新聞に掲載されました

2014.09.15 Monday

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    先日の上田杯全京都アーチェリー選手権大会で、朝日新聞の地域情報誌 週間あさすぽ南京都さんの取材を受けました。その模様が8月31日に発行された新聞に掲載されてましたので紹介します。



    記事では、「年齢やハンディキャップの有無などにかかわらず、誰でも同じ条件でプレーできる生涯スポーツとしても注目が高まっている。」と紹介されています。

    アーチェリーは力(ちから)まかせのスポーツではなく、正しい身体の使い方をおぼえて、それを的に向かって正確に行うだけ、という単純なスポーツです。実際の試合ではこの画像のように、性別に関係なく一斉に同じ距離の的めがけて矢を放ちます。身長や体重などの体格・体力差や、性別や年齢での差を気にすることなく楽しむことができます。見た目にも上品でスマートな印象を持たれることが多いので、特に女性に人気のスポーツです。

    優勝した試合ではありませんが、なんと私が画像の中心にフォーカスされています。南京都版の地方紙なので、京都府南部の選手を中心に紹介していただいてるそうです。私がこの画像で狙いを定めている青い弓が、以前に紹介した7800円の初心者用ハンドルです(笑) 詳しくは、過去の記事をご覧ください♪

    タブが すべてを物語る

    2014.09.08 Monday

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      ご存知のとおり、アーチェリーは機材スポーツです。機材の高性能化がトップ選手の高得点化に貢献しているのは、まちがいありません。しかし、それぞれのパーツがどれだけ素晴らしい性能を有していても、それらを正しく使いこなす事ができないのであれば、機材の高性能化の恩恵をこうむるどころか、高性能な道具を使うことが自分のレベルアップの妨げにしかなりません。

      アーチェリーは、最初に誰から、どんな事を教わったかで、その人の将来のレベルを決定的に運命づけてしまいます。本当に正しい事を学んで、それをその通りに実践するだけで、誰もが天才的に当たるようになるのが、アーチェリーの素晴らしいところです。しかし残念な事に、多くの教習施設では指導者が本当に大切な事を教えずに、ただひたすら生徒に実射をさせているだけという悲しい現実です。そのため市民アーチェリークラブのようなボランティア団体での指導では、単に資格を有しているに過ぎないスポーツ指導員が在籍しているだけで、本当に上達するために必要な事を教えてもらえません。

      あなたがどこかのクラブ、またはアーチェリー教室で指導を受けてきた経験があるのなら、あなたが今使ってるタブを見るだけで、習ってきたことのすべて。そこで身体の正しい使い方を学んだかどうか、どんなレベルの指導者からどんなレクチャーを受けてきたか。現代の弓具を使って、将来どの程度の得点を出すことができるか、それらのすべてがわかります。

      それではタブを見てみましょう♪



      これがタブです。タブはストリング(弦)を取りかけるための皮革製品です。皮革の素材は合成皮革も含めて様々なものがあります。タブに使われる素材について、いかにもすごそうなウンチクを語る人も多いですが、実際の的中に関しては素材が影響するものではありません。これはコードバンですが、素材に関する話題はまた別の機会に紹介します。今回は、正しい取り掛けができているかどうか、正しい身体の使い方でドローイングができているかどうか、それらがタブを見ただけでわかる、という事をお伝えします。



      これは私が使っているタブです。革を交換して半年程度使っているものです。私だけではなく、最初に私たちから習った人や、正しい初心者指導ができる本物の指導者から正しい取り掛けと正しいドローイング方法を学んだ人は、小学生から高齢の方まで、タブは私のものと同じような形状に変化していきます。まずは、あなたが使っているタブと革の形状の変化を見比べてみてください。



      これはタブを上から見た画像です。99%の人が、ストリングをつかんで引っぱってアンカーに引き込むドローイングをしてしまい、タブの革が握りこまれて丸まってしまってます。それは身体の使い方の根本的な誤りです。最初に正しい事を習えばそんな事にはなりませんが、弓は決して腕で引いてはいけません。正しくは身体の背部を使って、あたかも弦を引いてるかのように見える動作で、骨格で弓の力を支えながら伸び合っていく動作です。指の第一関節をストリングにやさしく当てた状態で、ヒジより後ろ側と背部の筋肉を使ってドローイングの動作に入ります。「取り掛け」とはストリングをつかむことではなく、ストリングにやさしく指を添える動作です。取り掛けが正しくできているとストリングを握らないため、タブの革はストリングに触れている部分以外に力が加わらないので変形することなく、このような形状になります。



      これは下から見た画像です。正しい取り掛けを習った人は、タブの革がこのような状態になっていきます。「取り掛け」ができずにストリングをつかんでしまうと、確実に上腕で弓を引っぱってしまいます。そうなると背部の筋力を正しく働かすことができないために、弓の力を骨格で支えるために必要な、正しい身体の使い方ができるようにはなりません。そうなると、どれだけ見た目のフォームを修正していっても、根本的に誤った身体の使い方しかできてない、いわるゆ「ハリボテ」状態になってしまいます。見た目には美しいフォームで射てているように見えても、万年中級者ばかりという状態にあるのは、これが最大の理由です。タブを握りこんで革が全体的に丸くなってしまったり、金属プレート付近の革の部分から折れ目がついてしまっているのであれば、最初に教えた人が、指導者としてどの程度のレベルにあったかも、わかります。そのため高校や大学のクラブ、市民クラブのようなところで習ってきた人のほぼ全員が、どれだけ練習を重ねても上達しないという、悲惨な現実があります。



