根拠のない理論に上達はない

2016.02.10 Wednesday

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    ■それは本当に指導なのか?

    最初に断っておくと、アーチェリーの先生などという立場の人間は、人間の身体の仕組みなど一切理解できてません。本当に理解しているのであれば、ゼロから教えたほとんどの相手が上手くなっているハズなのです。本物の指導者であれば、スポーツ理学療法士の先生を論破できるほど、身体の構造に精通しているハズなのです。指導のプロフェッショナルであれば、本来はそれが当然なのです。

    多くのアーチェリー教習施設では、練習生を並べて射たせて、その外観からでの射をチョコマカ修正しているだけで、見た目だけのハリボテの射に過ぎず、教えた相手を本当に上達させることができる指導の専門家などいません。専門家を自称する指導者もいますが、私たちとの会話の半分も理解できないという、実にお粗末な状態です。

    指導者とは、世界で最も優れていることを常に学び、それを自分が携わる競技にいかにしてフィードバックさせるかを考えて取り組み、それを実践することで競技力の向上や、そのスポーツ文化の醸成を支えるのが使命であるハズです。

    なのに、勉強がキライで運動生理学の知識もイマイチ、全身の骨格と全身の筋肉の構造も仕組みもチンプンカンプン。自分の身体をつかって骨格と筋肉の作用を見せることもできないクセに、態度だけはデカくて、エラソーで、強面で、声だけはデカイ、スポーツ科学に精通してないどころか、根性論と精神論を口に出すクセに、自分のお腹まわりは脂肪だらけ。身体もダメ、アタマもダメ、言ってるコトは中途ハンパ、やってるコトはデタラメ。そんな人ばかりなのです。

    そんな指導者たちを容認している生徒の側にも問題がないわけではありません。レッスンを受けている人であれば、自分の指導者にしっかりと注文をつけるべきなのです。「あなたの指導を受けて取り組んできたが、ロクに上手くなれない」と。どんな世界であっても、注文したものが出てこなければ、普通はそういう話になるハズです。ボランティアで教えているのだから、教えた相手が上手くならなくてもイイと思っている人から指導を受けた場合は悲惨ですね。教えた相手に対して責任が持てないのであれば、「そんな無責任なボランティア指導者なんて、やめてしまえ」と、私は常に言ってますよ。教わる側の立場になって考えてみたら、そのくらいわかるでしょう。言われた事をやっていたら上手くなると信じているのですよ。みんな迷惑しています。

    全身の骨格と筋肉の構造を完全に理解していれば、単に並べて射たせる実射の行為に時間を割くことが、どれほど上達に向けて遠回りしているかが分かっているハズなのです。それをまったく理解していないから、教えた相手がムチャクチャな身体の使いかたをしているし、そんな状態でありながらも実射の量を課し、ダメを量産してしまうのです。

    アーチェリーの上達に関わる手順は、一人一人の身体の状態によって綿密にプログラムしなければなりませんし、その人の身体の状態の変化やリハビリやトレーニングの進捗状況に合わせてメニューを組みなおさなければならない場面に多々遭遇します。

    それに人間の身体の中で作用させてしまっている各骨格に及ぼす力の向きは、見た目では何も知ることができません。なので、多くの指導者たちが行なっている、「技術」と呼んでいる外観上での動作を指摘して修正させるだけでは、見た目が美しい射であるにも関わらず、大して上手くもないという人ばかりが育ちます。しかしそれでは「指導」と呼べる指導ではないのです。

    ■リハビリとトレーニングの指標を作る

    アーチェリーが上手くなるのは、実に簡単です。正確な骨格のポジションに誘導させるための筋肉を正しく作用させるだけなのです。

    上手くならない理由は人によって異なりますが、最大の理由は身体の動きが悪いことです。これは骨格を動かすための筋肉や腱が硬い(柔軟性が乏しい)、関節の可動に関わる腱板やインナーマッスルの弱さ、動かすための筋肉量が少ないなどが挙げられます。小難しいことを書く気はありませんが、使えないバランスの悪い身体の状態でありながら、筋肉に最大のパフォーマンスを求めてしまっているからなのです。

    筋肉が硬いまたは十分な可動範囲で作動させられない場合は、その硬い筋肉が骨格を引っぱり、自分が思っているのとは異なる位置へズレてしまいます。これは筋力が足りないのではなく、筋肉が作用しない状態に骨格が誘導されてしまっているので、発射しようとした瞬間に骨格の動揺が起きてしまっているのです。指導の専門家の指示を仰がずに筋トレを行なっているような場合は、こういった現象に陥っている人が多いです。

    ですからアーチェリーに関するトレーニングは、上達のためにやらなければならないことは、全員が全員違います。メンバー全員を並べて一斉にトレーニングを行なっている現場をよく見かけますが、すべて意味のないことに時間と体力を消耗しています。だって、これまでそれを続けてきて、上手くなってないでしょう?

    世界トップレベルのスポーツ医療チームと一緒になって、最先端のスポーツ科学に則って個別のリハビリとトレーニングを取り組んできた人間の身体の状態と、これまで実射ばかりを繰り返してきた人との違いは、実射しているのを見て外観上での差異を見出したところで、表れている一部のことしか見えませんし、大して何もわかりません。その人に何が不足していて、具体的にどんなことを取り組むことで完璧な身体の使いかたができるようになるかを言い当てることは不可能です。

    なので、骨格のポジションを適正な場所に合わせることができる段階にきたら、身体の内部で行なってしまっている力の向きを修正しなければ、どれだけ練習量を増やしたところで、これまでと同じことを延々と続けるだけにしかなりません。そんな遠回りをしなくてもイイように、スポーツ科学の助けを借りて上達を目指さなければならないのです。



    これは加速度センサーの私のデータです。頭と腰に装着したセンサーで、エイミング中(フルドロー時クリッカーを切る寸前までの1秒間)での上下・左右・前後の3方向への動揺を1000分の1mm単位で計測しています。振幅の幅が常に一定で、エイミング中は頭部と腰部の同様の幅は完全に同調している、トップレベルのデータです。安定した波形が各部のセンサー同士でこのように同調していれば、取り掛けている指先の力をわずかに緩めるだけで、矢は視認しているサイトピンの先に的中します。スポーツ医療チームの指示に従って、指摘された部位の柔軟と、指示されたリハビリとトレーニングを続けていることで、このような安定した完璧な身体の使い方ができるようになります。発射の瞬間のデータは、以前紹介した通りですので省略します。まずはこのグラフのデータを目に焼き付けておいて下さい。



    こちらは、身体が少し硬い人のデータです。見た目は美しいフォームですし、射っているのを見ても多くの指導者は技術面では外観上の指摘ができないほどの方です。しかし身体が硬く、特に腰部と下腿の筋肉の状態が良好ではなく、それが原因で可動域に制限があるために、本来は身体を支えているだけの筋肉の動きが骨格に影響を及ぼしてしまい、骨格の動揺とともに重心の位置が変動しているのがわかります。頭部と腰部の振幅に差があるのも見てとれます。まさに一般的な選手代表のデータです。見た目がキレイでシャープな射に見えるのですが、練習やローカルな競技会では好成績を収めることができても、全国大会などの大舞台や、重要な選考会などの局面で自分を発揮できない選手のほとんどが、このパターンです。シュートオフを外してしまうタイプです。緊張してうまくいかないのではなく、本番で通用しない射を必死になって取り組んできたのです。この身体の内部の動きは、スーパースロー映像では何も見えません。実射の様子を目視で観察していても、モチロン誰もわかりません。筋電計では筋肉の活動による放電しか計測しませんので、動揺の方向性が見えません。しかし加速度センサーであれば、骨格に働きかける力の向きがどの方向から及ぼされているかを、360°すべての方向に対して1000分の1mm単位で知ることができます。同時にスポーツ理学療法士の先生が触診することで、どこの筋肉の動きが硬いのか、どの関節の可動域が制限されているのかが分かるので、そこを改善していくことで次回の計測でその効果を確認することができるのです。



    こちらは逆に、身体が柔らかめの人のデータです。身体は柔らかいのですが、かつては実射主体の練習を取り組んでいたために、首を左側に向けるための筋肉が発達しています。首を横に向けるための筋力に左右差が大きく生じてしまっているため、頭部を左回旋させる力が強く働きすぎてしまい、エイミング中に常に横に動かす力が頭を動かし続けてしまっています。これではエイミングが正確であったとしても、軽量な競技用のカーボン矢を使って長距離を射つようになると、左方向へ、やや扇形にグルーピングの分散を誘発してしまう原因になります。これもスーパースロー映像では気づくことができません。ダレもが必ずこの筋力を発生させてますので、筋電計を使っても何もわかりません。この人は脚部の柔軟性が高く、大腿骨周辺の筋肉の影響を受けて骨盤の傾斜を誘う動きはありませんので、原因は首の右側の胸鎖乳突筋の発達のみであり、すぐに修正することができます。しかしながら、各種ロッド類を装着して、リムのポンドアップをしてしまうと、これらの現象はより顕著になって的面に現れるようになり、その身体の動きを直すことができなくなってしまいます。弓の重量が軽くて、ハンドルに多くのロッドを装着させず、引きの弱いポンドの低いリムを装着している間にこれらを修正しておくことが大切なのです。

    このように、実射している場面を見ているのでは、どんなに目を凝らしても、大して何もわかりません。見た目に大きな修正を加える必要であれば、恐ろしくさかのぼって、基本の基本からやり直さなければならない人ばかりです。

    目に見えるものなど、ほんの氷山の一角にしか過ぎないのです。見えない部分や隠れている部分の方が、圧倒的に多いのです。その見えないものを見えるようにして、一人一人のパフォーマンスを高めていくのが指導者の役割なのです。指導者が一人でやれることなんて、それこそほとんどありません。スポーツ医療・スポーツ科学・レベルの高い他の様々なスポーツの指導者との関わり、こうした密接な繋がりと、その繋がりを作り出す人間力こそが、これからの指導者に求められる資質なのです。

    指導者であれば、日本体育協会が発刊する Sports Japn が届いているでしょうから、しっかりと中身を読んでいると思います。私が常に言っている以上のことを多くの先生方がご指摘されてる通り、指導者に対する在り方が大きく問われているのです。常に新しい理論を学ぶ姿勢のない指導者は、これから先は必要ないのです。

    少しずつ暖かくなってきましたね。近所では梅が咲きほころんでいます。いよいよ春ですね。スポーツの春です!

