ」など、アーチェリーをする上でよく耳にする言葉です。どれだけ抽象的な表現でしょうか(笑)骨格や筋肉の専門家でない中途半端な指導者ほどその言葉を多用し、見た目だけの射を気にします。しかしそんな指導者の多くは、そのまっすぐの基準をまったく理解してません。骨盤の傾斜角がどうなると何がおきてしまうか、筋肉のどこの動きが悪くてその姿勢になるのか、どこの筋肉がつきすぎててバランスが悪くなっているのか、そんな事もわかってません。それに大腿骨骨頭と骨盤の形状や、それらを形成する靭帯の作用も一切無知のまま、シューティング時のスタンスをテキトーに決めてしまうという、とっても乱暴なことをしています。

          そのスタンス幅で自分の骨格を維持させるためには、どのようなトレーニングをしなければならないかという最低限のことすら教えることができないでいます。なぜ身体の柔軟性が必要かの説明も正しくできません。多くの人が、そんな人からアーチェリーを教わっています。どれだけ時代遅れかと思いますが、レベルの低い指導者たちは真剣に体のことを学習していかないので仕方がありません。指導者としての指導を受けにくる指導者は安心ですが、そうでない指導者たちは、私が言ってることの半分も理解できません。多くのレッスン施設で、前時代的なことを繰り返してヘタクソを量産し続けています。そういった指導者から学んでいる人たちが本当に可哀想に思います。

          上級者のスタンス幅が狭いからといってマネしても、骨盤の中の筋肉を正しく作用させることができないのでは、単なるハリボテで中身がなく、実効性のない射にしかならないのです。本当に上手いかどうかは、その人が射った矢を目で追いかけて的を見る必要などありません。50mも離れた場所からでも、アーチェリーをしている人を見たらわかります。腰にぶら下げているクイーバーに入れてる矢が、リリースのたびに揺れるのが見えるからです。

          クイーバーに入れてる矢が射のたびに動くのは完全に異常です。正しくアーチェリーを学んできた人であれば、発射の際にクイーバーはほとんど動きません。しかし多くの人は、射つたびにクイーバーを大きく揺らします。中には矢が音を立てる人もいます。自分はマシだなんて思わないで下さい。五十歩百歩です。

          そんな不安定な状態でスタンスの幅を上級者みたいに狭めてしまえば、弓を引いたら多くの人は後傾しているかヒザや腰で身体が捻転しているので、両足でしっかりと身体を支えられなくなります。その上、指先からストリングが離れたあとに、後方にむけて勢いをつけてスライディングリリースをしようとして、さらにわざわざ姿勢を崩してしまっているので、もう目も当てられません。そんな射を必死になって回数をこなしてしまい、ロクに身体のケアもしないので、どれだけ練習量を増やしても上手くならないどころか、身体を傷めて故障を抱えてしまいます。

          なのに、トップレベルの選手は一日で何百射しているなどと言うのです。指導者にそう言われたら、言われた人は射を多くこなしたら上手くなると思い込むのが普通です。上手くならない方法を繰り返させるのは虐待ですよ。そんなのスポーツ指導ではありません。

          アーチェリーの先生だと思っている人の多くは、人間の骨格のことを正確に理解していません。TFCCがどのような構造で形成されているかも知らないので、ボウスリングやフィンガースリングの適切な長さの指導を行うこともできません。「この長さにしたら飛び出しが」などと、ウソ八百を並べます。おまけに手首のストレッチ指導やアイシングをさせないために、多くのアーチェリー選手がセンターロッドにウエイトを装着したら、すぐに手首を傷めます。傷めていることに気づいてない人は、私たちがTFCCに触れたとたんに痛みを感じます。本当にイイ加減にして欲しいのです。人の身体を壊すのが指導者の役割ではないのです。

          ですからアーチェリーの指導者に依存するのは危険なのです。その先生が過去にどれだけ競技実績があったとしても、指導者としてのレベルが高いかどうかは、引退後の猛烈な学習が占めるウエイトが高いかどうかで決まるからです。指導のレベルと競技実績はほとんど関係がないと言っても過言ではありません。過去にどれだけ競技レベルが高かったとしても、スポーツバカか、アーチェリーおたくばかりで、指導者としての教育を受けてきてない人が指導者をしている事が多いです。ほとんどの場合がその人の独自の理論であって、骨格と筋肉の専門家からは、首をかしげるような事を言ってたり書いてたりします。そのようなものは、その人以外の他の人には役に立たないものが多いのです。