      これはストリングへの取り掛け部分です。リリースポイントとも言い換えることができます。取り掛けとは、ストリングに第一関節を、やさしく当てることです。リリースとは、その指先を、そっと緩めてやることです。正しい取り掛けができている人は、骨格と身体の背部を中心とした体幹で弓の力を支えているために、発射は指先の力をそっと緩めるだけで済みます。この画像をご覧の通りですが、ストリングが当たっている取り掛け部分から、発射されるまでの間にタブの革にストリングがこすれている部分の面積が極端に少ないのが見てとれます。車のレースに例えるなら、スタート時にホイールスピンが長いか短いかという差に似ています。

      タブ革の変形に関しては、ストリングへの取り掛け部分が鋭角になるのみで、それ以外の変形や、こすれ、傷みは一切出てきません。これは上手い人のタブ、というものではなく、正しい取りかけと、正しい身体の使い方を学んだことによるものです。これは苦しい練習をひたすら重ねたことで、いつかできるようになるようなものでもありません。やってみようと思ったらできるような、そんな小手先のテクニックでもありません。最初に取り掛けとドローイングに関わる正しい身体の使い方を学んでいるか、そうでないかの決定的な違いです。

      しかし腕力で弓を引いている人は、ストリングをガッツリ握りこんで、それをガバッと離します。しかも腕力で引いているために、リリースが腕力の弛緩による発射の動作になってしまいます。そもそも骨格や体幹で支えてないので、腕力の弛緩で発射の際に身体の動きが大きくなり、まいかい正確な射ができません。ストリングをガッシリ握りこんでいるために、指先からストリングが離れるまでに、かなりの時間がかかってしまいます。その間にも身体は動き続けています。ちょっと大きな試合になるだけで、多くの人が緊張状態に置かれます。そうなったら、腕力で引いている人はムダな力を抜くどころか、かえってムダにちからをこめてしまいます。だから試合になると当たらないのです(笑) 試合で当たらないのは、やれ集中力だの、精神力だの、メンタルだの言われることが多いですが、負ける原因の大部分は、その人が最初に誰から何を習ってきたか、という部分が占めるは、ここだけのナイショです♪



      これは、私の指先です。そう、まいかいリリースしている、引き手の指です。キレイなもんです。ご覧のとおりですが、一般的なアーチェリー選手特有の「タコ」がありません。私は表示44ポンドのリムを、実質42.7ポンドで使っています。今では指導が中心なので昔のように多くの射をこなしませんが、オリンピックを目指していた頃の20数年前は、平日は350射程度を毎日こなし、土日や休日は500〜600射していました。週に2500射以上です。しかし指先にタコができたり、部分的に固くなったり、腱鞘炎になったりすることはありませんでした。ケアも大切ですが、最も大事なことは、身体を傷めない方法で、長く楽しむことです。

      ナイショ、ナイショと書いてますが、べつにナイショの話は何もありません。アーチェリー上達のために、特別なものは何ひとつありません。特殊な才能も、特別な能力もいりません。体格差も体力差も、成績にほとんど影響しないスポーツです。かつては「奥義」と言われたようなテクニックも、もはや解析されつくして、正しく教われば誰もがカンタンにできる時代です。私のように教える側からしても、「コレを教えるのは難しい」というようなものは、何ひとつありません。最初に正しい事を学びさえすれば、それをその通りに行うだけでいいのです。ただし、本当に正しいことを教えてくれる指導者が、何人もいない事が問題だったりしますが(苦笑)

      さて、ここからは余談です。



      タブの革は、コードバンという農耕馬の尻の革が使われていることが多いです。なぜコードバンが使われるかというと、専門書を一冊書けるほどになるので大幅に割愛しますが、本来はコードバンは、ごく一部の上級者のために使われるものです。コードバンが使われる最大の理由は、革の耐久性や、水を漏らさないような革の密度の高さではありません。タブが製品としてコードバンが使われている事が多いので、多くの人が何も疑問を持たずに使い続けていると思いますが、選手の99.9%にとっては、オーバークオリティーであり、コードバンを使うことで得点やグルーピングに影響するものではありません。

      コードバンという繊細な皮革を使うのは、わずか1回のリリースで、コードバンの革ごしにどのようなリリースがされていたか、表皮の上をサービングの糸がどのように転がりながらリリースしていったかを、実際に目視で確認することができるからなのです。しかし多くの人は新しい革に交換した際に、1射ずつ皮革の表面を確認しながら取り掛けとリリースの調整をしたり、取り掛けのバランスを調整することはありません。ストリングをホールドしたときの「しっかり感が」とか、「リリースの感触が」などと、わかってない人ほど、いかにも上級者っぽいことを言うのですが、人間の感覚ほどアテにならないものはありません。その選手が70mで330点ほど射てる人なら別ですが、的中は感覚のような曖昧なものではなく、的中とは確実なデータです。ですから多くの選手はコードバンを使うことでのメリットを完全に無視した使い方しかできてないために、自分が上達するために必要な道具になり得ないのです。

      そもそも正しい取り掛けができてないのですから、タブ革の素材にこだわることがまったく無意味な行為になります。取り掛けができてないのですから、身体の使い方が根本的に誤っているのです。アーチェリーで必要な機材の上位機種は、多くの人には単なるムダな出費にしかなっていないのです。正しい事ができている人は非力な女性や小中学生でも、低いグレードの安い道具を使って、涼しい顔して驚くべき高得点を叩き出すのです。正しい事ができない人は、どれだけ見た目だけマネしても、どれだけ道具にお金をかけても、非力な小学生にすら勝てないのです。



      このピンクのタブ革は、小学生のタブを作ったときの牛革の残った部分で作ったものです。手芸店で購入した牛革のはぎれです。これ1枚分で60円くらいです。ものすごく安いです(笑)