    けいはんなアーチェリーでは、アーチェリーを学びたいという方のために、世界最高のスポーツ医療チームと一体となったレッスンを行なっています。指導者の偏った古臭い経験則などではなく、世界最高レベルのスポーツ科学の理論に則って、誰もが楽しく上達できるために、最高のスポーツ指導の環境を整えてお待ちしております。ぜひご一緒に、世界最高のアーチェリーレッスンをご体験ください♪

    新製品テスト情報 上達するために必要なロッド類

    2016.02.08 Monday

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      アーチェリーのハンドルに装着している人が多い各種ロッド類ですが、これらがどうして必要なのかを正確に答えられる人はほとんどいません。答えられたとしても、本当に正しく使えている人はほとんどいません。弓をまっすぐ飛び出すためのものという答えや、弓を安定させるためのものという答えしか出てこないのであれば、残念ながら赤点です。

      弓の力を骨格で正確に支えることができず、筋力で弓を引いてエイミングしている人は、どんな剛性の高いロッドを使っても意味のない射でしかありません。ハンドルのグリップに当てる手の形状をどれだけ気にしたところで、8個ある手根骨のなかで、どの骨をグリップのどこに当てるのかを正確に学んでなければ我流も同じであり、自分の骨格を使って正確に弓のエネルギーを矢に与えることができず、正確性のない射になってしまっているからです。だからどれだけ練習してもグルーピングが小さくなりません。それは自分の技術レベルに合ってないロッドを使っているのも原因のひとつです。

      ■ロッド類は 弓の安定装置などではない

      ロッド類がスタビライザーなどと呼ばれているために大いなる誤解があるのですが、センターロッドもサイドロッドもVバーもエクステンションロッドも、「スタビライザー」という名称が意味するような、弓に対する安定装置などではありません。これらロッド類はリリースの直後に、弓から飛び出す矢への影響を最小限に抑えるためのものです。ハンドルや手首に加速度センサーを装着すれば一目瞭然ですが、エイミングの際に弓本体がロッドによって安定するワケではありませんし、ロッドの剛性や柔軟性によってサイトピンが止まったり動いたりするものでもありません。データの数値が示す通り、これらは気のせいです。センターロッドのハンドルに対するセンターを合わせても、ストリングはリムに対して垂直に打撃することはありませんので、センターロッドに対する発射の衝撃は、ロッドにまっすぐ伝わることはありません。ロッドの役割はセンターロッドの長さと、エクステンションロッドを装着することで、ストリングがリムを叩いた瞬間から、矢が弓から離れてしまうまでの間に、ハンドルが左右方向やローリングでの回転方向に取られてしまうのを遅らせるためにあります。もちろん、射手の腕の動きや震えを抑えるものではありません。持ち上げているものを空中で動きを止めるために安定させるような魔法の装置ではないのです。

      センターロッドの全長は長ければ長いほど効果が高いのですが、人間が保持できる重量には限界があります。そのためVバーとハンドルの間にエクステンションロッドをはさむことで、センターロッドの全長を長くしたのと同じ効果を持たせています。しかしこれらのロッド類の装着は身体に大幅な負担を生じさせてしまうために、数年かけてレベルアップと体力アップに合わせて少しずつ装着していき、時には段階的に戻ってロッドを取り外して練習を行い、装着の効果と装着が及ぼす身体への影響を調べながらレッスンを行なうものなのです。

      にも関わらず、その装着の仕方と手順が乱暴な人が多すぎてビックリしてしまいます。身体への深刻なダメージが大きいので、エクステンションロッドは、アーチェリーを始めて1年以内に装着してはいけません。3インチならともかく、4インチ以上の長さのものは、上級者以外は使ってはいけません。アーチェリーを始めて半年程度でエクステンションロッドを装着するのは論外です。肩の内部の腱板やインナーマッスルは、そんなに短期間で身体的パフォーマンスが発揮できるほど養うことはできません。かなり高い確率で、エクステンションロッドの装着が原因で、肩に故障を抱えてしまいます。

      これらのロッド類の正しい仕組みを理解していない大勢の人たちが、各ロッド類をスタビライザーなどと呼んできたものですから、ドローイングのアプローチや骨格のポジションなどが正確でない人や、中途半端な中級者や初心者までもが、まるでカタツムリがツノを生やしたような格好で、本当に意味があるのかないのかもわからずに、様々なロッド類を装着して、まったく効果のない使いかたをしています。

      自分の体力や技術が伴わないのに何でもかんでも装着して、竿(さお)の先にウエイトを付けて振り回し、弓の総重量を上げて身体を痛めつけているのです。おまけに装着しているロッド類は、トップレベルの選手が使うような剛性の高い数万円のものを使っていたりします。ご利益のない、単に高いだけのカーボンの竿だというのに、有り難がって使っても大した点数が出ることはありません。当たらない理由はひとつです。装着することも、それを選択することも、自分のレベルに見合ってないからなのです。

      ■剛性が高いロッドをいかにも語るクセに 柔軟性が高いのに収束が素早い製品の素晴らしさを知らないと損する

      ロッドの剛性についてを語る人が多くて面白いのですが、的中に関わる事をどれだけ知っているというのでしょうか?ロッドは柔らかくても硬くても、矢の的中はほとんど違いはありません。ロッドが柔らかくても硬くても、ハンドルとリムの発射に関して邪魔をするような機構は働かないからです。上級者であれば、センターロッドの全長とエクステンションロッドの有無が的中に関わる影響を及ぼすことはありますが、手のひらの中の手根骨の使いかたが正しくなく、手首から先に力が入ってしまっているほとんどの人は、エクステンションロッドを装着することで上達を妨げ、得点を大きく損しています。

      ロッドの剛性が得点に関わるような人がいるとすれば、よほどのトップレベルの選手で、上級者以外には次元が違いすぎる話です。以前にも紹介しましたが公認競技会で、ハンドルに初心者用のセンターロッド1本のみの装着で、悪天候のなかで70mの後半に300点アップしています。その時に使っていたハンドルは、7,800円の初心者用のアルミハンドルです。トップレベルの選手以外には高額な製品や、剛性の高いロッドは自分のレベルを上げることがなく、使うことに意味がありません。使わない方がイイのです。いや、使ってはいけません。

      剛性の高いロッドやエクステンションロッドを中級者以下が使うと、ぜんぜんダメな射であるにも関わらず、シャキッと射てているような気になります。しかしながら、シャキッと射てているような気がするにも関わらず、ゴールドに当たる矢の方が少なかったりします。骨格のズレが生じていた場合に正しく引き分けることができず、腕に力を込めてしまい、ストリングを引っぱるような状態でクリッカーを鳴らし、骨格ではなく筋力に依存して射ってしまっているほとんどの人の場合には、剛性の高いセンターロッドは何も教えてくれません。弓具が何も教えてくれないので、自分がどんな状態に陥っているのかがわかりません。だから試合になると特に自分の状態の変化に気づかず、引き戻しの回数が大幅に増える選手が多いのです。

      しかし柔らかいロッドであれば、射に関わる自分の身体の様々な変化の状態を教えてくれます。キリがないので細かく書きませんが、本当に上達するまではすべて、おっとりした性格の弓具が必要で、こうした弓具からの語りかけを長きにわたって感じ取り続け、自分の射をどのようにすれば弓具が自分の思い通りに使いこなせるようになるかを、知り尽くしておかなければならないのです。それができるから自分が扱うすべての弓具に自分の血液と神経が通っているかのように、自分の身体の一部となって的確に作用することができるのです。