          ■一流選手であることと一流指導者であることは別

          スポーツと医療は密接に関連があるにも関わらず、医療と連携しているスポーツ指導者はほとんどいません。それはその指導者が選手として、スポーツ科学トレーニングを受けていない証拠です。受ける境遇になかったと言う人も多いです。スポーツ科学的なトレーニングを行なってこなかった選手には、あらゆる面でムダが多く、自分の貴重な時間をムダにして、体力をムダに使い果たしてしまいます。練習量が少なくてもレベルの高い選手になれる方法も知りません。自分の選手としてのレベルが落ちてきたことを理由に引退して、指導者をしている人ばかりです。「多少の痛みには耐えて」とか「歯を食いしばって」などという言葉も出てきます。きっと気合や根性に関しては、さぞかし自信があるのだと思います(笑)

          しかしスポーツ科学トレーニングでアスリート育成プログラムを受けてきた選手であれば、スポーツ指導がどれだけ医療と密接に関わらなければならないかを痛感し、アーチェリーの先生では全く刃が立たないことがわかります。わかりやすく言うと、故障を抱えてしまうか、それを未然に防ぐことができるかということなのです。ですから実射の練習量を必要以上にこなすくらいなら、スポーツ整形のドクターの診察を受けて、セラピストからリハビリとトレーニングを受けてボディーケアをしていた方が100倍マシだということがわかります。その重要性を理解してないまま、ひたすら実射を繰り返させ、まったく意味をもたない筋トレを課し、ストレッチのマネ事のようなことをさせ、実射後にアイシングもせず、今日は何百射したとカウンターをカチカチして、明日は何百射とカチカチさせて、使えない身体をどんどん使えなくさせてしまうのです。

          そんな状態なのに集中力がどうとか、精神力がどうとか、練習量とか、どうも根性論的な方向に思考が流れがちです。試合になったら当たらないのは、射が悪いからです。メンタルトレーニングの専門家による指導の成果が上がらないのは、射が悪いからなのです。気持ちがどうとかいう問題ではありません。練習でしか当たらない射を完璧にマスターしてしまっているからに他なりません。それは教えた指導者の責任です。あなたが悪いのではありません。あるとすれば、指導者を厳選しなかったことかも知れません。しかし普通は自分の先生を選ぶのは大変です。多くの人は、恐らく自分が住んでいる地域では探し当たらないと思います。ですからこのけいはんな地域まで、関東から何名もの方がレッスンを受講されにお越しになるのです。

          選手としては一流を目指すのに、指導者として一流を目指す人が少ないのは、実に困りものです。恐らく、今から指導者としての勉強を始めたのでは、とてつもない膨大な量の知識を勉強しなければなりません。きっと実践する頃には忘れます。いま最新と言われているものの多くは、すでに25〜30年も前に確立されてるものばかりで、現代ではそこからさらに飛躍を遂げ、基準や常識がすべて変わってきているからです。最新とは私たちが作り上げていくものなのです。それらを追いかけているようでは、取り残されてしまうのです。多くが四半世紀前のことを最新として取り上げています。恐らく私たちの会話が通じるようになるまで、もう四半世紀はかかるのではないでしょうか。選手を引退したら指導者の道に進むなんて、そんな甘いものではないのです。三流指導者を目指すなら別ですが(笑)

          選手や指導者の中には、私と話をすると物怖じする人もいます。しかしそんなことでは困ります。私をさんざん利用してやろうという魂胆アリアリで接近してくるようでなければ、日本のアーチェリーはいつまでたっても良くなりません。指導者は一流を目指し、世界一の指導者になるべく、指導能力を高めてもらいたいものです。ですからけいはんなアーチェリーでは、指導者への指導の門戸を常に開いています。私と同じレベルの指導者が各都道府県にひとりいるだけで、日本のアーチェリー愛好家は幸せなスポーツライフを過ごせるようになるのです。

          大切なことは、強い選手を作り上げることではありません。そういった人は健全なスポーツ指導の中から自然に出てきます。それよりもすべてのアーチェリー選手が正しいスポーツ指導を受けることができる環境を、私たちの力で築いていかなければならないのです。だから選手は、決してスポーツバカにならず、勉強する事を好きになってください。そして人を愛してください。学校を卒業したら、人の役にたつための勉強をしてください。人間死ぬまで勉強です。そして毎日が試験です。評価は周囲が下します。自分が選手を引退した後に、自分が活躍の場を与えてもらっていたスポーツに感謝して、新たな世界を作り出して貢献して、役に立つ存在になってください。自分が上手くなることだけしか考えられない選手ほど、いらない存在はないのです。