      これにワセリンを染ませて切っただけのものですが、じゃぁ、そんなチープなもので当たらないのかといえば、そんなことはありません。70mの練習で330点を出しました。試合でも70mで315点を出しています。京都府アーチェリー連盟主催の春季京都杯(70mオリンピックラウンド)では、これを使って昨年に引き続き2連覇を達成しています。多くの人がネットや書籍でウンチクを仕入れてますが、そのムダなウンチクが、この60円分の牛革に勝る、どんな素晴らしい結果を出せるというのでしょうか。あのメーカーのタブがいいとか、どこそこの革の質がいいとか、はっきり言って、どうでもいい事です(笑) 製品の性能差は、多くの場合はネダンほどの差はなく、得点や結果に結びつくものがない事を、知っておいた方がいいでしょう。

      アーチェリーは、道具の素材やグレードで当たるものではありません。まして腕力でもないのです。最初に本当に大切な事を教わってさえいれば、何を使っても当たるようになるのです。

      タブはその人を、本当に多く物語ってくれます。矢取りのときにサイトにタブを引っ掛けている人や、クイーバーに引っ掛けている人が多いので、じっくり見てみると面白いですよ。まさに丸ハダカも同然に、タブがその人の情報を教えてくれるのです。タブの状態が悪い人があまりにも多すぎますが、そういった人を見かけたら、どうしてタブがそんな形状に変化しているのか、どうしてタブの革がここで紹介したような形状にならないのかを聞いてあげてください。きっと苦しいイイワケが聞けると思いますよ(笑)

      自分に最初にアーチェリーを教えてくれた人に会うことがあれば、このタブの話をしてあげて、自分が使っているタブの状態がどのような形状に変化しているか見せてあげてください。どうせ残念なハナシにしかならないと思いますが、その指導者がこの話を軽視するようであれば、その人にこれ以上の期待をするのをやめて、確かな指導実績のある指導者に相談するのをオススメします♪

      性能を「使いきる」ということ

      2014.08.31 Sunday

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        アーチェリーを教えることを専門にやっていると、とんでもない勘違いをしている人が多すぎてビックリします。アーチェリーは、ネダンが高い道具を使えば当たるというスポーツではありません。

        今回は、アーチェリーの上達のために大切な事を2つ、お伝えします。ひとつは矢について。もうひとつは実射する距離についてです。

        ■矢について

        「そろそろカーボンの矢を買おうと思ってるんです」「やっぱり矢はカーボンの方がいいですか?」そんな相談がとても多いです。ほぼ全員が、先輩やショップから、そろそろカーボンの矢に買いかえた方がいいと言われた事があるハズです。

        最初に結論から言うと、50m・30mの72射で600点前後程度の人ならば、アルミ矢の方が高得点を出す事ができます。アルミの矢よりもカーボンの矢の方が高性能で高得点を出せると錯覚させるようなセールストークに踊らされてしまうと、高い買い物をするばかりか、とても扱いきれず、自分が出せる得点の限界を下げてしまいます。

        試合に参加する時や、練習会場で多くの選手の使用機材をチェックしていますが、70mで300点も出せない(トータル600点に満たない)選手どころか、500点前半の選手の多くが、ACEやX10などの、「超」高級な矢を使っています。矢の飛翔スピードがそれほど高くない選手であっても、超高性能な矢を使っています。性能が発揮できないのは間違いないのに、どうしてそのような無理なステップアップをさせるのでしょうか。単に高いものを買わされてる状態になっているのです。

        矢を高額な製品にステップアップする理由は、いったい何でしょう。それまで使っていたグレードの矢で、出せる得点に限界を感じるレベルに到達したからでしょうか。シャフトの曲がり精度に5倍の差があることが理由で、30mで360点のパーフェクトを逃したとでも言うのでしょうか。残念ながら、そんな人は存在しません。

        しかしながら多くの人が、アルミよりもカーボンの方が当たると思い込んでいます。「アルミを使うと当たらない」くらいに思っている人も多いです。しかしそれは、大いなる勘違いです。90パーセント以上の選手は、道具をグレードアップしても出せる点数に変化はありません。

        私はアウトドアのシーズンは70mの試合にしか出場しないので、そんな時はカーボンの矢を使います。しかしインドア(18m)の試合では、アルミの矢を使います。しかしそれはインドア対策の短距離練習だけではなく、ふだん通りに30mから70mまで使う事が多いです。わかりやすく説明すると、シーズンの半分はカーボンを使い、半分はアルミを使っているのです。



        そのため秋口からはインドア用のアルミ矢を使いはじめます。インドア用の矢なので、羽根は鳥の羽根(4インチ)を貼って使っています。



        このアルミ矢は、イーストン社のXX75プラチウムです。そう、初心者が弓を買うときに最初に購入することが多い、練習用とされている競技用の中では最低グレードの廉価品です。これを最初に買って、上手くなってきたらカーボンに買い替えろと言われているハズです。私がここでこの矢の話題に触れるということが何を意味しているかおわかりだと思いますが、この矢、安いクセに、実はかなりの高性能なんです。

        70mでは、300点以上当たります。ハーフ(50m30mラウンド)で点数を取ると、いつも大体650点程度(50m310点・30m340点)は出ます。この矢は、鳥羽根を貼ったインドア仕様のままで、660点を超える点数を当てています。670点までは、アルミもカーボンも、出せる得点に変わりありません。本当に性能の違いを感じることができる頃には、ハーフで680点を出せるレベルになっているハズです。どんなに高価な製品であっても、自分のレベルが上げない限りは、性能を引き出すことはできません。ネダンの差は5倍にもなりますので、機材のステップアップは自分のレベルを5倍くらい上げてから考えても、決して遅くはありません。