      そのような自分に合ったレベルの製品であれば、自分が考える間もなく弓具の端々までもが目的に向かって勝手に反応するようになるのです。そうなるためには自分のレベルよりも低い弓具を長く使い続けて、常に弓具と対話ができてなければなりません。ほとんどの人は対話ができる間柄ではなく、かみ合わないギクシャクした関係か、まともに目も合わせられないような関係に過ぎないのです。そういった対話を長く交わしてきてないものですから、結果だけを求めても何もイイことなどありません。当てようとして、集中しようが気合を入れようが、自分を信じようが道具を信じようが的をにらみつけようが、当たらないものは当たらないのです。

      ■ロデオのようなアーチェリーをしている人ばかり

      扱えるかどうかが理解できない人ほど剛性とか性能などと言いますが、扱い切れないジャジャヤ馬を選んだところで、振り落とされて蹴飛ばされるのがオチです。アーチェリーはロデオではありませんが、ケガはしないまでも、大して当たらず高得点が出ないでしょう?ネダンが高いばっかりで、中級者や初心者にとっては相性の良くない弓具を、高い金を払って買わされているのですよ。上級者でもない人が上級者用の弓具を使ったところで、ほとんど上手くならないために使わされるようなことにしかならないのです。中級者には中級者用、初心者には初心者用の扱いやすい、弓具の性能が手にとるようにわかる製品があるのです。本当に上手くなれば、弓具は中級者用でも初心者用でも、何を使っても当たるようになります。しかしその逆はないのです。

      高額で高性能な弓を使って、その製品の性能通りに的中させることができないのは、乗りこなせない荒馬から振り落とされているのと同じです。荒馬を乗りこなせない人は、何度乗っても乗りこなせるようにはなりません。アーチェリーも同じです。扱い切れない高性能な弓具であれば、それを使ってどれだけ実射を繰り返しても、大して当たるようにはなりません。アーチェリーを数年続けているのであれば、見に覚えがないなどとは言えないハズです。

      どうしてレベルごとに製品が分かれているのかを、高額な製品しか売りたがらない多くのショップは完全に理解していません。その証拠にアーチェリーのマーケットでのレベルの分散は上級者が少ないピラミッド構造になっているにも関わらず、多くのショップでは本来最も多い層であるハズの中級者や初心者に適した製品を置いてない、または扱ってない、儲からないから勧めない、からです。上手くなるために必要なものは、上達していくことができるための性能なのです。硬いのが好きとか、柔らかいのが好きなど、好みのものではないのです。好みや感覚の好き嫌いで当たるなら、好きだと思い込んでる製品を使って誰もが上級者になっているハズなのです(笑) でも、そうでないから皆困っているのでしょう?

      恋の話であれば片思いは甘酸っぱい思い出になるかも知れませんが、弓具に対する一方的な片思いなんて、本当にバカバカしい。好きになろうが願おうが勝手ですが、自分のレベルアップが弓具のレベルに及ばないかぎり、その願いが叶うことなどないのです。

      しかし心配する必要はありません。上達のステップを駆け上がりやすい弓具は、ビックリするくらい買いやすい金額で買うことができます。特に近年の初心者・中級者用のロッド類は、扱いやすいしなやかさを保ちながらも的中能力が高く、振動の収束が早くて優れた製品が増えました。かつての高価格帯の性能が、今では普及グレードまで下りてきているという、ウレシイ状況です。特に新しくリリースされるダンパーの性能が素晴らしく、ロッド本体の性能とあいまって、価格と見合わない性能に進化している時代になりました。高ければ良いという時代は完全に過去のものですね。

      ■2016年最新の普及モデルを使ってみる

      よほどの上級者でもないかぎり、各ロッドに特別な性能は必要ありません。特に肩甲骨のポジションが正確でなく、弓の力を骨格で正しく支えることができてなければ、アーチェリーにどれだけの年数を重ねてきた人であっても、剛性の高いものを選んではいけません。剛性の高い製品が揺らぐ自分の身体の動きを、発射の瞬間に増幅させてしてしまうからです。

      初心者の最初の頃に正しい骨格のポジションを完璧にマスターするために、スポーツ整形のドクターやスポーツ理学療法士の先生と一緒になって個別のリハビリとトレーニングを受けてアーチェリーを学んできた人であれば、将来的にはどんなロッドを使っても大丈夫です。しかしそんな境遇でアーチェリーを学ぶことができる環境を、他では聞いたことがありません。

      人間の身体は繊細で緻密です。特に肩関節に関しては慎重に慎重を重ねて取り組まないと、いともたやすくスポーツ障害を負わせてしまいます。ひとりひとりの肩の内部の状況をスポーツ整形のドクターとスポーツ理学療法士の先生が確かめることもせずに、上級者用のロッドを使わせることは、完全に拷問なのです。使っているうちに身体が慣れて強くなるものではないのです。

      Vバーとサイドロッド、それにエクステンションロッドは、アーチェリーを取り組んでいる期間の長さで装着を決めるものではありません(笑) 肩甲骨のポジションと動作がムチャクチャで肩関節(後方・前方)不安定症に陥ってる人だらけだという状態にあるのに、骨格のポジションが正確でない人たちに剛性の高いロッドを使わせるのは、完全にスポーツ指導者による虐待です。周囲が使っているからといって、安易に装着させてはいけません。三流選手のマネをしたところで、三流にしかなれないのです。レベルを上げないだけならイイのですが、身体を痛めつけるのは、もはやスポーツとは呼べません。



      本当に上達するまでは、シャフト全体にしなりを持たせた、しなやかなロッドを使ってもらいます。中級者以下の方々が使いやすいモデルは買いやすい価格設定ですので、私たちはこれまでSFかカーテルを使ってきました。どちらも性能は似たようなものなのでこれまでこだわりはなく、すぐに手に入るほうを選んできました。しかしカーテルのロッドが2016年から新しいモデルが出ましたので、さっそく使ってみようと思います。昔とちがって近年カーテルで期待はずれの製品はありませんので、楽しみです♪



      これはマクシオン(マキシオン)というカーボンロッドです。まだカーテル本社のホームページで紹介されてませんし、日本国内の代理店と販売店には入ってきてません。製品としての入荷は日本初上陸らしいので、日本のテスターで製品を使うのは私が最初です。まぁ、メーカーがさんざんテストして製品化してますし、こうした普及モデルは(日本以外の世界的には)販売数量が多いでしょうから、おかしなものを作ってくるワケなどありません。どのメーカーも優秀なテスターを抱えていますので、選手がメーカーにフィードバックさせるようなものは、この時代ほとんどありません(笑)

      マクシオンはセンターロッド1本にダンパーとウエイトが付属して3,500円、サイドロッドは1本2,000円(どちらもダンパーとウエイト1個が付属)という安い普及品ですが、このマクシオンの製品としてのクオリティーは、他社の高級モデルと変わらないのではないかと思えるほど、レベルの高い仕上がりになっています。日本の多くのショップがこれを仕入れるようになれば、もっと値段を下げることができるかも知れませんが、その必要すら感じないほど値打ちのある製品だと思います。これまで普及品の安いカーテルの製品でクオリティーを気にしたことなどありませんでしたが、マクシオンの仕上がりの良さは立派です。倍の価格にネダン設定しても、普通に売れると思いますよ。ネダンの付け方が間違ってますね(笑) モノの良さの割には安すぎるのです。



      装着すると、こんな感じです。使っていると上級モデルと遜色ありません。実射してみると、ロッド本体のしなりを感じた瞬間に、振動が消え行くように収束していくのがわかります。しなる割には収まりが早すぎるのです。カーボンの他に何か別の素材が入ってるのでしょうか?不思議です。グリップの中で月状骨と舟状骨以外の様々な手根骨を作用させてハンドルに異なる方向への力の向きを加えてみると、その力の向きに従ってハンドルの挙動をロッドのしなりで伝えてくれます。これは見事です。

      ロッドに付属しているワッシャーを取り外してVバーに装着してもロッドの挙動自体に変わりはなく、発射音は静かです。新設計のダンパーは、手で触ったときに思ったよりも柔らかくて、実射するまでは効果に対して半信半疑でしたが(笑)、ロッドとのマッチングは抜群で、剛性の高いロッドに装着したダンパーのように、矢が飛んだあとに先端のウエイトが首を振ってハンドルに瞬間的に振動を伝えるようなこともありません。これは上級者用モデルでは感じることができない扱いやすさです。

      こうした扱いやすいロッドを使い続けることで、弓の挙動が自然にわかるようになり、骨格のズレや自分の挙動が、どのようなグルーピングの偏差をもたらすかが、次第にわかるようになります。最初から剛性の高いロッドを使っている人の多くは、すべてが「コンッ!」と一瞬で終わってしまうので、その一瞬の中に何も感じることもできないまま、面白くないアーチェリー生活を送ることになります。ネダンが高い製品や、特別な性能を謳う製品は、誰が使っても扱えるものではないのです。どうせ当たってないのでしょう? 堂々と振り出しに戻りましょうよ♪ 振り出しに戻るのは恥かしいことではありません。自分が上達するための機会をつくる、素晴らしいことなのです。