          選手をしているうちは、自分がアーチェリーをすることで、周囲に情熱と感動を与える存在になっておいて下さい。そして自分がアーチェリー選手であることで、自分に関わる周囲の人々をアーチェリーの世界へ引きずり込んでください。それができないのであれば、アーチェリーを愛しているとは言えません。魅力を引き出す事ができない、ただ好きなだけです。それができればスポーツじゃなくても、何をやっても上手くいくようになります。アーチェリーを自分にとって優れたツールとして使うかどうかで、これから先の人生をどう良くするかが変わります。しかしそれも優れた指導者と当たるかどうかで決まってしまいます。そんな状況を打破するためにも、ある程度早めに選手としての見切りをつけて、できるだけ若いうちに優秀な指導者として勉強をしてもらいたいものです。

          ■スポーツ科学トレーニングの一部

          今回の診察結果を見ると、スポーツ医療チームと一体となったレッスンを受講してきたメンバーの多くが柔軟性・筋力ともに改善しつつあるのは、前回の診察結果のデータとの比較で明らかです。年齢が高めな受講生の方であっても、肉体年齢を大幅に取り戻しているのも分かります。

          診断結果と加速度センサーによるデータとの照合です。頭・首(背中)・腰・手首・両ヒザに装着した6つの加速度センサーが、実射の前・リリースの最中・リリース直後の身体の動きを表示させます。360度方向のデータを取り出すことができるので、動きの方向は無限に調べることができます。

          その動きの方向から、身体のどこの筋肉が反応して骨格をその方向に動かしているのかを調査します。そして触診で実際の筋肉の動きの状態を確かめて、ドローイングのアプローチから正しく筋肉を作用させることができているかをチェックします。姿勢変化の多くの場合は下肢の筋肉の状態の悪さからくる反応であり、下半身を含めた全身の柔軟性の高さが必要だということがわかります。

          特に股関節の動きが硬い場合は股関節内旋角度が浅く、HIRの数値が低く表示されます。股関節や骨盤周辺の筋が固いために骨盤を安定させることができず、重心のズレによる変化に対応することができません。股関節周辺の筋持久力が低いために、射てば射つだけ疲労が蓄積され、試合後半になって崩れることもわかります。

          股関節の挙上角度が浅いとSLRの数値が低く表示されます。これはハムストリングが硬くて股関節からヒザまでの柔軟性が乏しい状態です。この場合はハムストリングの硬さが骨盤の姿勢を変化させてしまい、安定した姿勢を維持することができないまま実射を行うことになってしまいます。

          ヒザに取り付けた加速度センサーが、骨盤から下の脚部の筋肉の動きを明らかにします。自然な感じに立つなどというような抽象的な言葉ではなく、アンクリングをスムースにするために足首のストレッチが必要で、同時に前脛骨筋のトレーンングをしなければならない、などを具体的にします。腰のセンサーは、ドローイングに従って骨盤がどのような動きをしているかがわかります。その動きの大部分が実は脚部の動きであり、弓を引く動作に負けて下半身が揺れていることも、HIRとSLRの数値と照合すると分かります。ですから下半身の柔軟性を高めることが最低条件で、そこからさらに筋持久力を高めるためにランジをしたり、ランニングでしっかりと走りこまないといけないのです。

          実射を繰り返すだけで上手くなれる人が1000人に1人しかいない理由が、おわかりいただけたのではないでしょうか。その1000人に1人は、偶然にも様々な条件が揃った幸運な人であり、自分がそんな星の巡り会わせだとは思わないほうがイイということです。私も1000人に1人のラッキーボーイなどではなく、当時のスポーツ科学に基づいて合理的に育成を受けると同時に、指導者としての指導の方法を学んできました。しかし当時のアーチェリーの世界からは、相当変わった目で見られていたと思います。高校時代はジュニア強化指定選手を解いてほしいと申し出ると、理由を尋ねられました。ただ射つだけの強化練習に意味が無いし、射つだけならわざわざ遠くまで合宿に行く必要が無いと答えると、ナマイキだと言われました。取り組みのレベルが圧倒的に違うので、私の指導者先生と顧問の先生と相談して決めたことですが、大きな競技会場などの弓具検査で出会ったときなど、いちいち嫌がらせを言われました。まぁ、そんな事が気になるようなマインドを養ってませんので、誰から何を言われても平気でした。当時メンタルトレーニングの第一人者だった千葉先生からも、時代遅れの人たちを相手にしなくていいと言われてましたが(笑)

          当時はスポ根むきだしの世界で、選手のほとんどが故障を抱えていたように思います。そのような風潮だったので、スポーツ科学に基づいた指導に当時のアーチェリー界は皆が懐疑的でした。つま恋での合宿でも、一日で400射以上をこなした時期があったほどです。半分程度の選手が、そのせいで身体にトラブルを抱えてました。当時の選考会は2日間に分けてダブルラウンドでした。当時のトップレベルは、私以外は完全に根性論でした。今ではそんなことをしたら、選手が壊れます。いや、当時はみんな壊れてましたか・・・