        余談ですが、私がシングル(90m・70m・50m・30m)でのゴールドバッジを取得したのは、高校生だった平成3年です。当時使っていたのはXX75のアルミ矢(ノックはテーパータイプの接着タイプ 当時はユニブッシングが存在しなかった)で、申請点数は1218点でした。強風でもなければ1250点程度は出てました。ACEを使うようになってから1280点程度が出るようになりましたが、これは90mでの得点の伸びが大きいです。90m以外での点数の伸びは、ほとんど感じられませんでした。今年からは京都府アーチェリー連盟では、90mを含むシングルラウンド競技が廃止されました。カーボンの矢というのは長距離を飛翔中の矢が、横風などの外乱からの影響を受けにくいことで90mで失点しにくくなったのですが、もう90mの競技はありません。今では最長距離が70mになったので、矢の性能差が出にくくなりました。そう、ネダンが高くて高性能な矢のアドバンテージがなくなってしまったのです。何とも皮肉なものです(笑)



        この日は30mでデモンストレーションをしましたが、みんなが見ている前でほとんどの矢を10点に当てています。30mは、あと少しで350点というところまで当てました。ひとつの的に3射ずつでしたが、矢はほぼ同じ場所に的中するので、おかげでノックも羽根もボロボロになってしまいました。

        的中に必要なものは自分の射の精度であって、素材が的中を左右するものではありません。5倍のネダンの矢を使っても矢が黄色を避けて刺さるのであれば、道具のグレードをいったん下げて、基礎から積み上げなおす事が的中への近道になるのです。

        ■実射の距離について

        ショップに行っても言われますし、クラブの先輩からも言われます。みんなで、よってたかって、とにかく70mを射たせようとします。「試合は72射だから、それだけ射てるだけの体力を」などと言われることもあります。しかしここにこそ、上達の妨げとなる決定的な落とし穴があります。

        アーチェリーは正しい身体の使い方さえマスターしてしまえば、どんな距離を射っても当たります。しかし、そのためには大切な事を、ひとつずつ積み上げなければなりません。実射というのは自分ができるようになった事の最終確認でしかありません。自分にまだ積み上げなければならない課題があるうちは、「距離を射つ」行為や、「的を狙う」行為は、多くの場合は技術修得の妨げにしかなりません。ですから上達過程にある初・中級者が、70mや50m先の的を狙う事に、大きな問題があるのです。

        たとえ上級者であっても、「狙って」、「当てよう」とすると、自分の身体の各部のチェックの多くがスポイルされてしまいます。そのため、自分がまだ何をどんなタイミングで確認しなければならない、または確認しなければならない事項を忘れてしまっているようなレベルにある中級以下の人は、的に的紙を貼って、それを射ってはいけません。そもそも試合になったら点数が出ないような中級者は、自分の重心の位置が変わっていても気づいてないので、身体の修正ができずに当たらなくなっているのです。

        発射する矢は放物線を描いて飛んでいきます。そのため距離が遠くなればなるほど、弓を持っている腕を上方に掲げる格好になります。そのため弓を持つ側の肩が浮いている人(選手の8割)は、長距離の練習をすればするほど当たらないというドツボにはまります。自分の重心位置を正しく把握できてない人(選手の9割)は、長距離の練習をすればするほど後傾になり、腰を的側に突き出すような無様な格好になります。残念ながら、当の本人は気づいてません。気づいてたとしても、もう自分で修正することができません。そうなってしまう理由はひとつです。レベルアップできてない人間に長距離を射たせ、フォームを崩させてしまった状態を「反復練習」させてしまうからです。崩れてしまったフォームを徹底的に身体に覚えさせてしまう事になりますので、修復ができなくなってしまいます。

        アーチェリーの醍醐味は、的の中心に自分の放った矢が吸い込まれるように当たることです。しかし、本当に当たるようになるには、本当に正しい事を学んで、正しい努力の方法を実践しなければなりません。あなたに教えてくれる先輩や、親切に教えてくれる人たちは、本当に確かな指導者でしょうか。そこをしっかりと見極めることが、スポーツをツライものにするか、楽しいものにするかを決定的にしてしまいますので注意が必要です。30mで300点に満たない人は、そこから距離を伸ばして練習するのはやめましょう。70mばかりを射つのは、30mで330点を切らないレベルになってからにしてください。

        ■さいごに

        アーチェリーは、身体の使い方のスポーツです。多くの勘違いがあるようですが、ひたすら実射を繰り返したところで、大して当たるようにはなりません。誰がそんな大ウソを言い出したのか知りませんが、「どんな射ち方であっても、毎回おなじ射ち方ができれば、毎回必ず同じ場所に当たる」というのは誤りです。少なくとも、身体に無理な負担がかかる状況に陥っていて、それを維持するためにおかしな向きの力が加わっている状態で、どうにかこうにか実射できているような状態が、毎回確実に再現できるわけがないからです。

        実射ばかりを繰り返しても、うまくなりません。実射よりも大切なのは心肺機能、筋持久力になります。身体各部の柔軟性の高さも必要です。それらを高めた上で正しいフォームを獲得していくことが大切です。そして実射以外の方法で基礎を積み上げていき、実射をはじめてからは無理のないステップアップを果たし、時間をかけて徐々に距離を伸ばしていきます。時には段階ごとに戻って確認と修正を繰り返します。パワーを上げるような筋力アップを目指す、きついトレーニングは必要ありません。機材のステップアップは、本当に最後の最後です。

        多くの教習施設やクラブ、またはショップでの教習では、これらの順番が完全に狂っているのです。ですから、ほとんどの人がアーチェリーがうまくなりません。アーチェリーなんて、アスリートレベルの低いスポーツです。正しい方法を学べば、誰だってカンタンに上級者になれるのです。

        機材のステップアップに関しては、ショップや選手にではなく指導実績のある指導者に尋ねてください。基本的にはショップは、販売するために都合のいい事しか言いません。機材サポートを受けているトップレベルの選手に関しては、当たり前ですが、サポートを受けているメーカーの製品を勧めたがるので、機材の選択について信用してはいけません。選手は基本的に指導のメソッドを学んでませんので、テキトーな事や、上っつらの事しか言えません。初心者には初心者用の、中級者には中級者用の、上級者には上級者用の道具を揃えるようにしてください。