      初心者用・中級者用としてありがたいのは、この先端のウエイトに装着された、特徴的な2本のOリングです。このOリングは、振動吸収とか、衝撃吸収に対する効果は一切ありません。しかしこのOリングがあることで、非力な女性や指先に力のないジュニアでも先端のウエイトを締め込みやすく、発射の衝撃と振動での緩みを最小限に防ぐことができます。シューティングライン上でウエイトが緩んでしまった場合は、ハンドルを持ったまま手を伸ばしてウエイトを締め付けようとしても力が入りにくいので、これはウレシイ工夫ですね。これまで様々な部分で困ってきた初心者の声がフィードバックされているのは素晴らしいです。こうした普及版の製品に力を入れてくれるメーカーがあるので、本当に助かります。

      使ったことも仕入れたこともないショップが、低価格帯の製品を「あんなもの良くない」とか、「大したことない」とか、「安モノ」などと言うことが多いですが、使ったこともないのに製品の評価ができるワケありません。というか、インスパイアの時もそうでしたが、日本のほとんどのアーチェリーショップは、こうした普及グレードの製品評価ができるレベルにないところが多いです。トップレベルの選手が扱う上級者用の製品は、誰もが使ってながら大して当てるコトができてませんので、私はアーチェリー指導組織を運営する立場の人間として、初心者や中級者が扱いやすくて上達へのステップを駆け上がることができる製品を実際に試して、実際の指導で使いやすく、皆さんにとってなるべく経済的負担にならない製品を紹介させていただきます。

      自分でも使い続けてみたいと思ったロッドに出会えたのは、久しぶりです。こうしたスペックに頼らない扱いやすい製品が、日本でこれからアーチェリーをされる方の助けになってくれるのは間違いありません。このマクシオンは、これからアーチェリーを始める方にとっての救世主になるでしょうね♪ 新しいモデルなのでこの先、世界的に品薄になるでしょうけどね・・・

      これまで何度も言ってきたが、上級者をカモることができるほどの素晴らしい的中性能を有する扱いやすい弓具が、フルセットを揃えても、総額5万円程度で手に入る時代なのです。総額5万円の弓具で、レッドバッジに迫る得点を出すことができるのですよ。

      良心的でないショップの口車に乗って、扱えない弓具に6ケタも使わされてる場合じゃないのです。扱えない弓具を使っていては、信じていても救われません。こうした3000円台のロッドを使ってみると、数万円のロッドよりも扱いやすくて当てやすいことがわかります。自分よりも低いレベルの弓具の性能をフルに使い切ることができないのであれば、何を買ってもムダ金にしかならないのですよ。製品を買うときは製品のスペックやセールストークに踊らされずに、身の丈に合った製品を扱いこなし、その製品のポテンシャルを100%発揮できる自分の能力を養いましょう♪

      アームガードとスポーツ科学の密接な関係

      2016.02.05 Friday

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        アームガードはその名の通り、ストリングの返りから腕を守るための防具です。なかには「自分は腕にストリングが当たらないから」と使わない人もいるようですが、アーチェリーで使われる防具類は車のシートベルトと同じと考えてください。ストリングを張った時点でアーチェリーはエネルギーを蓄えた状態にあり、危険をはらんでいます。万が一の事を考えて、アームガードとチェストガードは必ず装着してください。

        アームガードは衣服のたるみを整え、リムまでのストリングのルートを確保する役割と、ストリングが矢を放った直後の返りから腕を保護する役割があります。様々な形状のアームガードがアーチェリー用品として売られていますが、プラスチック容器などの廃材利用でも十分役目を果たしますので、自分で作ってる人も多いです。私は自分用のアームガードは、シャンプーの容器で作っています。好きな形に気って四隅に穴をあけ、ゴムひも通すだけというカンタン作業です。製作と呼べるほどの大掛かりなものではありません。可愛らしく作りたいのであれば、表にステッカーを貼って、ステッカーの上から透明な梱包用のテープを貼るとキレイに仕上がります。

        ■アームガードとスポーツ科学の密接な関係

        アームガードを自作または加工する理由は、安く作れるとか、そういったケチくさい理由ではありません。製品として販売されているアームガードは、そうとう長い期間を使い続けないと、アームガード表面でのストリングの擦過痕が現れてこないのです。アームガードは腕を保護するためのものなので、固い素材で作られてるものが多いです。しかし表面が固いので、ストリングのサービング部分と、どのようにしてこすれているかを、なかなか知ることができないのです。



        その人が使っているアームガードを見れば、上手さのレベルを垣間見ることができます。トップレベルの選手と一緒に練習する機会があれば、よく見ておくとイイでしょう。一流と二流の違いは、アームガードの状態を見るだけでも決定的な違いがわかります。アームガードの表面へのストリングの擦過痕を見ることで、身体のコントロール状態がわかるからです。これは私が使っているアームガードですが、中央の下半分のあたりに、アームガードの前後方向に2cm程度のストリングとの擦過痕が見られます。ストリングが矢が放った後に、毎回必ず同じ部分を通過しています。その他の部分には痕跡がありません。

        容器の上はステッカーですから、柔らかい素材です。ストリングが直接アームガードを叩くと表面のステッカーがチギれてしまいます。ステッカーの上はホームセンターなどで売られている梱包用の透明のテープを貼っています。引っぱったら伸びますし、柔らかい素材です。そういった柔らかい素材であれば表面にすぐに擦過痕が見られるようになります。一度でも他の部分に当たるとその部分にストリングの痕跡が残りますから、上腕骨骨頭の回旋状態や、上腕骨につながるインナーマスルや腱板の状態、肩甲骨周囲筋の硬さ、肩甲骨の体幹部への固定の状態などを知る上で重要な手がかりになるのです。

        アームガード上での痕跡の範囲が広い場合は、上腕骨につながる肩甲骨の位置が不安定な証拠です。その場合はEPTやEETなどをチェックすると肩甲骨周辺筋の状態がどのようにあるかがわかりますので、スポーツ医療チームとのリハビリやトレーニングに新たなメニューが追加されるようになり、更なるレベルアップを望むことができるのです。アームガードの状態を見て、スランプに陥った選手を救う手がかりになることもあります。

        実射を繰り返してるうちに、自分の身体の状態は徐々に変わっていくものなのです。ですから単に実射を繰り返してるだけでは上手くなりませんし、自分の身体の状態の変化に気づくこともありません。アームガードは、自分の身体の状態の変化を知るためのバロメーターにもなるのです。

        ■初期に使うアームガード

        すでにアーチェリーを行なっている中級者は肩甲骨の使い方がメチャメチャな人が多いのに、弓矢のスポーツを行なったことがない人であれば、肩甲骨を自在に動かすことなどできません。それに上腕骨の回旋がスムーズではなく、パソコンを使ってデスクワークする人は特に手首の動きに硬さがあり、弓を持つ腕とリムを打つまでのストリングのルートをコントロールすることなど到底ムリなのです。ですから最初に身体の状態に合わせてリハビリやトレーニングのメニューが決められ、それを着実に実行していきます。

        それらをじっくり取り組んでいくのですが、そればっかりではアーチェリーのレッスンが面白くありません。なのでレッスン初期の頃には、射のプラクティスに影響しないように、ゴムチューブよりも弱い、竹を加工して作ったリムを装着して射っていただく時間を少し作ります。



        肩甲骨と上腕骨のコントロールが正しくできない初期の頃には、このような大型のアームガードを使います。通常のアーチェリー用のサイズの全長の短いアームガードを装着している場合は、習いたての頃に腕尺関節手前にストリングがヒットすると(痛くなくても)身体は本能的に恐怖感を覚えてしまい、射とうと思った瞬間に身体の動きが固くなってしまう条件反射が刻み込まれてしまうのです。

        そのような身体の中に生み出されてしまう反射を防ぐために、こういった初期の頃に使うアームガードは、腕を保護する面積が非常に大きなものになっています。これらはレッスンで使うというよりも、体験会などで使うものですね。最初に骨格のポジションを正しい位置に誘導するための筋肉の使い方を学びさえすれば、使い続けることがないものです。初心者用ですが正しい身体の使いかたを学ぶようになると使いませんので、これらは何年初心者体験で使っても痛みません。使うたびに洗濯ネットに入れて洗濯機で洗ってますので、洗い傷みしているほどですね。

        ところで皆さんは、アームガードはちゃんと洗ってますか?バンドに汗が染み込んでるのに、それをそのままケースの中に入れて使い続けるようなことは絶対にやめてください。チェストガードも同じですよ。洗わない人は、自分がどのくらい不衛生な事をしているか、よく考えてみましょう。汗がしみこんだシャツをバッグの中に詰め込んで、次の日に乾いていたら、またそれを着てスポーツするのと同じなのです。自分の汗が美しいなんて思わないでください。脂汗に冷汗、奥歯をギリギリかみ締めたり地団駄を踏んだり、手に汗握ったり、どうせ良くない汗をかいているに決まっているのです(笑)

        洗ってないアームガードのバンドはバイキンだらけです。この寒い季節は月に1回でも大丈夫ですが、特に夏季は水洗いでもいいので、使ったら毎回洗ってください。練習場の水道の蛇口で水をかけて、水気を切って吊っておくだけでイイのです。必ず習慣にしてください♪

        ■アームガードを作る

        春から高校のアーチェリー部に新入生たちが入部したときのために、アームガードを作ります。顧問の先生によると来年度も大勢が入部してきそうなので、たくさん作って差し上げることにしました。