          私も自分の努力だけで高得点を叩きだせるようになったのではありません。アーチェリーの素質があったわけでもありません。身長は161cmしかありません。ドローレングスは24.5インチしかありません。体型だけで見たら、とても全国レベルで上位に食い込めそうには見えません。しかし私を教えた指導者が、私の上達の運命を決めました。努力というよりはむしろ、それぞれを言われた通りにしていただけです。今では射の上達においてどのような条件を備えるべきなのかが解明されているので、それを備えることで誰もが楽しく上手くなることができる時代なのです。上級者になるだけであれば、血のにじむような努力など、一切ありません(笑)

          上手くなる以前に、アーチェリーを行なうためには、身体の基礎機能を備えなければ、スポーツ指導どころではありません。HIR90°、SLR90°が必要な柔軟性です。硬い身体のまま実射をしてしまうと、動きが悪いまま筋肉がついてしまうので、自分の筋肉が自分を締め付けるだけで、他の大切な筋肉の動きすら悪くさせてしまうのです。ですから筋トレは自分勝手に行なってはいけません。インターネットや本を見て、テキトーにやってはいけません。むしろ不必要な筋肉を落とさなければならない人が多いです。一人一人の身体の状態は全員が違うので、やらなければならない事は、全員がすべて違うのです。ですからスポーツ整形のドクターからの身体所見が、スポーツ指導になくてはならないのです。



          これは加速度センサーのデータの一部です。これは私の腰に取り付けて実射した春のデータです。5射のデータで、右下は弓を持たない状態での直立静止時の参考データです。左上から1射目で合計5射してますが、どれもほとんど同じ波形で、重心の移動量は限りなく少ないものになっています。これはリリース前の1秒と、リリースからの0.5秒のデータです。クリッカーの音を聞いてリリースする直前に、サイレントピリオドの状態を毎回必ず発生させています。0.05〜0.07秒間の短い時間に発生する、速筋繊維からの筋放電が止まって弛緩する瞬間です。この短い瞬間の直後にストリングが指先から離れていき、ストリングがリムを叩いて矢が発射された衝撃が、グラフに大きく表れています。

          大事なのは発射されるまでの波形が一定であるかどうかと、サイレントピリオドが正確に発生しているかどうか、サイレントピリオド状態のときに速筋が弛緩している最中に、矢を送り出すまでの間に遅筋で正しく骨格を保持しているかどうかで決まります。速筋が作用している状態で「エイヤ!」とリリースをブチこんでいるような射ではいけません。身体の力の向きを容易に動かしてしまう身体の大きな速筋が、ストリングが矢を送り出している最中に身体を動かしてしまうからです。フォームが美しく見えても大菱形筋で肩甲骨を引き寄せることができておらず、僧帽筋中部繊維などの速筋だけを作用させて肩甲骨を外側から背骨に向かって押さえ込んでいる人は、このサイレントピリオドを迎えようとした瞬間に破綻します。速筋だけでフォームを固めているからです。腕力で弓を引いてる人は、もっと悲惨です。リリースの瞬間に腰にぶら下げているクイーバーが動くようでは、この加速度センサーのデータのどこを見たらそれが発射の瞬間なのか、探すのが大変なほどです。

          人間の身体は生体として活動しているために、人形のように固定することができません。たとえ静止しているように見えても、1000分の1ミリ単位で常に身体は前後左右に動いています。たとえスーパースローモーション映像を見ても、それらは一切わかりません。しかし人間の身体の中では全身の感覚受容器がその変化を察知して、目に見えないような小さな動きですらも重心の移動の修正を常に行なって直立できているのです。でもそれは、自分の中での感覚として捉えることはできないのです。そうです。自分の身体が行なっていることであるにも関わらず、それを自分で気付くこともできないのです。ですから射の最中に重心にズレが生じていたとしても、それが適正な位置に修復できなかったとしても、気付くことはできないまま矢を発射してしまいます。ですから実射を行うよりも先に、運動に関わる脳と神経を発達させることが先決であり、俗に言う脳トレを行なって脳内の運動野を活性化させておかなければならないのです。これまで通りの実射を続けながら後付けのテクニックが自分の点数に良い影響をもたらすことがないのは、そのせいです。