        というか、今では初心者用や、練習用の位置付けの製品で、上級者と対等に勝負できる性能がありますよ。大切なことは、自分が扱いきれる性能であるかという事です。扱いきれる性能であれば、それは自分の身体の一部として性能を発揮させることができるのです。扱いやすく、正しく当てることができる安い道具と、飼い主の手をかむような、どれだけ練習しても黄色に当たらない、何倍も高い道具。自分にとってどちらが幸せかなんて、私が言うまでもない事だと思うのですが・・・(苦笑)
         

        本当に競技に不向きなのかを検証しました

        2014.07.29 Tuesday

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          今回は大切な事をお伝えいたします。質問が多く、アーチェリー用品について誤解している人が最も多い内容です。ショップもクラブの先輩たちも正しい事を教えてくれない、「当たる」アーチェリーに必要な道具の価格と、競技での的中に必要な精度を持つ道具についてです。

          結論から言いますと、上達過程にある中級者以下の人は、最初から高額な弓具を買ってはいけません。総額5万円程度で、全日本アーチェリー連盟公認の競技会で入賞したり、全国大会に出場できるレベルの的中性能がある弓具を揃えることができます。初心者や中級者の頃は、自分がコントロールできる幅がひろく、優しい性格の機材をつかって大切な感覚を養うことが大切なので、総額3万円程度の弓具からスタートする事が上達の近道になります。

          高額な機材の性能は特別に優れたものがあるのですが、それらは特別な能力を有する選手のために開発された特別な性能であることを知っておいてください。初心者や中級者の頃に大切な感覚を養っていないにも関わらず、最初から高額な機材を購入してしまうと、その性能を永遠に発揮できないことは、機材を扱うスポーツでの共通事項なのです。なぜ初心者用や中級者用の機材がラインナップされているかを、真剣に考えていただきたいと思います。

          ■選手のレベルについて

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          初心者とは、アーチェリーを始めて1〜2年程度で、基礎を学んでいる段階の人です。高性能な道具よりも、扱いやすく上達のステップを駆け上がりやすい、扱いに対する反応がマイルドで、レスポンスが高くない道具が必要になります。レクリエーションや、レジャー、健康維持のためのスポーツ愛好者も含まれます。

          中級者
          中級者とは、競技に参加する選手で、70mラウンドで600点未満の人です。道具にはある程度の性能は必要ですが、フラッグシップモデルのようなスパルタンな性能は、かえってコントロール性が悪くなり得点が伸び悩むことが多いです。今の自分に足りないものをしっかり学んで、自分のレベルをさらにステップアップしていくために、個々に応じた補器類を無理ない範囲で装着して、ひとつずつ着実にテクニックを磨いていく必要があります。

          上級者
          上級者とは、650点のレッドバッジを見据えてトレーニングに励むような人です。誰もが参考にしたがるような射型で、次から次へとゴールドに的中させることができる人で、在籍している各都道府県の連盟や協会から、一目置かれる存在になっていると思います。

          ぅ肇奪廛◆璽船磧
          トップアーチャーは、上級者の中の更なる上級者です。650点のレッドバッジを持ち、ナショナルチーム入りを目指すような、国際大会へ出場できるレベルにある人です。このレベルになると、複数のメーカーや代理店などからサポートを受けるようになります。

          上級者は上級者にふさわしい道具を選んで使っている事が多いのですが、問題なのは初心者と中級者です。困ったことに、日本のアーチェリーショップの多くでは、初心者に初心者が扱いやすく、上達に導きやすい道具を勧めてくれません。「初心者用や、中級者用の道具は、競技用の機材としてふさわしくない」とか、「どうせだったら、最初からいいものを」・・・などというように、いきなり高価で高性能な道具を勧めたがる傾向が強いです。

          ショップに行けば目にする光景ですが、いかにも低価格のグレードでは当たらないと言いたげに、高額な機材のスペックを並べ立てます。初心者にとって買いやすく、本当に扱いやすい製品を勧めてくれません。というか、低価格帯の製品の本当の性能について、誰も本当のことを知りません。そんなに競技向きではないと言うのなら、初心者用・中級者用の弓具が、どれだけ競技用としてふさわしくないかを、私が実際に使って検証したいと思います。

          ■1万円台前半のハンドル

          まずは中級者用、SF AXIOM+ ライトハンドル(赤)です。ハンドル単体での実勢販売価格は、¥13,500〜¥15,000程度です。一般的に競技用として売られているハンドルの半分以下の金額です。ある通販サイトでは、「WIN&WIN/SFの低価格軽量アルミハンドル。上位競技用モデルと共通した設計を用いており、長く使用できるとともに、将来的に競技用モデルへの移行もスムーズにできます。」と紹介されています。いかにも競技用ではないというようなニュアンスを含んだ表現をしていますが、SF本社のホームページには、そのような表現は見当たりません。不思議です。40ポンドを超えないようにという注意書きはありますが、40ポンドを超えるような強い弓を引く選手は、そうそういませんので何の心配もする必要はありません。



          この赤いハンドル(¥13,500で購入)に、初心者用のグラスファイバー製のリム68-30ポンド(PSE Summit ¥7,900で購入)を装着。¥2,650のサイト(照準器)に、¥4,800で購入した柔らかめの初心者用センターロッド(スタビライザー)を装着。レストとプランジャーはハンドルに付属しているものを使います。ストリング(弦)は私が教えている生徒に渡しているものと同じ、初心者用のダクロン弦(原糸の状態で1巻き1300円、弦を製作して1本あたり200円程度)。これで弓は完成です。弓本体にかかる費用は3万円にもなりません。ボウスタンド(弓置き)は、¥1,700です。