        素材は何でもいいのですが、最近はシャンプーの容器の肉厚が薄くなる傾向にあり、アームガードに利用できそうな、手近な容器の廃物利用が難しくなってきました。とは言うものの、実際にアームガードとして使われている素材を考えてみると、靭性があり、ある程度の硬度があり、加工がしやすくて、割れにくく、汗や皮脂によって侵食されない素材であればイイということがわかります。未経験で入会されたメンバーの方には、比較的柔らかいプラスチック製のインフィテック社のアームガードをお渡ししています。

        そこで高校のアーチェリー部での新入生たちが、自分のアームガードを買う、または作るまでに使ってもらうためのアームガードを作ろうと思い、高密度ポリエチレン製品を探したのがコレ、灯油のポリタンクです。



        5年を過ぎれば新しいものに交換するので、学校では毎年数個のポリタンクを交換しています。素材に濁りが見られるほど長年使ったものはダメですが、5年で廃棄するポリタンクで屋内管理されているポリタンクであれば素材に劣化は見られません。数年使ってキャップが割れたようなタンクがあれば最高です。灯油で常に内部はクリーニングされている状態なので、内部が汚れていることはありません。



        アームガードのバンドに使うゴムひもです。100円ショップで買うと使い切れないほどの量になりますが、これは子供たちがビーズを通したり髪を結ぶために使うゴムひもの余りをもらったものです。様々なカラーがありますが、黒だけはやめてください。汚れが目立たないカラーにすると、洗わなくなったり、交換時期が長くなる傾向にあるので不衛生になりがちです(笑)



        このポリタンクは20リットル用なので、たくさん作ることができます。18リットル用でも大丈夫です。切り取る部分によっては、なかなか面白いアームガードを作ることができます。しかし今回は自分で使うものではありませんのでイケナイ遊び心は抑え、できるだけアームガードとして違和感のないものを作ります。

        このようにホットカッターがあれば作業はラクだと思われがちですが、実はそんなこともありません。意外に時間がかかります。よく切れる、普通のカッターナイフで作業した方が早いです。ホットカッターを使うと滑らかに切れますが、部屋がクサくなります。なので最初はホットカッターを当ててみましたが、すぐに普通のカッターナイフに持ち替えて作業をしました。



        このようにして、ポリタンクからポリエチレンの板を切り出していきます。切り取ったものは中性洗剤で軽く洗い、数日放置しておくと灯油の匂いは消えていきます。アームガードとして使うのはポリタンクの胴体の部分です。持ち手がある上部と底の部分は肉厚で固いので切り出すのは大変です。切り出せないことはないと思いますが、そこに労力を使い果たすこともありませんし、捨てられる運命の廃物利用なので、加工しやすい胴体部分をゼイタクに切り取っていきます。



        この切り出したポリエチレンの板に、3mmの穴あけポンチを叩いて、バンドを通す穴をあけます。簡単に穴はあきますが、革や布地とちがってポンチの中が詰まってしまうので、ポンチの中に入り込んでしまう3mmの円状のものを、穴をひとつあけるたびに取り除きます。それをしないと、4つめの穴から開かなくなり、ポンチの中に詰まったポリエチレンを取り除くのが大変になります。



        穴をあけたら、バンドを通すためのクリアランスを上下表裏に設けます。これで素肌の上に直接装着してもゴムバンドの結び目が素肌にゴリゴリ押し付けられることもなく、長時間の装着にも違和感がありません。このガイドの溝は彫刻刀の丸刀で削りますが、穴あけポンチの7mmを持っていれば、それで削りこむこともできます。丸ヤスリで削ることもできますが、穴の周辺がキズだらけになるので、よほど手先が器用な人でなければオススメできません。



        切り出したエッジのバリを削り落としたら、アームガードとして腕の形状にフィットさせるために形を調整します。ポリエチレンなので、ある程度は変形させることができます。作業用のテーブルの角に押し当てて力を込めれば、このように腕の形状に合わせてラウンド形状にすることができます。これで腕に定規をあてがうような無機質な感触ではなくなり、自分の身体の一部としてフィットするようになります。



        だいたい形を整えたら、ゴムひも通して完成です。このアームガードを見て、これが元々灯油のポリタンクとして使われており、アームガードとして第二の人生を歩んでいるとは誰も気づきません。きっと、こういうものが売られていると思うでしょうね(笑)



        ホームセンターのアウトドアグッズコーナーでは、水タンク用の半透明な大型のポリタンクが安く売られてますので、それをアームガードの素材として買ってきてもイイでしょうね。アームガードを1個買う値段で、ポリタンクが買えてしまいます(笑) アームガードとして利用する部分にもよりますが、表面がツルツルでキレイな面だけを切り取っても、20個ほどのアームガードを作ることができます。「火気厳禁」という部分を切り取って、文字が見えるように工夫して作ってみても面白いですね。

        ポリエチレンなので、アームガードの上を爪でこすっただけでも痕が残ります。アームガードに残るストリングの擦過痕を確かめながら、着実に上達していくことができるのがイイですね。学校では石油ストーブを使うので、数個のポリタンクが毎年のように廃棄されています。ですからアームガードの素材に困ることはありません♪

        春からの新入生勧誘以降に使ってもらうための、冬のあいだの大事な仕込みでした。毎回安定した骨格で射てるようになって、自分のアームガードを買って、または作って射つようになるまでは、コイツをキズだらけにして使ってくれたらイイのですよ!
         

        アーチェリーのストリング製作

        2016.02.01 Monday

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          アーチェリーのストリング(弦)に関する問い合わせも多いです。申し訳ありませんが、入会メンバー以外の方には、詳細なお答えをすることができませんのでご了承下さい。

          ストリングやサービングの素材は何が優れているかとか、ストランド数、ストリングハイトやティラーハイト、ノッキングポイントなどに関するチューニングやセッティングの質問も多いですが、グルーピングの小さな上級者であれば、好きに試してみればイイだけの話です。ストリングの原糸を買って、10人で分けて試しに使っても安いものです。

          ストリングでのセッティングは大してお金がかからないにも関わらず、それを試すこともせずに高価なリムや高価な矢に、ためらいもなくお金を払えてしまう人が多くて面白いのです。セッティングの順番が完全に違うのです。

          競技用のストリング素材を使って50mや70mで300点も出せないのであれば、何を使っても同じです。初心者練習用のダクロンでも、50mで300点、30mで330点は出ます。技術を習得中の初心者であれば、30m300点まではダクロンで十分です。30mで平気で赤を射つようなレベルであれば、競技で上位を目指すレベルの人が使う素材を使ったところで結果は同じです。

          ただし、ノッキングポイントの素材だけは、上達過程にある人間に限っては何を使っても同じというワケではありません。これに関しては理由とともに、いつか紹介したいと思います。

          ■矢を的に向かって送り出すのはストリング

          アーチェリーはご存知の通り、弓具という機材を使ったスポーツです。多くの装備品を装着している競技者が多いですが、アーチェリーを純粋に弓矢として考えた場合、必要なものはハンドル・リム・ストリング・レスト・プランジャー・矢です。

          これらはそれぞれの状況に応じて適切な弓具を選択して、なるべく適正な状態にしておく必要があります。ただし、体力と技術が未熟で、それぞれを正確に扱えないのであれば、弓具でのどんな調整も無意味です。まずは完璧に扱いきれる自分の身体を用意することが大切です。

          私はアーチェリー指導組織を運営してますので、レッスンで使うストリングを年間200本程度製作しています。レッスンが進んで弓を扱うようになると、高ポンドになるまではダクロンのストリングを使います。弓を扱うとはいっても最初は取り掛けや実射は一切行わず、腕力に一切依存しないレッスンに時間をかけますが、詳細は大幅に割愛します。ちなみに私が製作したダクロンのストリングのほとんどは、レッスン受講生の皆さまや、私が指導に携わってる方には、無償で差し上げています。そうでもしなければ、繊細な感覚を養う大切な期間であり、まだまだ自分の技術が及ばないにも関わらず、競技用の伸縮性のないストリングを通販などで買って勝手に使い、自分の上達を自分で止めてしまう状況に陥ってしまうからです。

          ■ストリングは自分で作るもの

          「完成ストリング」という言葉に、大変な違和感を覚えます。ロードバイク(自転車)の「完成車」と同じくらい、スポーツの機材としておかしな言葉です。なぜなら、本来ストリングは弓の状態に合わせて作るものであり、あらかじめ作られているものを装着すれば性能が発揮されるものではないからです。

          それに、完成ストリングとして販売されてるものは、ストリングとして完成しているのか?そんなワケないでしょう。同じサイズの完成ストリングを買ってきて全長を計測しても、どれもバラバラですよ。どのハンドルとどのリムの組み合わせを考えて作られたものか、誰もわかりません。その基準を知ることができたとしても、自分が使っているハンドル・リムに組み合わせた場合、どの程度の差が生じるのかをあらかじめ知る術もありません。現在の全長を計ったとしても、使う前の全長を知らないのですから、どうしようもありません。