          サイレントピリオドを自在に発生させることができるようになると、その最中の射の自分の動作がすべてスローモーションのように感じるようになります。ですからリリースをしようとしたときにサイトピンにズレが生じていた場合に、そのズレを修正しようとする力を発生させることもできるようになるのです。このデータを見ると、4射目にはクリッカーの音を聞いたあとのサイレントピリオドが2回発生していることがわかります。この時はクリッカーの音が聞こえた1回目のサイレントピリオド時に心拍が重なってしまったために、サイレントピリオドの2回目を発生させてリリースの動作に持ち込んでいるものです。

          そのため通常のリリースタイミングよりも発射されるまでの間に、0.05秒ほどのタイムラグがあるのが見てとれます。これは神経系を徹底的に鍛え上げた人間の神経の伝達速度の最大限の反応ですが、自分の意識の中にのぼることはありません。神経の反射の中で行なわれるメカニズムです。研ぎすまされた敏感な人であれば、何となくわかる程度ですが、もしも気付いたとしても、それは矢が発射されたあとの話です。脳まで伝わるスピードは、そのくらい遅いのです。考えながら射っているようでは、あなたの身体は弓に弄ばれます。

          そのため、その射を見ている人は誰も気付きません。そのタイムラグすら絶対に感じることはありません。もしも他人の射を見てそれに気付くことができるとしたら、自分の身体の各部を1000分の1秒単位で自由自在に操ることができているハズです。どんな距離からでも、きっとXにしか当たらない腕前になっているハズです。

          しかしそれは不可能なのです。なぜなら、スーパースローモーション映像と筋電計の組み合わせでも、これらの判別がつかないのです。人間の反射神経は、どれだけ鍛えても0.05秒よりも短くすることができません。脳に情報が到達するまでの間に、身体で行なうすべての処理が終わっているのです。ですから神経細胞につながった感覚受容器が受け取ったシグナルは、いちいち脳まで情報を伝えることはありません。実際には伝えるには伝えているのですが、あまりの情報量の多さに、事後処理報告を詳細に伝えないといったところでしょうか。そのため自分の感覚として知らせることをしません。射というのは、そのくらい速いスピードで行なわれているものなのです。ですからレスポンスが高い高性能な弓具を使わず、反応がマイルドな鈍重な弱い弓具を長く使わなければならないのです。最初から高性能な弓具を使っていたら、あなたの脳ミソが弓具のレスポンスの高さに目を回してしまうのです(笑)

          こうしてゾーン状態で射に持ち込むことができるようになると、このようにして身体が勝手に心拍の間に合わせて射つようになります。それができるようになるプラクティスを刻みつけるために、一見アーチェリーとは関わりのないような複数のトレーニングを、スポーツ理学療法士の先生からレクチャーを受けているのです。それらのトレーニングで、脳が開いている状態を作り出すのです。それが効果を最大に発揮させるためには、アーチェリー選手は平常時心拍数の少ない大きな心臓と、全身の血液量の多い身体を養わなければなりません。そして心拍が上がらず呼吸数の少ないアーチェリー競技においては、少ない酸素供給量であっても筋肉が最大のパフォーマンスを上げるための、アスリートとして基礎的な身体能力の高さを養わなければなりません。ですから実射が大切なのではなく、普段からランニングやロードバイクなどの有酸素運動を徹底的に行い、アーチェリーよりもむしろ持久力運動が好きにになっておかなければならないのです。ですから、アタマもカラダも良好な状態を作り上げておかなければなりません。

          このトップアーチャーの射は、まだアーチェリーをやったことがない完全なる初心者であれば、誰でもマスターすることができます。最初からこのプラクティスを組み込むためのリハビリとトレーニングを実射の前に取り込むことができるからです。この身体の使い方をマスターしてしまえばそのプラクティスは死ぬまで自分の身体に刻み込まれているので、アーチェリーを10年やめても20年やめても、復帰しようと思えば復帰することができます。私が17年間も自分で弓を引くことがなかったにも関わらず、17年ぶりにケースを開けて弓を取り出して、アーチェリー場にも行かずにトレーニングだけを行い、サビたバッジを探し出して競技会に出場していきなり優勝復活デビューして京都府連の登録選手を驚かすことができたのは魔法でも何でもなくて、現代のスポーツ科学プログラムにあります。

          スポーツの上達に秘儀も奥義も魔法もありません。正しいドローイングのアプローチと、正しい骨格のポジションに誘導させるための筋肉の使い方によるものです。これらのプラクティスは一度刻み込んだら死ぬまで永遠に消えることがないのです。選手を引退してから失っているものは、射に必要な筋力だけです。それらは決して弓を引かなくても再び養うことができます。アーチェリー場に行かなくても何の心配もありません。再び取り組む年齢も関係ありません。正しい身体の使い方を最初に学べば、練習を続けなくても上級者でいられるという事なのです。最初に間違ったものをプラクティスとして身体に覚えさせてしまうことが、とても困ったことになるのです。