          さぁ、この3万円にも満たない弓が、本当に競技に出れる性能を持ち合わせてないか実射です。今回は私の矢を使って簡単に調整とチェックを済ませた後に、50mの公開実射です。



          50mは、6射して51点です。みんなビックリしています。私の弓ではないので本格的に細かな調整はしてませんが、これを当たってないと言える人なんていないはずです(笑)30ポンド台の弓であれば、8万円のリムも、7000円のリムも、的中性能に差はありません。このとき私が使っていた矢は、VAPのV6グレードという、初心者用・備品用の安いカーボン矢です。どちらも競技に向かないどころか、確実に好成績を収めることができる性能があります。これらの弓具のどこに、的中に関わる問題があるというのでしょうか。扱いやすく、実に気持ちよく当たります。最初に購入する機材として、これを勧めたがらない人に問題があると思います。

          ■1万円にも満たないハンドル

          さて、お次は、驚きの低価格、7800円(笑)の初心者用・備品用ハンドル(PSE Summit)です。これを扱っている代理店のホームページには、初心者用・備品用とは書かれてはいるものの、競技には不向きというようなニュアンスは見受けられません。ハンドルを製造しているメーカーのホームページには、この製品には40ポンドまでのリムを装着したセットモデルの設定がありました。40ポンドを超えた弓を初心者や中級者に扱わせることはまずありませんので、扱いが不慣れな間の、さいしょの1本として、まさにピッタリの製品だと思います。



          これは7月4日に、最初のテストをしてきました。場所は奈良市青少年野外活動センターで、そこでの最長距離の30mを実射です。リムは私がこれまで競技で使っていた、PSE X-Pression 66-44ポンド(¥39,000)です。リムボルトを弱めて、引きの強さを実質39.7ポンドまで下げて実射です。

          装着しているサイトは、初心者練習用のカーテル スタンダードサイトです。購入金額は850円です。スタビライザーは先ほどと同じ4800円の初心者用。レストは550円のマグネチックレスト、矢とプランジャーは私のものを(どちらも初心者・中級者用)使っています。



          30mは58点ですね。子供たちが見ている前で、矢が壊れそうなくらい当たりますよ。的の中心の黄色が、どんどんズタズタになっていきます。正確な的中がわかりにくくなってきたので、となりのキレイ目な的を射ってみると・・・



          60点満点(60金)ですか? いや、おしい! 59点でした。挙動に神経質な部分がなくて、扱いやすくて実によく当たります。これのどこが初心者用なのか、よくわかりませんが・・・

          ここでは30mよりも遠い距離を試すことができませんので、日を改めて50mと70mをテストすることになりました。



          50mは50点。少し左寄りですが、誤差の範囲です。グルーピングは悪くありません。



          70mは53点! やはり少し左寄りですが、これまた誤差の範囲です。10点が3本もあります。50mとグルーピングの大きさが同じくらいですね。50mがもっと当たったはずなのか、70mが特別良かったのかわかりませんが、これだけ当たってくれると、ショップがこれを勧めない理由に説得力がありません。7800円の初心者用ハンドルに、競技会で上位を狙える性能があるのは、もはや間違いありませんね。



          性能に不満があるどころか、戦闘力は十分です。ショップが最初の1本に勧めない理由は、的中の性能ではない事が明らかです。本当に困ったものです。初心者に初心者用の弓具を勧めない人たちは、このハンドルは練習では当たるけど、試合では当たらないポンコツ機材だとでも言いたいのでしょうか?それならそれで、こっちにも考えがあります・・・

          ■公認競技会(70mラウンド)で実際に使ってみる

          というわけで、この7800円のハンドルを、7月27日に行われた上田杯(全京都アーチェリー選手権大会)で実戦投入してみました。会場は京都府宇治市にある山城総合運動公園(太陽が丘運動公園)です。私がかつて全国高校選抜で準優勝した、思い出ぶかい会場です。

          私が持ち込んだ今回の弓具は当然ながら、参加者の中で最も安い弓具でした。2番目に安い選手と私の間では、使用機材の総額で10万円以上の開きがありましたよ。私がこれを使って、実際の試合でどれだけ低い点数しか出せないのか楽しみです(笑)



          競技は大荒れの天気のなか行われました。豪雨によって何度も競技が中断されました。前日は38度の酷暑に見舞われたというのに、この日は雨に濡れて全員が寒さに震える天気でした。

          豪雨で試合開始が遅れ、フリープラクティスが始まったと思ったら猛烈な雨。多くの選手が的から外したり、射てなくなってシューティングラインを離脱したと思ったら、残り時間40秒でフリープラクティスが中断し、矢取りにも行けずにそのまま30分程度待機という前代未聞の悪天候。

          テントの下にいてもズブ濡れになるほどの激しい雨で、私の傘が壊れてしまいました。おまけに足元はグチャグチャ。ひとまず矢取りをしたあと1時間程度待機したあと、これまた前代未聞のフリープラクティスの仕切りなおし。そして前半の70mを終えたところで午前が終了。午後の後半スタートも激しい雨で遅れに遅れ、小降りになって競技再開したと思ったら晴れて蒸し暑くなるという、寒さと暑さを同時に味わった最低のコンディションに全員が翻弄されました。



          本来予定されてた決勝トーナメントは中止になりました。持って行った道具類は、直接雨に当たってないものも、すべてドロドロです。参加者全員が、私と同じ目に遭いました。とても楽しめるような感じではなく、私も本当に疲れました・・・



          試合の結果は、前半285、後半301の、トータル586点で、6位に入賞することができました。7800円の初心者用ハンドルで、悪天候にも関わらず、70mを(試合で!)300点アップすることができました。装着していたスタビライザーは、初心者用の4600円のセンターロッド1本のみです。全日本アーチェリー連盟公認の競技会なので、これが公式記録になります。