          初心者の頃は気にする必要はありませんが、技術を修得していきグルーピングが小さくなっていくにつれ、適正なストリングハイトになるように指導者がストリングを作るものなのです。ストリング製作の指導が行えない指導者などいるワケありませんので、自分にアーチェリーを教えてくれた人に、遠慮なく作り方を教わるとイイでしょう。きっと喜んで教えてもらえるでしょう。

          ストリングの製作は簡単です。ブルーバッジ取得がやっとという上達過程にある中級者には細かいチューニングは必要ありませんが、アーチェリーが本当に上達した時には、スパインの選択とストリングでのセッティング出しは、競技で高得点を叩き出すために重要なチューニングになります。しかし本当に上達したらわかることですが、自分が必要な全長のストリングは、販売されている完成弦で満足のいくものを手に入れることができません。ストリングの素材や本数・全長を指定しても、これまで自分が使ってきたものと同じ状態のものは手に入りません。それは作り手が異なるために、そのようなことが起きてしまいます。ストリングを製作するジグの状態によっても、異なったものが出来上がってしまいます。

          というか、アーチェリーのストリングのような大切なものを、誰が作ったのかわからないようなシロモノで、それを使って高得点が出せると思うのがマチガイです。それにストリングは口につけるものなのです。そのストリングを作った人が、ストリング製作に取り掛かるまえに、指先を清潔にしているかどうかもアヤシイのです。本当ですよ。美味い料理を食いたければ厨房を覗くなとは、よく言ったものだと感心します(苦笑)

          これまで自分のレベルアップに付き合ってくれていた人で、これまで多くのストリングを製作した経験のある人が身近にいればイイのですが、そんな恵まれた境遇の人はほとんどいません。なので本来は、自分で使うストリングは自分で作るものなのです。アーチェリーのレッスンにおいて、一度はストリングの製作を習うものです。まともな指導組織であれば、ストリングジグくらいは常備しているハズです。ホームセンターで売られている木材と金具を使って、立派なストリングジグを作っているクラブや指導者もいます。そういったハンドメイドのストリングジグでも、正確なストリングを作ることができます。

          ハンドルやリムを交換すると、同じ弓のサイズだとしても、ストリングハイトは大きく変わってしまうことがあります。そのためストリングは本来、自分の弓に合った全長のストリングを、自分で作るものなのです。しかし技術の修得が最優先である上達過程にある人は、弓具の製作を覚えるのは後回しです。なので最初の頃は、ストリングを作ってくれる指導者に作らせれば安心なのです。リムを何度も借りながらステップアップしていると、ストリングの全長を変えなければならないことは、よくあります。なので同じ66や68というような乱暴なサイズの指定では、合わないことが多いです。なので自分専用のストリングが必要な場合はインチ指定ではなくセンチ(ミリ単位)指定で注文すべきなのです。

          ストリングはストリングジグがなくても作れますので、適正なチューニングを施した上級者の先輩がいれば、自作のストリング製作ジグを持っているかも知れません。本格的なストリングジグやストリングサーバーがなくても大丈夫です。少し工夫をすればストリングは作れますので、いつかそのうち自分で作れるようになっておきましょう♪

          ■レッスン用ストリングの製作



          レッスン受講生の皆さんに使っていただくストリングは30本程度の作り置きをしておくのですが、早いときには数週間でなくなります。「次のレッスンでお持ちしますね〜」とお伝えしときながら、まだ余裕があったハズ・・・と思って残数をチェックしてみると、その長さのストリングの作り置きがなくたってたという事は、よくあります。先週は66サイズをイッパイ作りましたが、今日は68サイズと70サイズです。



          けいはんなアーチェリーでは、レッスンで使うハンドルとリムのメーカーを決めています。同じ製品であっても弓具には微妙な個体差もありますが、オリンピックを目指すレベルの人が使うワケではないので、一切気にする必要はありません。この数日で、ヒマさえあればストリング製作を行い、40本のストックを作りました。小さなお子様が使う46から70まで揃ってますが、まぁ、これも、春まではにはなくなってしまうでしょうね(笑)

          まぁ、無くなりそうになったら、すぐに作ればイイだけです。レッスン用の弓具を自前で揃えてらっしゃる方の中には、こうして事前に作っておいたストリングの長さが合わない方もいらっしゃいます。そんな時にはその方専用の全長のストリングを作って差し上げています。

          以前にも受講生の方にストリングを無償で差し上げたら、ビックリされた方がいらっしゃいました。そんなコトでビックリされると、こっちがビックリしてしまいますが、聞くところによると、ダクロンのストリングは完成弦で800円程度で売られているそうなのです。設定価格は1,000円だそうです。意味不明です。ダクロンなんて、原糸丸ごと買っても1巻き1,300円くらいです。作る長さにもよりますが、12本弦を20本前後作ることができます。

          ファーストフライトやダイニーマなどとはちがって、ダクロン弦の製作は、ほんの少し手間がかかります。ファーストフライトやダイニーマのような競技用であれば作りやすいので、15%くらい時間が短縮できます。ダクロン弦に時間がかかるとは言っても、製作の準備と後片付けを含めても、かかる時間は5本作って1時間半程度です。ダクロンのストリングの材料費は1本あたり100数十円なので、材料費込みの1時間あたりの時給を1000円と換算しても、1本のストリング価格は税込み300円くらいです。私のようにこれまで数千本作ってきた人間であれば3時間で12本作れますので、ダクロンの販売価格は1本250〜300円程度のハズです。そんなものが800円くらいで販売されてるそうですよ。アーチェリー業界って、自分が作ったものでもない製品を右から左へと売るだけなのに、とてつもない利益率で販売する呆れた業界ですね・・・

          ■ハンドルメーカーが変わるとガラリと変わる

          私はレッスンの時にデモンストレーションを行なう事があるのですが、たまには違うハンドルを仕入れてみました。レッスン受講生の皆さんが使っているハンドルと、どの程度のセッティングの違いが出るかを確かめるために、実勢販売価格が似たような価格帯の製品を選びました。今回はインフィテック社のチャレンジャーというハンドルです。1万7,000円という買いやすい価格設定ですが、競技会で十分高得点を出すことができるグレードです。



          私たちがよく使っている組み合わせでの66ストリングは160cmですが、これを装着するとストリングハイトが低くなってしまいます。なので158cmの全長で作りました。ストリングハイト 8 1/2 を狙ってのことです。その全長で製作してみると、15回転でそのハイトにきました。ドンピシャです。



          中級者や初心者にはストリングでの細かいセッティングなど必要ありませんが、このように基準のストリングを作ってしまえば、上級者であれば全長が10mm長いものや10mm短いものを作り、それぞれのストリングでティラーハイトとノッキングポイントの差でのグルーピング収差と的中分布のデータを取ります。数日かけてグルーピングのサイズ(得点ではなくグルーピングのサイズを重要視する)を計測し、ストリングの全長が長いものか、短いもののどちらかの方が良好かを調べ、長いものが良好な場合はさらに10mm長いストリングを製作してデータを計測します。短いものが良好な場合は、さらに短いものを作ります。このようにして煮詰めていきます。当たったり外れたりするような人はセッティングを出すことができませんので、先に射に必要な技術を完成させておいて下さい。でなければ意味がありません。

          ストリングのネジりを大幅に増やしても正確なセッティングデータは取れませんが、ストリングの全長を変えればグルーピングの形状に違いが出ることがありますので、上達したその先には、ストリングでのセッティング出しは大切になってきます。その時になって自分の思った長さのストリングを自分で作れるか、その大切な作業を他人に任せるかという、大きな違いとなって分かれます。なので、まだそれほど上手くなくても、ストリングを自分で作る練習を少しずつ行なっておくとイイでしょう。

          矢のシャフトの精度がどうとか、いかにも語る人が多いですが、矢を的に向かって送り出す大切なセッティングを出すために、どれだけ異なる全長のストリングを作って試したのか、無限とも言えるストリングハイトの設定とノッキングポイントの組み合わせを試したのか、探りに探って、そのストリング全長に落ち着いたのかを聞くと、そんな事をしたこともないという人ばかりなのです。そんなコトだから、弓具の本当の性能なんて引きだせっこない(笑)

          ちなみにストリングハイトが前の弓と同じになったからと言って、同じセッティングになっているワケではありません。ハンドル形状が異なっているために、数値だけを同調させたとしても、これまでと同じリムを使っていても性能が異なるからです。グルーピングが小さくないレベルの中級者以下であっては、違いはなにもわかりません。ですから、細かい調整機能のついた高額で高性能な弓具を持つ意味などないのです。

          というよりも、ストリングのネジりが、サービングの巻きが緩む方向にネジってしまってる人が多いのですが、そんな状態でどんな精度の高いカーボンシャフトが必要だと言うのですか?これも自分でストリングを作ったことがないから、それもわからないのでしょう。使い方がマズイのだから、高級品を新たに買い揃えたところで、そのマズイ使い方が変わるワケではないのですよ。ですから高額な弓具を買うのは、ヤギに紙幣を食わせるようなお金のムダづかいにしかならないのです。