          これは、単に実射を続けているだけでは会得することはできません。後から筋トレしてもまったく意味がないのは、後から養った筋肉が、これまでのプラクティスの中で作用することがないからです。ですから、先に実射をさせてしまうと、後からどれだけ筋トレしても、そこで鍛えた筋肉を実射のなかで使うことができません。ドローイングのアプローチに誤りがある場合は、それを構築しなおさないかぎり不可能なのです。中級者の場合は、数ヶ月もの間弓を引かない期間を設けて、マイナスの状態からプラクティスを再構築しなければなりません。自分が上級者だと思い込んでいる人であっても、このデータを見ると愕然とします。どうして自分が思ったようにレベルを上げられないかが、具体的にわかります。その状態でどんなトレーニングをやってもムダなのです。聞き分けのない人には言ってもムダなので、このようにして数値が示してくれます。身体の状態を指し示す数字は残酷なのです。

          他でアーチェリーを取り組んできた多くの人は、正しい骨格のポジションに誘導させるための筋肉の使い方が異なるために、大切なインナーマッスルが使われておらず、クリッカーの音を聞いた瞬間に速筋が総崩れしているのです。クリッカーの音が聞こえるまでのフォームに誤りがある場合は論外です。そこにどんなテクニックの上塗りをしても、何も変わりません。弓の力を骨格で正しく支えておらず、筋肉を総動員した状態を維持してきて、それをクリッカーの音が聞こえた瞬間に、矢が飛び出してしまうまでに様々な角度から身体の力の向きを変えてしまい、矢が飛び出している最中に動いてしまうからです。

          多くの人が、たくさん練習したら上手くなると思い込んでいます。しかしそれが本当なら実射しているだけで上手くなるはずです。しかしそんな人はどこにもいません。しかしスポーツ科学の力を自分のものにすることで、誰もが自分の身体のポテンシャルを発揮させることができるようになるのです。

          かつて、スポーツなんてやったことがないという、男子4名・女子4名が入部してきた母校のアーチェリー部を指導して、8人全員をインターハイ出場選手として育成してインターハイに送り出したことがあります。大勢いる部員の中からメンバーを選んだのではありません。男子4名女子4名しかいない部員をひとり残さず全国レベルに育成できなければ、無理な芸当です。男女ともにその中から1人ずつが全国選抜に出場を果たしています。ただひたすら実射をさせるだけで、そんな事は起こり得ません。それができたのは、一人一人の身体の基礎的な能力を高めた上で、当時のスポーツ科学トレーニングを応用して実践してきたからです。

          その当時行なってきた事が、今になってやっと、最新の取り組みと言われるようになりました(笑) しかし現代ではもっと様々なことを解明できているので、正しい事を学びさえすれば、誰もが上手くなることがとても簡単になりました。アーチェリーをやったことのない完全なる初心者や、スポーツもやったことのないアスリートレベルの低い人、それに身体に問題を抱えている人などが、数年で全国大会に出場できる上級者になるのです。それは指導者の長年の経験や勘のようなものではありません。大きく射つとか、まっすぐ押すとか、そんな抽象的なものではないのです(笑)

          生徒を並べて射ち方を教えるのがスポーツ指導ではありません。そんなアーチェリーごっこのようなものから何かを学べると思ったら大間違いです。指導者は骨格や筋肉に関わる事項に精通してなければなりませんし、理想のお手本を示すことができなければならないのです。それは身体の外側も、身体の中身においても理想のお手本を示すことができなければなりません。言うだけだったらダレでもできるのです。自分にはできないことを人に教えることなど不可能なのです。アスリートとして理想的な肉体と頭脳を備えて、究極の理想を自ら示して誰もがわかりやすく説明することができなければ指導者とは呼べないのです。習字がヘタクソな習字の先生はいないのです。芸術的なセンスがない人が華道の先生はできないのです。あなたを教えてくれたアーチェリーの先生は、どんな人でしょうか?口先だけで理想を語るような指導者であれば、インターネットの方がマシというものです。

          この冬の間のオフシーズンは、とてもとても貴重なオフ期間です。射てば射つほど、自分の時間を失います。それよりも、世界最高クラスのスポーツ医療の専門家と一体となって、アーチェリーの指導を受けてください。あなたの身体所見に基づいて徹底的にリハビリを行ない、あなたの身体の状態に合わせた個別のトレーニングをプログラムします。そしてアスリートとして理想的な身体を手に入れて、スポーツをする喜びを自分のものにしてしまいましょう♪

          激安アーチェリーケースと ふわもこリムカバー

          2015.12.29 Tuesday

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            ■高級リムに付属する 使えないリムカバー