          誰がそんな事を言い始めたのか知りませんが、高額な機材でないと競技には向かないというのが、詭弁であることは明らかです。私が今回の試合で使った矢は、VAPのV6グレード(初心者用・備品用)の、シャフト1ダースで1万円の廉価版です。競技会の参加者の大半は1ダース3万円から4万円のシャフトを使ってます。

          ■精度やスペックと得点の影響

          公認試合で結果を証明している通りですが、多くの選手が的中に必要な精度を勘違いしています。セールストークや比較スペックに踊らされすぎているのは間違いありません。私が試合で使っている矢はVAPのV6グレード(初心者・備品用)ですが、多くの選手が使っている矢に比べると、曲がり精度のスペックは5〜6倍も劣るものを使っています。ショップで「精度が6倍も違う」なんて言われてしまうと、誰もが高い方を買って使うことになるのですが、調子が良いときに使い比べて実際に得点を比べてみても、まったくと言っていいほど得点に差が出ないことがわかります。

          正確には、差はある事にはあるのですが、70mで330点を出せる時に、1〜2点あるかないか程度の差しかありませんでした。スペックの差というよりも、発射する人間が生み出す誤差の方が、はるかに大きく、時には点差が逆転することもありました。320点や310点程度しか出せないときには、得点での差はまったくありませんでした。300点すら出せない選手にとっては、そのスペックの差に何の意味もありませんし、得点に一切の影響はありません。機材の精度を求めるよりも、ミスショットをしないように正確な射を磨く事の方が100倍も大切です。

          それでも疑うのなら、試合会場や練習場に私の矢を見に来て、矢を回してみてください。手のひらでゴトゴト震えてくれますよ。そんな矢でも、私は春の全関西では後半に315点を出しています。接着している羽根は、初心者用のゴム羽根です。「そんなバカな」と言われますが、当たるものは当たるので、仕方がありません。私はこのシャフトを1ダースしか買ってませんので、試合で使う矢を選別するようなことはしていません。

          ■アーチェリーを始める人が直面する問題

          この事を考えても、これまでの日本のアーチェリー界が取り巻く、悪しき風習を取り除かなければならないと痛感します。

          アーチェリーを始めてみたいと思ってる方が、勇気をふりしぼってアーチェリーショップを訪ねるとします。すると必ず、アーチェリーを行うために購入する弓具などの機材一式の価格を説明されます。そこでは、「いいものを買おうと思ったら大体25万円くらいかかります」「最低でも15万円からでないと、ちゃんとした道具はそろいません」というような事を言われます。

          ショップに行かずに市民クラブのようなところを訪ねても、そこでの先輩たちに、ほぼ似たような事を言われます。それどころか、大して上手くもない「自称」上級者たちや、大きな顔をする先輩たちが自分の弓具を見せびらかし、「私は25万円」「俺は30万円」「私の矢は5万円」などと、「良い道具」と言われている機材の自慢大会が始まります。

          アーチェリー選手の育成を専門としている私たちからすると、それが何の事を言ってるのか、非常に理解に苦しみます。残念ながら、運転免許を取ったばかりの初心者が、走らせることもできないF1マシーンのコックピットに座ってニヤニヤしているような滑稽な状態にしか見えません。ショップや先輩たちが語る、最低でも15万円という「最低」ラインというのは、一体どこを指しているのでしょうか?

          私は全国大会での入賞経験もあり、これまで数多くの競技会に参加してきました。過去にはテスターを務めたり、サポートを受けた事もあります。若い頃には試合の50mで、338点を出したこともあります。国体選手やインターハイを目指す選手達を指導してきたので、選手としては17年ものブランクを空けてましたが、今年も公認記録会で70mラウンド(70m×2)を600点アップしていますし、全日本社会人ターゲットにも一般男子(壮年ではない)で出場しました。今年の70mの試合記録は315点です。今でも練習で、調子がよければ330点アップする事もあります。なので、ターゲットアーチェリーにおける機材のグレードによる本当の的中度合いを、正確に判断することができます。

          今でも何人もの選手の弓具を試してますが、予算15万円あれば全国大会で入賞できるレベルのものが手に入ります。25万円あれば、オリンピックでメダルを獲得したり、世界記録が狙えるレベルになります。しかし、最初からそのような高性能な道具を買ってはいけません。決して高いから当たるというものではありません。

          これだけは断言できるのですが、本物の上級者でないと、高額な上級モデルを扱いこなすことはできません。機材の精度や性能が高くても、扱う人間の精度がとても低いからです。そのため多くのアーチェリーメーカーでは、それぞれのレベルに見合った扱いやすい製品をラインナップしています。競技会で70mを余裕で600点出せるようになった人であれば身体能力が少しは高くなってきているので、その身体能力の高さに見合った精度の高い機材が活きるようになりますが、そうでない人であれば、機材の高性能に振り回されて上達の妨げにしかなりません。

          ショップが初心者に、「最初にこれを買っておけば大丈夫」とか、「あんな道具、よくない」というような事を話しているのは、あなたの顔が、お金にしか見えてない証拠です。高い道具を買ってもらうために懸命になってセールスしてくれるのですが、あなたの上達のことを考えた機材の選択をしてくれてません。

          矢のスピード・高い反発力・高い剛性・正確な復元力、これらを高次元でバランスさせた現代の高性能な機材は本当に素晴らしいと思います。しかしそれらは70mを、雨だろうが風だろうが関係なく、涼しい顔して330点近くを出せる人たちに必要な性能であって、300点にも満たない選手にとっては意味のない性能だということを知っておくといいでしょう。