          リムのチップにかけるストリングのループには、装着する向きが決まっているストリングも多いのですよ。初心者やレッスン受講生にはまだ、そこまで細かい事は教える必要などありませんが、競技会で高得点を出したいと上級者を目指して練習してる人がそんな事も知らなくてどうするの?教わってないのであれば、それは指導者の責任ですけどね。指導者からの指導を受けてないのであれば、その状況を選んだ本人のせいなのです。

          完成弦という言葉がそもそもおかしいのだが、完成弦として売られているストリングのサービングの向きを逆にストリングにネジリを加えてしまうようなコトは、絶対にあってはいけません。完成弦というものを通販で買うのがイケナイが、指導者がいなくても、誰もがアーチェリー用品を手に入れることができ、それを使ってアーチェリーのマネごとができてしまうのを容認しているのが、最もイケナイのである。

          ■大切な糸であるハズなのに その糸口をも掴もうとしない指導者たち

          アーチェリーというスポーツを正しく上達していきたいのなら、ストリングくらいは作れるようになろう。最初は失敗したらイイのです。初めてのケーキ作りと同じなのだ。失敗してもそれは他の人よりも経験値が大幅に上がるだけ。だから上手に作ろうとか、キレイに作ろうなんて、考えなくてもイイ。何度か作ってるうちに、完成弦とは比べ物にならないクオリティーのストリングが作れるようになるのです。ヒモをグルグル回すことができて、人間という生命体して普通に指先に神経が通っている人であれば、誰でもカンタンに作ることができるのです。

          ストリングなんて、単なるヒモの束。アーチェリーで使うヒモの束も作れないのであれば、そのヒモの束を扱いきれるようになんて、なれっこないのです♪

          ヒトは高等動物として、他の生物よりもはるかに器用な指先をしているハズなのです。それが人間の文明を発達させる原動力になってきたのです。ストリング作りにある程度の器用さが必要だとしても、針の穴に糸を通すような器用さと繊細さは必要ないのです。ボールペンを手に持って字を書くことができる人なら、誰でも作ることができるレベルです。このように、ストリング製作はカンタンです。指導者がひとりひとりのストリング製作をイヤがってては、どうしようもありません。

          ストリングはレッスン受講生の方と指導者を結ぶ、大切な糸なのです。指導者はまずその大切な糸を、レッスンを受講されている方ひとりひとりに、正しく紡ぐことができているか、糸をたどって確かめてみなければならないのです。指導者が、レッスン受講生に完成弦を買わせている場合じゃないのですよ。

          アーチェリーのタブ

          2016.01.29 Friday

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            ■揃いも揃って ムチャクチャなタブ選び

            アーチェリーでストリングを取り掛けてリリース(矢を発射)するときに、指先を保護するための防具となるタブが次々と入荷してきます。

            タブ選びがあまりにもテキトーすぎる人ばかりでビックリします。手根骨の形状を無視したかのようなタブ選びになっている人があまりにも多いからです。どうしてそのタブを使っているかを聞くと、ショップで勧められた、先輩がそれを買えと言った、どれを選んでよいかわからず、手のサイズを伝えて選んでもらったなどのようにです。

            多くの人のタブを見てみると、タブプレートの形状が、その人の手根骨関節の可動状態を完全に無視したかのようなタブ選びになっています。手にピッタリ合ったサイズを選んでもらったと言ってますが、大きさは大体そんなものなのかも知れませんが、手の中の骨格形状に合わせるタブ選びになってない人ばかりなのです。通販などではなく本当にアーチェリーショップで買ったのかを尋ねると、プロショップで合わせてもらったと言います。もはやプロショップという言葉は、完全に死語なのだと思わなければなりません。

            タブ選びは、決してそんなテキトーなものではいけません。金属製のプレートが使われるようになった現代の上位モデルの製品では特に、タブ選びは大変な作業なのです。詳しくは書きませんが、ストリングに取り掛けている指先以外はリラックスさせ、PIP関節を屈曲させてしまったり、力を込めてMP関節が屈曲(手の甲が曲がり拳状に曲がる)してしまうような力を働かせない形状のプレートを選ばなければなりません。体幹でのドローイングではなく、腕力でのドローイングの人は論外です。タブプレートの骨格形状うんぬんの前に根本的な改善をしなければならないので、ここから先を読む必要はありません。

            骨格の形状が同じ人など、2人といません。ですから製品が日本製だろうが外国製だろうが、関係ないのです。国産だから自分に合っていると思い込むのは大間違いです。タブを手に当ててみて、「しっくりくる」などと言ってる人が多いですが、本人はそう感じているにも関わらず、実際にチェックしてみると正しく使えておらず、合ってない人だらけです。

            そうなってしまわないためには、レッスン最初の頃はプレートの固いタブを使わず、正しい取り掛けと優しいリリースをマスターするためのトレーニングを行なわなければなりません。多くの場合は手首と指先に関するリハビリと、素手で取り掛けとリリースができるような非常に弱い弓を使って大切な諸々の技術を修得していきます。タブを使って実射をするのは、もっともっと後になってからなのです。

            多くの人がその順番が完全に狂っているか、大切なものを大胆にすっ飛ばしているのです。だから練習しても上手くなりません。最初からタブを使ってストリングを引っぱるようなレッスンは力まかせにしかならないので、絶対に実射をさせてはいけませんし、ドローイングのアプローチが正確でない初心者に素引きをさせるのは愚の骨頂。ほぼ間違いなく取り掛けができず、ストリングを掴んでしまいます。

            そんな具合で、他でアーチェリーを行ってきた多くの方は、取り掛けからタブの正しい使い方などを徹底的に修正しなければなりません。最初から30ポンド近くもある強い弓を引かされてる人や、リムのポンドアップを周囲から急がされた人、自分のリムを買うときに70mを射つことを想定した強さを買わされたような人のほとんどが、取り掛けができなくなってしまっています。軽くて弱いもので長くじっくりと取り組んでいればそんな事になりません。少し違った状態になっても、容易に修正ができるからです。

            しかし早期に強いリムを装着して実射させられたような場合では、もはや手遅れと言える状態に陥ってます。なのに、たくさん練習すれば上手くなると言われて、練習を続けることになります。ですから世の中ヘタクソだらけの故障者だらけです。本当に上達を望むのであれば、弓具も技術もステップアップを急いではならないのです。

            このような経験者が多いので、これまで様々な形状のタブを仕入れて試さざるを得なかったのです。しかしこれまで多くの種類のタブを仕入れてみて、様々なデータを取ることができました。手根骨で応力をかけてしまわないようにするために、または応力をかけてしまったときに感じ取りやすい、上達に向けてのレッスンに適した数種のタブに出会いました。完璧なリリースができるようになるために、最初に選ぶべきタブを少し紹介しますが、レッスン受講生以外の方が自分の勝手な判断でこれらを使っても、身体と弓具の正しい使い方を学ばない限りは、何を使っても結果は同じであることを覚えておいてください。

            ■ショップにとって不都合な製品たち



            このSFのエリートタブは2,700円です。製品のクオリティからは、信じられないような安さです。年末までは私も実際に使ってましたので、ご覧になられた方も多いでしょう。実に優れた製品だと思います。Sサイズは小さめなので、指の細い女性や、手のひらの手根骨の各サイズが少し小さめな男性、それに小学校高学年以降のジュニアなどにはピッタリです。

            このタブはタブプレートが絶妙な形状に設計されていて、指先に力が入り、手のひらでタブプレートに力が加わるような状態(大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鈎骨でタブプレートを湾曲させようとする力が加わってしまう)場合に、非常にわかりやすくなってるので便利です。上級者がこのタブを使ってみると、自分が取り掛けの際に不要な力を込めてしまいそうになった場合は、すぐに気づくことができます。ですから上級者でも高得点を出しやすい形状のタブなのです。こうして使ってみると、低価格の中級グレードの製品は、よく考えられて設計されているのがわかります。上級者になりきれないレベルの人の多くが、どんなタブの使い方をしてしまっていて高得点が出せないでいるかを、メーカーは知り尽くしているからです。

            上級者用のタブの多くは、タブプレートを湾曲させようとする力を手根骨関節内部で加えてしまった場合、プレート自体がその力に対抗するような形状になっているものばかりです。そうなるとリリースの瞬間に指先を緩めようとした場合に、タブプレートを動かす力が働いてしまいます。上級者用の高額なタブは、強い弓を引いている時に、手のひらや指先での脱力加減を、自在にコントロールできるようにならなければ高得点が出せない機能になっているのです。上級者になるために使う弓具と、上級者になるまでに使う弓具は、その仕組みも成り立ちも違うことを正しく理解しておかないと、上達の足かせにしかならないのです。ですからこのように、骨格と筋肉の専門家でなければ他人への正しいタブ選びなど到底不可能なのです。

            タブプレートの形状はプレート外周を削って手に合わせようとしても、タブを中指に通す場所を新たに設置しなおさない限り、手根骨の形状を無視したプレート配置になってしまうことが多く、薬指への力の加えかたが不自然になっている人をよく見かけます。TFCC損傷など手首の痛みとなる障害を抱えたり、深指屈筋と、その動きに関連する部分の障害の原因となりますので、プレート加工に関しては細心の注意が必要です。多くの選手のタブを、その人の各手根骨関節の配置と動作の状態を実際に確認してみると、とんでもなく誤ったタブ選びをしている人が多いです。