            ちょっと高いリムを買ったら、リムカバーが付属してきます。しかしこの専用品として付属するリムカバー、アーチェリー専用品にも関わらず、リムカバーとしての使いにくさは世界最高レベルです(笑)



            特にこのタイプが最も使いにくいです。リムを入れるは大変で、出すのはもっと大変です。カバーの素材が固すぎるので、出し入れしているうちにリムの塗装を傷めてしまうこともあります。それにこのリムカバーは、裏返して中に溜まったゴミを取り除くこともできませんし、洗濯機で洗うと完全に乾くのに時間がかかります。ですからアーチェリーの組み立てと収納を頻繁に繰り返すようになると、メーカー純正のリムカバーを使うのが、すぐにイヤになります。



            これは私の母が25年以上も昔にキルト生地で作ってくれた、アーチェリー用品それぞれの収納袋です。この中には私の妻が高校時代にアーチェリーをやっていた時に使っていたものや、アーチェリーショップの奥さんが心を込めて作って下さったものもあり、今でも大切に使っています。これらは使ってみればわかりますが、メーカー純正のリムカバーよりも、キルト生地のリムカバーのほうが、はるかに使いやすいです。使ったリムを拭き取りながら収納することができるので、リムをいつまでも美しい状態に保つことができます。リムカバーは洗濯機でジャブジャブ洗うことができます。前の日に洗えば翌日には乾いています。とっても便利です。

            リムカバーなんて的中に関わるパーツではないので、使いづらい純正をムリして使い続けることもありません。必要にして十分な保護ができる収納ができればいいだけです。リムという形の変わった長いものを、出し入れしやすい収納袋があればいいのです。タオルで巻いてケースに収納している人もいます。ケースに入れてゴトゴト、ガタガタしなければいいのです。

            ■リムカバーについての質問

            以前に紹介したなかで、このハンドルとリムを保護している長い袋が何であるかの質問が寄せられました。この下の画像に使われている、ハンドルとリムを収納しているカバーです。今回はハンドルは25サイズ、リムは68サイズです。標準的な男性のサイズの組み合わせ例です。



            これは何を流用したものだと思いますか?私の周囲のアーチェリー選手のなかでリムカバーに流用しているものが多いのは、洋式トイレで使う便座カバーです。リムカバーとして使えれば何でもいいのですが、便器に使うものは、アーチェリーに対するイメージとは僅かに合わない気が、しないでもありませんね。これはダイソーで売ってるロングソックスです。便座カバーがいいのか、靴下がいいのか、何がマシかはわかりませんが、無機質で堅苦しいイメージのアーチェリーの世界なので、ほんのチョッピリ可愛らしいものを選んでみましょう♪



            余談ですが、アーチェリーケースとして使っているガンケースですが、ケースに付属している固定用ベルトにサイトのTバーを差し込むことで、さらにスマートに収納できます。アーチェリーケースにはない、細やかな製品づくりには脱帽です。このガンケースに慣れたら、単なる道具箱でしかないアーチェリー専用のハードケースにお金をかけるのがバカらしくなります。

            ■ふわもこ あったか素材

            このリムカバーとして使っている冬用ロングソックスは、70サイズのリムまでも収納することができます。伸びる素材なので、ハンドルのような複雑な形状にも対応します。出し入れするときに、純正のリムカバーのような面倒クサイこともありません。



            何せダイソーで1組200円(税抜)です。ステップアップ用にポンドの異なる安いリムを何セットも買うような場合には、これらが重宝します。キルト生地を買ってきてミシンで縫っても簡単にリムカバーをつくる事ができますが、初めて作るときは慣れないものだから、どうせミシンと格闘して睡眠不足になってしまうものです。そこに時間と手間をかけるのがもったいないと思うなら、このソックスを使うといいでしょうね。



            あったか素材で、ふわもこです。カラーは黒もあります。ソックスというのをアピールするために目立つカラーを購入しましたが、ハンドルやリムを収納するカバーに存在感を持たせなくても大丈夫です。



            冬用ソックスなので、もちろんこのようにして履くこともできます。真冬のアーチェリーは身体に良くないので、寒い場所での実射は、暖かい服装で行って下さい。ただし、脱いだソックスをそのままリムカバーに使うのはやめて下さい。いちど履いたソックスは洗って使いましょう(笑) リムカバーとして使うときも、一度洗濯機で洗ってください。最初からいきなり使うと、ふわふわの毛クズがポロポロ落ちてきます。