          99パーセントの選手が、自分にとって扱いにくいにくい弓具を振り回して、それを使い続ければいつか高得点が出ると信じて練習しています。しかしどれだけ高性能な弓具を使って必死になって練習しても、思うように当たるようにはなりません。でも、それは仕方がありません。ショップのスタッフは単なる販売員や、ショップのオーナーである事が多く、プロの指導者ではないからです。「良いものを」と求めにいくと、高性能なものを勧められるのは当然ともいえます。多くの人がショップを信じて、かなりのお金をつぎ込んでるでしょうに、本当に残念な話です。

          今回の結果は、全日本アーチェリー連盟の公認競技会で行った事実です。これから初めてアーチェリー用品を買おうと思っている人が、訪れたショップで「最低でも15万以上でないと、いいものがない」と言われたら、この記事をプリントして見せてあげるといいでしょう。もしもイヤな顔をされるようであれば、そのショップに期待するのはやめて、優れた指導実績がある指導者に相談されることをお勧めします。そこでも同じような事を言われるのであれば、私たちに相談してください。

          ■さいごに

          1万円程度のアルミハンドル・1万円程度のグラスリム。これで70mのゴールドに十分当たります。というか、これで当たらないのであれば、フラッグシップモデルを買ったところで当たりませんし、高性能な機材の良さがまったくわからないまま使うことになります。

          将来、何を使っても当たるようになるのか、何を使っても当たらないのか、どちらかしかありません。将来、何を使っても当たるようになるには、まずは身体でできる事を全部やりとげてから、自分のレベルに見合った機材に少しずつステップアップしていくことが重要なのです。

          高性能な最新の弓具を使っても当たらない人は誰からも見向きもされませんが、「そんな弓具で、よくもそんなに当たるなぁ!」と、周囲を沸かせる存在になることが、超一流への最短コースになるのです。

          個別に組んだプログラムを地道にコツコツ実行していけば、誰でもそういったことができるようになります。アーチェリーなんて、本当に簡単なスポーツなんです。スポーツなので、道具ありきではありません。まずは正しい事をしっかり学んで、自分が扱いきれる性能の弓具を使って、是非とも周囲を黙らせる得点を叩き出せる存在を目指してください。そこにはきっと、痛快なアーチェリー人生が待っていますよ。
           

          スポーツ医療チームによる指導会3

          2014.06.30 Monday

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            6月7日の土曜日に、今年度3回目となるスポーツ医療チームによる個別レッスンを開催しました。



            これで3回目ですが、回を重ねるごとに生徒の身体の状態が良くなっていくのがわかります。それにともなってスポーツ医療チームの本気度が増していくのを感じます。本気で取り組む生徒には本気で対応していただけるのが、本当にありがたいです。

            けいはんなアーチェリーでは、各人が抱えてる身体の問題(本人の申告による部分もあるが、客観的に診断して改善が必要な不具合箇所が非常に多い・・・)を改善して、メンバー全員が理想的な身体を取り戻すことから始めています。町のクイックマッサージのような単に気持ちがいいだけのゴマカシではなく、正しい姿勢と美しいフォームを獲得するためにスポーツ理学療法士が徹底的に矯正していきます。

            ふだんリラックスしていると思い込んでいる姿勢が、リラックスしていると脳が勘違いしているだけで、自分の身体をむしばんでいる事が多いものです。私も含めてなのですが、実は99.9%の人は、真っ直ぐ立つように指示しても、真っ直ぐに立つことなんてできません。正しい姿勢で座るよう指示しても胸を張って背中を反らしているだけで、正しい姿勢をキープできません。これまで普通に暮らしてきた人は、それが普通の状態なのです。仕方がありません。これまで学校などで「姿勢を正して!」なんて言われて背筋をピンと伸ばしてきましたが、そこに大きな誤りがあります。本当に正しい姿勢が保てるのは、日本古来の伝統芸能などに深く携わるような、ごく一部の人たちだけです。

            そのためメンバーは、普段の生活や仕事をしている時の姿勢や歩き方、食生活から体重管理まで、あらゆる面において個別に指導を受けます。これは初心者も上級者も指導者も関係なく学びます。最初は身体に違和感を感じる事もありますが、いつのまにか疲れにくい身体が出来上がっていることに気づきます。正しい姿勢を保てるようになると、これまで弱体化していた体幹の筋肉を取り戻すようになるので、アーチェリーが楽しくなってきた頃には理想的な体型に近づいている事が多いです。

            日常生活での注意点やケアの方法、故障をふせぐトレーニングやメンテナンスのしかたも個別に学んでいます。これまで与えられた課題を着実にこなしてきたメンバーの中には、今回からメニューが増えたり、次のステップに進む人も出てきました。これで梅雨を有意義に過ごすことができますね。

            スポーツも仕事も勉強も同じですが、いきなり何かができるようになる魔法はありません。そんなクスリもありません。トップアスリートを見て特別なものを感じてしまう人も多いようですが、実は彼らもみんなと同じ、フツーの人たちです。もしも特別なものがあるとすれば、誰もができるような簡単で基礎的なことを、途中であきらめずに地道にコツコツと、時間をかけて積み重ねてきた情熱です。

            アーチェリーの場合は特にそうですが、初心者も上級者も、やらなければならない事は最初から最後まで同じです。1段飛ばしや2段飛ばしができる人は、これまで他で取り組んできた何かを重ねることができた人か、これまでの人生の中で何かを成功させる体験をすでに経験してきた人だけです。見た目や道具だけトップ選手のマネをして何かを期待するのは、運動をしないのにヤセ薬を飲んでダイエットの期待をするのと同じで、実際には何も効果はありません。ここでは自分にとって本当に必要なことを個別に学習できますので、ひとつひとつを着実に積み重ねていきましょう。ステップアップの順番を間違わなければ、誰だってすぐに上手くなりますからね♪

            そのうち、問い合わせフォームでの質問が多い内容に関することを紹介したいと思います。
            どうそお楽しみに!