            タブはストリングコントロールに最も大切な機材であり、選択によって上達を大きく左右するにも関わらず、これほどまでにテキトーな使われ方がされているのには唖然とします。タブの革に、どんな最高のコードバンとか、はっきり言ってどうでもいい人ばかりなのです・・・



            これはアバロンのタブです。最も小さいSサイズでも女性やジュニアが使えるサイズはありませんので、主に男性用として使います。上級者が競技で使えるレベルのタブですが、初心者や中級者が練習で使うために表革にコードバンを使わず、牛革を装着して価格を大幅に抑えてあるモデルです。誰にでも合うとは言い切れませんが、これまで試した中では多くの日本人男性の手根骨関節の動作に制限を加えることの少ない形状で、レッスンでリラックスしたドローイングを学ぶためには扱いやすいモデルです。販売価格は2,160円という、オドロキの安さです。



            このアバロンのタブは、カントピンチの形状に工夫を凝らしてあり、長時間の装着も違和感のないものになっています。人差し指の先端をノックに無理なく触れやすく、かつ中指でシャフトを持ち上げないような、微妙な角度を調整することができるのが素晴らしいです。多くの人が使っているタブのカントピンチは、金属のブ厚い板のような工夫のない無機質なものを、指と指の間にガッツリとはさみこむようなものになってしまっています。そんなものでは指先の繊細な力加減ができない人が多いので、最初からこのような形状のカントピンチが装着されているのはありがたいですね。

            これらのタブは、どちらもタブ革を交換することができますので、最初に使ってきた牛革製の表革が伸びたり痛んできたら、後にコードバンの革を切り取って装着すれば、トップレベルの選手が使っているタブ以上に上質なタブとして使うことができます。タブ用の表革としてけいはんなアーチェリーでストックしてあるコードバンは、最も高いものでもタブ革1枚分で800円するかしないか程度です。オイルグレージングでないコードバンであれば、1枚分で500円ちょっとですからね。



            でも本物の上級者でもなければ、コードバンなど必要ありません。私だってコードバンばかりではなく、様々な牛革を切り取ってタブの表革として使っています。この白っぽい牛革は、成牛タンローの1.6mmです。コードバンだろうがタブに付属していた牛革だろうが、私はどちらも出せる得点に変わりなどありません。得点は、道具にかける金額で決まるものではないのです。どれだけ使える身体を養ってきたか、それだけです。

            ちなみにこのタブに最初に装着されている革は、牛革です。ここに並べてみるとコードバンのように見えなくもないのですが、2mm厚という、比較的しっかりした牛革です。弱い弓を引いてて、このタブ革にコシがありすぎてストリングインフォメーションが希薄になる場合は、このように厚みの異なる革に交換して上達を目指します。この交換した安い牛革でも、かなりの高得点を叩き出すことができます。ブルーバッジ程度であればは、牛革で十分です(笑) アーチェリーに必要な弓具すべてにおいて、自分が弓具のレベルに及ばない場合は、どれだけ弓具をレベルアップさせても上達することなどないのです。

            ■軍手のような使い方しかできないタブに4000〜5000円も払うのは非常識

            アーチェリーなんて、レベルの高い指導家としてのプロフェッショナルから指導を受けていれば、本当に必要な用品を適切にアドバイスしてもらえるので、弓具類に大してお金がかからないスポーツなのです。自分にピッタリと合った弓具と出会ってしまえば、それを扱い切れればイイだけなので、物欲すら沸きません。

            どうせお金を払って弓具を買うのであれば、ショップの言いなりに高い機材を買わされるのではなく、人間工学的に自分の骨格にピッタリ合った、コントローラブルな製品を適切に選んでくれる、骨格と筋肉の専門家からの指示を仰がなければ、まったく意味のない弓具の選択となってしまいます。多くの人がショップのテキトーなアドバイスや、大して上手くもない周囲の先輩たちからそそのかされて、ビックリするような高い製品を買わされてますが、それらが本当に適切だった人と出会えるのは、ほとんどいません。これは異常事態です。

            しかも、こんな高性能なタブがリーズナブルに買えるというのに、多くのアーチェリーショップでは取り揃えようとしません。けいはんなアーチェリーでは、これらの製品を安売りも値引きもしていません。これほどまでに良心的な価格設定がされている商品が、アーチェリー用品のメーカーから普通に販売されているので、それを扱っているだけなのです。では、なぜ多くのショップは、私たちと同じ製品を仕入れて販売しないのか、本当におかしいのです。

            多くのアーチェリーショップで販売されている競技用の金属製のプレートのタブは、この倍近くのネダンがするものばかりです。大した工作精度が必要になる製品でもないのに、そのネダンの付け方は異常ですね。4000〜5000円のタブを使っている人を見てもビックリするのに、1万円以上もするタブを使っている人もいるのです。本当にそれが必要で使っている人なんて、まずいません。勝手に欲しくなって高いのを買ったか、ダマされて買わされたかのどちらかです。そもそも、タブの選びかたも使い方も間違っているので、どんなに高いタブを使ってもダメはダメでしかありません。売り手も買い手も完全に間違っているのです。

            タブとは、握ったストリングを放すための道具などではないのです。ほとんどの人がタブをタブとして正しく使えておらず、軍手や革の手袋と変わらないようなものにしかなっていません。そんな状態なのに、どうして5,000円もするようなタブが必要になるのでしょうか?多くの人は5,000円とか1万円以上もする軍手のようなものを、リリースするために使っているのです。とっても残念な状態なのです。

            ■すべては タブの正しい扱い方を学んでから

            指導者の指導者としてのレベルによるので仕方がありませんが、ほとんどの人がタブを正しく扱うことができてません。いきなり実射をさせられているようなクラブやレンジでは、ムチャクチャな状態にあります。指導者が在籍してなければ、なおのことヒドイです。

            タブという機材は、単に取り掛けてリリースをするためだけのものではありません。毎回正確な位置から発射させるために、サイトピンを視認している眼球の中心から、リリース直前までホールドしているノックまでの位置を、どれだけ正確なものにするかという発射装置です。その扱いが正確でないから、的の中心に大体サイトピンが合っているハズなのに、その視認しているサイトピンの大体の場所とは大きく違った場所に矢を当ててしまう事になるのです。

            タブには様々な部品が装備されています。しかし絶対に間違ってはいけないのは、それらが装備されているからといって、最初からすべてを使っていいワケではないのです。それぞれの部品には、必要に応じて使い分ける明確な意味があります。ですから何でもかんでも装着して使うものではないのです。

            レッスン最初の頃は、正確な取り掛け位置を覚えるために、タブすら使いません。取り掛けとリリースが大雑把にならないために、大切な様々なコントロールを少しずつマスターしていきます。そしてレッスンが弓を使うまでにステップアップしていき、タブを使うようになってきた場合は、タブのパッケージに入っている付属品で使うのは、中指を通すためのバンドのみです。

            最初はカントピンチを使わずに、人差し指の先でノックにそっと触れ、中指がノックやシャフトに触れないための間隙を、自分自身でコントロールできるようになるための練習を長く積みます。第二中手骨とMP関節を、下顎骨への適正なポジションに当てることができるようになるまでは、アンカーパッドも使いません。もちろん、リトルフィンガーサポーター(小指を掛けるトリガー状のパーツ)も使いません。正しい取り掛けができている人であれば、このトリガー状のパーツを使うことはありません。骨格と筋肉の構造を理解していない人間がこれを使うように指示すると、大変なことが起きてしまいます。DIP関節とPIP関節のどちら側に当てて作用させるかで、腕の中での筋肉の使われ方が異なるものになってしまうからです。おまけに最初からこれを装着してしまうとストリングを掴んでしまうので、取り掛けではなくヒドイ掴みグセがついてしまい、正しい取り掛けに直すのが大変になってしまう人がほとんどです。

            今の日本のアーチェリーでの現状はどこの射場や競技会場でも、本当に上手い極少数の人と、上手くない大勢の人の、どちらかしかありません。その中間状態の上達過程にある人が、極端に少ないのです。それは本当に正しい指導を受けることなく、自分の射が正確かどうかもわからないのに、ひたすら実射を繰り返して上手くなろうと必死になっているという、良くない状態に集団で陥ってしまっているからに他なりません。

            何度も言ってるが、タブがすべてを物語るのです。これまでどんな指導を受けてきたか、どんなドローイングのアプローチであるか、どの程度まで得点を伸ばすことができるか、何年続けたらどこに故障を抱えることになるか、すべてがタブに刻まれているので、隠すことなどできません。だから、どんなタブを選ぶかは非常に大切な事でもあるが、本当に大切なのは指導者選びなのです。

            この貴重な貴重なオフシーズン。スポーツ理学療法士の先生方から個別に指示されたリハビリを暖かい部屋で進めながら、じっくりとトレーニングを進めて身体づくりを行ないながら、暖かくなった春からはソフトで丁寧なリリースができるように養っていきましょう。