            ■アーチェリーケースとして人気沸騰



            これらのガンケースは私たちの指導組織けいはんなアーチェリーで、急激な人気の高まりを見せつつあります。少し在庫しておくつもりが、すぐに在庫がなくなる人気ぶりです。指導のときに弓を数セット持ち運ぶために、ケース本体が軽くて本当に助かります。

            というよりも、全部で5セット買っても 24,900円なのです。5セット買っても、アーチェリーケースを1つ買えるか買えないかといったところです。これらはすべてB品として売られている、訳あり品の新品です。ケースなんて使っているうちにキズだらけになるものなので、実際の使用に問題がなく、中身を保護するための機能を果たすことができれば十分です。カード入れのプラスチックに折れ目があったり、1回射場に持ち込んだらつきそうな、こすれがあればB品です。日本の検品の精度は高すぎます。本当にどうかと思いますね(笑) B品はイヤという人は、通常に売られているものを買うといいでしょう。それでも 6,500円程度です。アーチェリーケースとしては破格です。



            このようにして5セットのアーチェリーを収納して重ねてみると、何とかこの状態を保つことができます。しかし触れると転がり落ちてしまうので、重ねて置くなら通常は3セットまでにしておいた方がいいでしょうね。駅のホームなどでは、絶対に重ね置きしないでください。重ねて置くのは、自分の弓具を自分の部屋に収納するときだけです。



            今回は、ひとつはロングタイプの115cmを買ってみました。弓具を2セット収納できると聞いてましたが、このように実際に余裕で収納することができます。27インチのハンドルだろうが、70サイズのリムだろうが余裕です。いやはや、見事です。もうアーチェリーケースには戻れません。



            カードケースは名刺サイズなので、自分の名刺を入れておけば他の人が間違えて開けてしまうこともありません。自分の道具には自分の名前を記しておきましょう。

            このアーチェリーケースとして使っているガンケースは、国内での在庫が急激になくなりつつありますね。アローケースとして使っている、ダイソーで売られている大型の書類ケースも、近所のダイソーでは頻繁に売り切れるようになりました。私の周囲では、このようにしてアーチェリー愛好家が増えています。

            ■アーチェリーというスポーツの値段が高いワケではない

            アーチェリーが高いという人がいますが、それは高い弓具や高い用品類を買わされているから高いのです。初心者に普及モデルを勧めずにハイエンドモデルを勧めるようなショップは、あなたの顔をお金にしか見ていないのです。そんなショップとは距離を置くべきなのです。

            このケースを実勢販売価格で売るために仕入れるアーチェリーショップが出てきたら、それはそれは良心的なショップだと思います。しかし多くのショップでは、ありとあらゆるイイワケをしてアーチェリー専用品で固めようとするでしょうね。

            アーチェリーが一般スポーツとして普及しない最大の理由は、アーチェリーの道具にお金がかかるということでした。しかしそれはもう遠い過去の話です。今では最初からソコソコ良い弓具を買い揃えても、総額4万5000円くらいしかかからないのです。それを使ってブルーバッジ(70mラウンド600点)くらい余裕で達成できる性能があるのです。

            1本10万円の高級包丁であっても、研いだあとは手ぬぐいを巻きつけるだけですよ。アーチェリー用品を収納できればいいだけの道具箱に、何万円もかける世界が正常だとは思わないほうがイイのです♪

            レベルの低い選手ほど高額なフラッグシップモデルを使いたがりますが、自分自身が大幅にステップアップしない以上は、絶対に使いこなせないので、豚に真珠も同じです。総額4万5000円の弓具で当たらないのであれば、それ以上の高性能の世界は永遠に知り得ることができないので、完全にお金のムダづかいなのです。言いかえれば、アーチェリーほど物欲の沸かない機材スポーツはないのです。そこに気づかないから上手くなれないのです。あなたは、お金と得点の両方を失っていることに気づいていないのです。

            みんな順序が違うのです。弓具につぎ込むお金と同じ金額を、まずは自分の身体に投資してみるといいのです。弓具を買うのは最後です。それをしていないから上手くならないのです。その場に立ったまま両目をつむって1分間瞑想して、両足で自然に立っているハズの自分の体のバランスコントロール能力がどれだけのものなのか、確かめてみるといいのです。基本性能が低いその身体に、どれだけ高性能な弓矢が必要だというのか?チビッコだってそのくらい理解してますよ。大人だったらそんなコト、考えなくてもわかるでしょうに(笑)

            頭は使うためにあります。しっかりと頭をつかって、賢くスポーツを楽しみましょう。絶対に使いこなせない初心者に、6ケタもの金額を使わせようとする、良心的でないショップの言いなりになっていては、上達も普及もしないのですよ。何を買って使うのも勝手だと言うのは、製品の設計通りの得点を出してからにしないと恥かしいのですよ♪